新規事業において、予算が確保できるかというのはかなり重要なポイントです。社内の経営陣や投資家に対して、新規事業の内容や将来性をアピールするため計画書を作成する場面が多くあります。
新規事業の計画書を作って予算を確保したいけど、何から進めたらいいんだろう..
投資家から資金調達したいけど、具体的に計画書に何を書けばいいのか分からない..
新規事業で、社内で経営陣に提案して予算を確保したい場合、社外の投資家から資金を調達したい場合など、新規事業の立ち上げで出資を得るのに必要なのが「事業計画書」です。
事業計画書は書式やフォーマットが指定されている訳ではなく、具体的な計画を示すものであれば形式は自由なのが一般的です。しかし、要点を押さえておかないと出資をお願いする相手を説得することはできません。
本記事では、新規事業を企画・計画中の方に向けて「投資したい」といわれる事業計画書の作成方法を解説します。
この記事はこんな方向けです
- 中小企業で社内決裁者に事業計画の提案を通し、予算を確保したい方
- 新規事業を立ち上げるにあたり、投資家から資金調達をしたい中小企業の経営者
この記事を読み終えると、こんなことが実現できます
- 経営陣を説得できる計画書を作成し、新規事業を推し進めることができる。
- 事業計画書の作成ポイントが分かり、投資家に資金を出資してもらいやすくなる。
新規事業は「なんとなく」で進めると、必ず失敗します。上手くいく新規事業には一定のパターンがあり、それを知らずに新規事業を始めてはいけません。
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▼目次
事業計画書の作成が必要な理由やメリット
「そもそも事業計画書は必要なのか?」と疑問に思っている方もいるでしょう。
事業計画書は、社内や社外に事業を提案し、予算や融資を獲得するために必要な資料です。
事業計画書が必要な理由やメリットについて、以下より解説します。
必要な社内承認や出資、融資を得るため
事業計画書が必要となるもっとも大きな理由は、出資や融資を受けるための承認を社内で得るためです。
事業計画書は、新規事業の予算を得るために、経営層を説得するための資料です。その事業が必要な理由や、新規事業によって得られると予想される利益が曖昧だと、決裁者や意思決定者を納得させることは難しくなります。
経営陣を納得させられるよう、数値や根拠をまとめた事業計画書を提示する必要があります。
新規事業の成功確率を高めるため
新規事業計画書は、新規事業の実現可能性を高めるためにも必要です。
また、目標やプロセスを明確にしないまま新規事業をスタートさせても、成功する確率は低いでしょう。
計画書を作成することで、その事業が成功するかどうか現実的に判断しやすくなります。実際に事業をスタートさせたあとも、計画書に沿って進めることで新規事業の立ち上げプロセスをスムーズに行える点がメリットです。
メンバーで認識や目線を揃えるため
メンバーで新規事業立ち上げのための認識や目線を揃えるためにも、事業計画書が必要です。
認識や目線を揃えておくことで、共通のゴールに向けて行動や判断ができるので、認識のずれによる無駄を省くことができます。「自分は今、何をすべきなのか」が判断しやすくなるので、業務効率の向上も期待できます。
事業計画書は経営層にのみ提出するのではなく、メンバーにも共有し、新規事業の目的やプロセスについて認識を揃えておくことが重要です。
事業計画書とは、「事業の設計図を可視化したもの」
新規事業を始めるためには、事業の目的やプロセスを明確にした設計図が必要です。事業計画書とは、事業の設計図を可視化したものと定義されます。
「これまで1度も事業計画書を作ったことがない」という方のために、事業計画書の基礎知識について解説します。
事業計画書の定義
事業計画書とは、新規事業を「どのように進めていくのか」、「なぜ自分たちがその事業をすべきなのか」といった構想をあらゆる観点から可視化した、事業の設計図です。
単に実現したい事業の構想を書くのではなく、市場環境や事業の収支計画などの現実的な内容も盛り込む必要があります。そのため、市場調査や競合調査、自社の状況調査などの地味な下準備も必要なため、事業計画書の作成には2〜3ヶ月ほどかかるのが一般的です。
経営陣や投資家は計画書に書かれた内容から事業の成長性などを予測し、予算や出資を決定する際の判断材料とします。新規事業立ち上げの第一段階として非常に重要なステップが、この事業計画書なのです。
事業「計画書」と事業「企画書」の違い
事業計画書とよく混合されがちなのが、事業企画書です。事業企画書はアイデアをまとめた書類であり、事業計画書ほど具体策は提示されていません。一般的には、事業企画書を作成し大枠の合意を取ってから、より具体的な事業計画書の作成を始めます。
記載すべき内容 | |
---|---|
事業計画書 | 事業を成功に導く具体的な方法 ・運営体制 ・資金調達計画 ・収支予測 ・競合動向データ ・市場調査データ など |
事業企画書 | 事業の概要 ・事業を企画した背景 ・見込める効果 ・想定される課題、リスク ・大まかなスケジュールと予算 など |
事業計画書には具体性が必要ですが、最初から完璧に仕上げる必要はありません。提案する相手からのフィードバックを反映し、都度修正していくことを想定して、計画書の約70%が完成した時点で一度相手に見せるのが望ましいといえます。
事業企画書の詳細については、こちらの記事をご参照ください。
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3.【提案先別】事業計画書の目的
事業計画書を作成する目的は「相手を説得して、事業に必要な資金を確保すること」です。したがって、相手に「この事業を応援したい」と思わせるだけの説得力ある事業計画書でなければなりません。よって、事業計画書には事業の将来性や収益性をしっかりと提示する必要があります。
冒頭でお伝えした通り、事業計画書には特定のフォーマットが存在しません。しかし、思いつきで計画書の作成に取り掛かるのではなく、提案する相手によって内容をカスタマイズするとより説得力のある計画書になるでしょう。
経営陣・投資家・銀行と提案する相手によって事業計画書の目的や意味が違ってくるので、その点について詳しく解説します。
1. 社内経営者向け
社内向けに計画書を作成する目的は、決裁者である経営層の承認と予算を取り、事業計画を推進することです。
経営陣に提案する時は、事業を拡大・成長させることに焦点を当て「ワクワク感」を打ち出すことが重要です。
「事業を通じてどのようなことを成し遂げたいのか?」「どのような変化を社会にもたらしたいのか?」が説得できないと、経営陣からの資金調達は難くなります。
事業を通じて実現したいビジョンや目標を語り、計画性だけでなく情熱や、事業にかける想いを伝えることも実は大きなポイントです。(本当に熱量を見られています)
2.投資家(出資)向け
投資家向けに作成する場合の目的は、返済不要の「出資」という形で資金を確保することが目的です。ここでの計画書は銀行融資を目的とした計画書と全く別物と捉えておきましょう。
投資家への提案も経営陣の時と同様、事業のビジョンや熱意をアピールすることが重要です。ビジョンと利益、そしてリスクなど総合的な観点から、新規事業の実現性や将来性をアピールできる計画書を作成しましょう。
3. 銀行(融資)向け
銀行用の事業計画書は、