新規事業の立ち上げは、企業が新しい事業を開始する戦略のことです。現在メインにしている事業の業績が悪化しているときに新規事業を立ち上げることもあれば、余剰資源を活用してさらに企業を発展させることや、リスクの分散などを目的に新規事業を立ち上げることもあります。
事業転換や事業の多角化を目指して取り組まれることが一般的ですが、最近は事業を継承するときに新規事業を立ち上げる選択をする企業も増えています。一般的には、既存事業と関連性の高い分野ほど成功確率が向上すると考えられており、まずは小さく生んで少しずつ大きく成長させていく考え方が重要です。
新規事業の立ち上げには、「立ち上げプロセス」や「新規事業のよくある課題の対策」、「予算の考え方」など、新規事業独特のノウハウが必要です。
実は、新規事業の立ち上げに既存事業のノウハウはほとんど使えません。なぜなら、軌道に乗った事業と、これから立ち上げる事業(新規事業)とでは、やり方やノウハウが異なるからです。
筆者は、(株)Pro-D-useという新規事業のコンサルティング会社にて、これまでたくさんの新規事業の立ち上げを支援してきました。
本記事では、そんな筆者の経験やノウハウから、これから新規事業の立ち上げを検討している企業の経営者や責任者の方に向けて、必要となる知識をまとめて解説します。
本記事で実現できること
- 新規事業でよくある課題が把握できるため、問題に直面する前に対応を考えられる。
- 新規事業をスムーズに進めるためのプロセスがわかり、事業を成功に導ける。
- 新規事業の成功確率が上がり、収益の柱がもう一つ増えて経営が安定する(安心ができる)。
それでは早速、読み進めていきましょう。
新規事業は「なんとなく」で進めると、必ず失敗します。上手くいく新規事業には一定のパターンがあり、それを知らずに新規事業を始めてはいけません。
弊社「(株)Pro-D-use(プロディーユース)」は、“伴走型の新規事業支援” を得意とするコンサルティング会社です。これまで300件以上の新規事業の相談を受け「売上10.38倍」「営業利益大赤字→営利23%の黒字化」など、多くの実績をあげてきました。
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▼目次
新規事業を成功させるための考え方
新規事業立ち上げの基本は「小さく生んで少しずつ大きく成長させていく」という考え方です。
◆ いきなり大きな事業を作るより、小さな事業を複数作る
新規事業を立ち上げるとき、いきなり1つの事業で「1億の売上を作る」ということはかなり難易度が高いものです。新規事業のノウハウ・実績がない中で、いきなり大きな売上を生み出せるほどビジネスは簡単ではありません。
このときは、売上が1億の事業を1つ作るのではなく、売上が2,000万円の小さい事業を5つ作り、その中から大きな売上を生み出す事業に成長させるという考え方が重要となります。
そのため、1つの新規事業に多額の予算を費やすことは極力避けましょう。
多くの場合、人員をすべて自社の人間でまかなおうとすると人件費がかかりすぎてしまいます。予算を抑えるためには、外部の人間や外注などを活用することが有効です。
たとえば、管理職と計画を実行する人員を1人ずつ用意して、あとは経験が豊富な外部の人間を招き入れることで、コストを抑えつつスムーズな新規事業が実現できます。
新規事業立ち上げの5つのステップ
実際に新規事業を立ち上げたいと考えても、手順についての知識やノウハウを持っていなければ、スムーズに進めることはできません。
まずは、新規事業立ち上げの全体像を把握するためにも、大まかなステップについて見ていきましょう。新規事業立ち上げのステップは、以下5つです。
◆ 新規事業立ち上げ5つのステップ
- ニーズを把握してコンセプトを構築する
- メンバーを選定する
- 基本戦略の構築
- 事業化するための検証
- ビジネスモデルの設計
それでは、それぞれについて詳しく見ていきましょう。
ステップ1.ニーズを把握してコンセプトを構築する
新規事業立ち上げではじめに行うべきなのが、ニーズの把握とコンセプトの構築です。
「ニーズがあったはずなのに、実際に事業を立ち上げてみたら軌道に乗らなかった」という失敗はよくあります。こういった場合、正しくニーズが把握しきれていない可能性が非常に高いのです。
まずは、下記のような調査を実施しましょう。
◆ ニーズ把握に必要な現状調査
- 「業界全体の現状」
- 「自社の強みと弱み」
- 「競合他社の戦略」
これらのポイントをしっかりと洗い出すことで、顧客のニーズを正しく把握するヒアリングや検討を進めることが可能となります。
なお、ニーズを把握する方法としては、以下のような手法が挙げられます。
◆ ニーズを把握するための手法
- 定量調査
- モニター調査
- 自社で使用して検討する など
ニーズ調査をするターゲット層を具体的かつ明確にしておくと、今後のマーケティング設計が立てやすくなるでしょう。
先ほどの解説で洗い出した業界や自社、競合他社の情報と調査したニーズを組み合わせて、新規事業の軸となるコンセプトを作り上げていきます。
コンセプトを構築するときは、以下のポイントを明確化しましょう。
◆ コンセプト構築時に明確化すべきポイント
- 新規事業の主戦場
- 新規事業の目的
- 具体的な成果目標
このとき、SWOT分析などのフレームワークを活用すると、効率的かつ正確に競争力の高い戦略を立案する手助けとなってくれます。
ニーズの把握方法について、さらに詳しく知りたい方は、以下の2つの記事もあわせてご覧ください。
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ステップ2.メンバーを選定する
新規事業を立ち上げるときに重要となるのが、最適なメンバーを揃えることです。
とくに、以下のようなメンバーを集めることが新記事f業成功のカギとなります。
◆ 新規事業に必要なメンバーの資質
- リーダーシップがあるかどうか
- 新規事業が目指すビジョンを共有できるか
- 論理的思考ができるか
- 新規事業立ち上げの経験者はいるか
- 将来性があるメンバーかどうか
また、以下のような役割の人材をそろえることも求められます。
◆ 新規事業に必要な役割
- プロジェクトマネージャー:事業を統括する総責任者
- プロジェクトコーディネーター:プロジェクトマネージャーの補佐役
- プロジェクトリーダー:担当する領域の責任者
- プロジェクトメンバー:各タスクを実行するメンバー
事業規模によって、プロジェクトリーダーやプロジェクトメンバーの人数は異なります。
管理するうえでプロジェクトメンバーは6人以内に収めることが望ましいとされているため、それ以上の人数になるときは、プロジェクトを分割することをおすすめします。
新規事業立ち上げのメンバー選定について、詳しくは下記の記事をご覧ください。
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ステップ3.基本戦略の構築
全体的な方向性やメンバーの選定が終わったら、ここからは具体的な戦略の構築に進んでいきましょう。
新規事業の基本戦略を構築するときは、以下の2点を意識することが大切です。
◆ 新規事業の基本戦略構築時に意識すべき2つのポイント
- 新規事業の対象となるペルソナ
- 競合となりそうな企業
ペルソナは、事業で問題解決を図るターゲットとなる人物像を「細かく設定」したもののことを指します。
たとえば、「都内在住の40代男性、子ども2人と妻と暮らしており、趣味は料理と釣り。休みの日は家または近くの河川敷で釣りをして過ごすことが多く…」といったように、できるだけ細かく設定することで、事業戦略がより具体的に立案できるようになります。
また、競合となりそうな企業を洗い出し、自社の強みと比較してどのようなポイントで差別化・勝負するのかについて考えることも重要です。
「あえて高級路線で富裕層を狙う」「消耗部品の交換は3年間無料」など、コスト面や付加価値といった勝負ポイントは豊富に存在しています。競合他社にはない施策を打ち出すことで、今後の明確な戦略が見えてきます。
基本戦略の構築についてさらに詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
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ステップ4.事業化するための検証
新規事業が成功するかどうかを見極めるためにも、計画の仮説を立てて検証と評価を行っていきましょう。
社内で検討するだけではなく、実際にプロトタイプを顧客に利用してもらうことで、リアルな意見を聞くことが大切です。
サービスに対する良い意見だけではなく、厳しい意見を受けることもあるかもしれませんが、厳しい意見こそ新規事業成功のカギとなります。
改良点を見つけ、繰り返しブラッシュアップすることでよりよい戦略の考案に役立てていきましょう。
実際に利用した顧客の声を共有することで、顧客のニーズと新規事業の目指す先が一致してきます。
新規事業計画のポイントについては、下記の記事をご覧ください。
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ステップ5.ビジネスモデルの設計
基本戦略の策定と検証を同時進行しながら、くわえてビジネスモデルの設計も行うことが大切です。
具体的には、以下の3つのポイントを明確にしていきましょう。
◆ ビジネスモデル設計に必要な3つのポイント
- 収支計画:推定売上高を試算する
- 投資計画:開発や設備に対してどれくらい投資するのか算出する
- 人員計画:営業組織・技術組織・生産組織などの事業運用に欠かせない組織体制を計画する
ポイントは、「モノ」「カネ」「ヒト」「情報」の流れをシミュレートして、できるだけ細かく計画することです。戦略を実現させるために取り組むべき課題が見えてきて、より具体的なビジネスモデルが設計できるようになります。
新規事業立ち上げの課題
新規事業立ち上げの大まかな流れを解説してきましたが、手順に従うだけでは事業を軌道に乗せることはできないため注意が必要です。
新規事業立ち上げの際は、以下4つのような課題を解決していくことが求められます。
◆ 新規事業で解決すべき4つの課題
- アイデアの創出
- 予算の確保
- 人的リソースの確保
- 収益化
ここでは、新規事業立ち上げ時によくある課題について解説します。
課題1. アイデアの創出
新規事業立案段階の課題としては、そもそもアイデアを創出できないという問題があります。
新しいアイデアは常に様々な企業から生み出されているため、「自社ならではの斬新なアイデア」を創出することは年々難しくなっています。
企業にはこれまでの成功体験があるため、その体験に基づいた行動や思考が根付いてしまっています。そのせいで、新しい観点からアイデアを創出することが難しいのです。
「新規事業のアイデアを募っても、結局従来のサービスに似たアイデアしか出なかった」といったことはよくある課題です。
たとえアイデアが創出できても、新規事業のアイデアには正解がないため、どのアイデアを採用すべきかを決められないという企業も多いです。
この場合は、定量的な分析結果をベースに、メンバーがワクワクしながら取り組めるアイデアを検討してみるとよいでしょう。
新規事業のアイデア創出について詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
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課題2. 予算の確保
新規事業立ち上げの際に決して無視できないのが、予算の確保です。
立ち上げ段階で初期開発費用だけを予算として想定してしまい、運用を開始したあとのマーケティングやプロダクト改善にかかる予算の組み込みを忘れてしまうという失敗は、決して珍しくはありません。
予算計画を立てるときは、初期費用だけではなくその後のランニングコストも組み込んで考えることが大切です。
運用にコストがかけられず、プロモーションできずに顧客が獲得できなかったら事業は頓挫してしまいます。せっかくの労力と初期費用が無駄になってしまうことがないように、予算の確保は最優先事項のひとつに入れておいてください。
新規事業の予算確保・資金調達についてさらに詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
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課題3. 人的リソースの確保
立ち上げた事業を運用している際に課題となるのが、人的リソースについての問題です。
どれほど素晴らしい戦略を立てていても、人手不足でオペレーションが回らなければ事業の成長は望めません。それのみならず、事業の継続すら厳しくなってしまうこともあるでしょう。
新規事業立ち上げでは経営資源のひとつである「人材」をしっかりと活用し、無理なくオペレーションを回せる体制を整えることが大切です。
また、企画を実行することができる権限者をメンバーに選ぶことも非常に重要です。
いくら人的リソースを確保する必要があっても、権限がないメンバーばかりを集めてしまえば、企画段階からプロジェクトを進められません。必ず、実行フェーズにおける権限を持つ人材をメンバーへ迎え入れてください。
新規事業の人材確保について詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
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課題4. 収益化
素晴らしいアイデアを実現できても、収益化ができなければ企業の事業としては成功と言えません。
満を持してリリースしたサービスも、まったく反応がもらえなかったり酷評されてしまったりする可能性は十分に考えられます。
また、たとえ事前の検証でうまくいっていた企画であっても、リリースしたときに収益化ができないケースは多々あります。
ここで大切なのは、「さらに売るための営業」ではなく、「どうして反応が良くないのかについて振り返ること」です。
もちろん、マーケティング戦略に課題が残るケースもありますが、そもそも顧客にとって必要不可欠なサービスになっていないと、どれほど営業しても収益化はできません。
サービスの価値を磨き上げることをベースに、収益化できない理由を探ることが重要です。
新規事業の収益化・黒字化についてさらに詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
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新規事業立ち上げにおける3つの成功条件
新規事業の立ち上げが成功するか失敗するかは、3つの条件が押さえられているかどうかで判断することが可能です。
◆ 新規事業の3つの成功条件
- ターゲット・ニーズの設定が正確
- トライアンドエラーのサイクルが早い
- 最適な人材を配置している
ここからは、新規事業の立ち上げが成功する条件について見ていきましょう。
成功条件1. ターゲット・ニーズの設定が正確
どのような事業も、大前提にあるのが「ターゲットとそのニーズを捉えたサービス」を提供することです。
とくに新規事業ではよく「ライバルが少ないブルーオーシャン(ニッチ産業)を狙え」と言われますが、中小企業が狙うべきは、すでにサービスが飽和しているレッドオーシャンの方です。
レッドオーシャンの中でも、特定のターゲットに絞り込むだけで中小企業は十分に戦えます。
◆ ブルーオーシャンとレッドオーシャンの比較
メリット | デメリット | |
---|---|---|
ニッチ産業 ブルーオーシャン | ・競合がいない | ・成熟していない ・時間と費用が膨大にかかる ・そもそも市場がない可能性が高い |
レッドオーシャン (推奨) | ・既に市場がある ・成熟市場で顧客説明がしやすい ・市場規模が読める ・顧客要望(ニーズ)が大きい | ・競合が多い ・差別化が必要 |
たとえば、「40代の男性」をターゲットに設定した場合、市場が広すぎてニーズの絞り込みができませんが、下記のような年代や職業、ライフスタイルや趣味などで絞ってペルソナを設定することが大切です。
◆ 明確なターゲットの例
・大手企業勤務の富裕層
・子どもと妻がいる
・管理職
・育児に協力的
こうすることで、新規事業における本当のライバル数やより具体的なニーズがあぶり出されて正確に把握できます。その結果、自社の強みを活かせる競合の少ない市場を見極められるようになるのです。
ターゲットニーズ調査については、詳しくは下記の記事をご覧ください。
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成功条件2.トライアンドエラーのサイクルが早い
新規事業立ち上げのみならず、ビジネスにおいてはトライアンドエラーのサイクルが非常に大切です。
新規事業では、「完璧な状態でリリースしたい」と開発の段階に時間的・人的コストを割いてしまうケースが多いかもしれません。しかし、これではリリースする頃には競合に追い抜かれてしまっている可能性が高いです。
こういった状況を避けるためには、最低限の準備が完了した段階でスモールスタートを切るフットワークの軽さが重要です。
そして、トライアンドエラーのサイクルを回しながらビジネスモデルを確立していくことを意識しましょう。
問題があればすぐに吸収して、サービスやビジネスの改善に反映する。これを繰り返しながら軌道修正することで、好機を逃すことなくビジネスを成功に導けるようになります。
新規事業のトライアンドエラーのサイクルの回し方については、下記の記事もご参照ください。
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成功条件3. 最適な人材を配置している
最適な人材の配置も、新規事業立ち上げの成功には欠かせません。
新規事業に必要な人材と役割については「メンバーを選定する」部分で簡単に説明しました。ここでは、それぞれに最適な人材の特徴を簡単に紹介します。
役割 | 説明 |
---|---|
プロジェクトマネージャー | ・事業を統括する総責任者。 ・管理能力や交渉・提案力、コミュニケーション能力が高い人材。 |
プロジェクトコーディネーター | ・プロジェクトマネージャーの補佐役。 ・コミュニケーションスキルと交渉力を兼ね揃えた人材。 |
プロジェクトリーダー | ・一部領域を担当する責任者。 ・管理能力や強いリーダーシップを持つ人材。 |
プロジェクトメンバー | ・各タスクを実行するメンバー。 |
新規事業の人材配置は、成果を左右する大切なプロセスです。社内に適任者がいない場合は、弊社(株)Pro-D-useのような外部の新規事業のプロに相談したほうがスムーズでしょう。
新規事業は「なんとなく」で進めると、必ず失敗します。上手くいく新規事業には一定のパターンがあり、それを知らずに新規事業を始めてはいけません。
弊社「(株)Pro-D-use(プロディーユース)」は、“伴走型の新規事業支援” を得意とするコンサルティング会社です。これまで300件以上の新規事業の相談を受け「売上10.38倍」「営業利益大赤字→営利23%の黒字化」など、多くの実績をあげてきました。
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また、最適な人材の配置に関してさらに詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
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新規事業立ち上げの失敗事例
新規事業を立ち上げても軌道に乗らず、撤退の道を選ぶ企業は残念ながら多く存在しています。
新規事業立ち上げで多い失敗の原因としては、以下の例が挙げられます。
◆ 新規事業でよくある3つの失敗例
- 戦略筋違い・考慮不足
- 価値・特徴不足
- ニーズ検証不足
新規事業立ち上げの失敗については、以下の3つの記事もあわせてご覧ください。
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失敗例1. 戦略筋違い・考慮不足
自社のブランドとは筋違いの事業を立ち上げたり、考慮が不足して計画通りに準備・運用が進まなかったりすることは、新規事業立ち上げの際によくある失敗です。
2002年、ユニクロは野菜の通販事業をスタートさせましたが、その売上は初年度から予想の半分程度でした。
さらに、在庫管理や野菜を安定供給するためのコストや手間、野菜価格の高さが影響し、大幅に赤字となり事業撤退せざるを得なくなりました。
また、ユニクロは2009年に靴の販売事業をスタートさせましたが、こちらはサイズ展開の難しさを理由に撤退しています。衣類を取り扱っていたブランドが野菜の通販サイトを始めるという戦略のミスマッチと、コストやリスクに対する考慮不足が失敗の大きな理由となりました。
失敗例2. 価値・特徴不足
顧客がお金を払うほどの価値やサービス面における特徴が提供できないことも、新規事業立ち上げの際によくある失敗例です。
競合他社と差別化することができず、競争に勝てない企業は決して珍しくありません。
一時話題となったZOZOTOWNの「ZOZOSUIT」は、顧客の体型サイズを正確に測るための計測用スーツとして45億かけて開発されました。
ZOZOSUITは無料配布されましたが、実際には配送遅延やZOZOSUITに対応したPB(プライベートブランド)商品とのサイズ誤差を指摘する声が多発。
結果的に、従来アピールしていた価値を提供することができず、現在はPBとZOZOSUITの両方が生産中止となっています。
失敗例3. ニーズ検証不足
顧客のニーズを捉えきれず、新規事業の立ち上げに失敗してしまうケースも非常に多いです。
「企業が提供したい価値」と「顧客が受け取りたい価値」にミスマッチが起きると、事業は受け入れられません。
メルカリは2015年より、英国市場に向けてCtoCマーケットプレイス「Mercari」の拡大に取り組んでいましたが、いくつかの要因により、普及に至りませんでした。
また、英国ではオンライン上でやり取りが完了するメルカリのニーズ自体が低く、事業は撤退に追い込まれました。
新規事業を改善するには
新規事業を改善するためには、新規事業立ち上げに特化した経営コンサルティングサービスなどを利用し、プロが蓄積したノウハウを活用することが有効です。
現在の事業が軌道に乗っている場合であっても、新規事業が成功するとは限りません。
なぜなら、新規事業立ち上げでは従来とは異なったサービスを取り扱うため、マーケティングや販路開拓、集客や営業の方法が異なるためです。
新規事業の知識を持たないメンバーだけでは、新規事業が頓挫している理由を洗い出すことができないケースが多いです。仮に洗い出せたとしても、どのように改善していけばよいか正確に判断できないでしょう。
こういった場合は、プロの手を借りることでスムーズな問題の改善が望め、結果的にコストの削減にもつながります。
新規事業の改善については、下記の記事もご参照ください。
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このように漠然とした経営不安をもつ経営者も多いでしょう。 2020年の個人企業経済調査によると、 「大手企業や同業者との競争の激化」 「需要の停滞」 「資金繰りの悪化」 などが、事業経営の問題点として挙げられています。[注1] しかし、具体…
新規事業から撤退する判断
新規事業が軌道に乗らなかった場合、事業から撤退するという選択肢も出てくるかもしれません。
しかし、どの時点で事業撤退を決めるのかという判断は、企業にとって難しいものです。
事業撤退は、以下の2つのパターンで判断するとスムーズです。
◆ 事業撤退の判断パターン1
- 計画に対する達成率で判断する
売上額や利用者の数、サービスの利用回数などの「KPIの達成率」で判断する方法と、会計上の損益(PL)もしくは投資回収率などの「キャッシュベースの達成率」で判断する方法です。
◆ 事業撤退の判断パターン2
- 現時点で自社を取り巻く状態で判断する
今後、市場や顧客がどれほど拡大していくか、競合に勝てる見通しがあるか、自社の強みは市場で通用して生き残れるのかなどといった、「市場(顧客)」「競合」「自社」の観点から複合的に見て判断する方法です。
撤退基準は企業の規模や戦略によって大きく異なります。あらかじめ基準を決めておくと、大きな損失が生まれる前に損切りができてダメージを最小限に抑えられます。
新規事業の撤退についてさらに詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
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新規事業コンサル会社の選び方
新規事業の立ち上げや改善をスムーズかつ効果的に進めるためには、新規事業コンサル会社の活用がおすすめです。
とはいえ、コンサル会社は数多く存在しているため、どのような会社を選ぶべきか迷ってしまうでしょう。
自社に合ったコンサル会社を選ぶときは、以下のポイントを押さえた会社に依頼することがおすすめです。
◆ 新規事業のコンサルを選ぶ7つのポイント
- 中小企業の経営について理解がある
- 自社商品のしがらみがない
- クライアント企業の立場に沿った提案をしてくれる
- シンプルな言葉で提案・説明してくれる
- 年間スケジュールを立ててくれる
- 1年後どうなっているかがイメージできる
- 当事者意識を持って取り組んでくれる
新規事業の立ち上げの際は、とにかくクライアント企業の立場に立って提案してくれるコンサル会社を選ぶことが大切です。
自社商品を持つ会社は、どうしても自社商品を勧める提案をしがちといえます。中立の立場で提案してくれる、自社商品を持たない会社に依頼すると安心です。
また、コンサル会社を選ぶときは、他社の成功例ではなく、クライアント企業のサービスや事業規模に沿った提案をしてくれるかどうかを確認しましょう。
当事者意識を持ってクライアント企業を我が事化してくれるコンサル会社は、しっかりと成果を生み出してくれる可能性が高いです。
新規事業コンサル会社の選び方についてさらに詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
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新規事業の立ち上げはプロにお任せ
新規事業を立ち上げるときは、ニーズを把握してコンセプトを構築するところからメンバーの選定、戦略の構築や検証、ビジネスモデルの設計など、多くのプロセスが必要となります
また、予算や人的リソースの確保などの課題解決、事業を成功させるための条件などのすべてを網羅することが求められるため、担当者は想像以上に神経をすり減らすことになるかもしれません。
このように、新規事業には数え切れないほどのタスクがあるので、ノウハウを持っていない人が事業をいきなり成功に導くことは難しい傾向にあります。
万が一の事業の軌道修正や撤退の際も、難しい判断がともないます。こういった新規事業立ち上げに付随するプロセスや業務を成功させたい場合は、プロに相談したほうが安心でしょう。
多くの企業の事業立ち上げパートナーとなった企業であれば、ノウハウがない企業の新規事業も成功に導いてくれます。
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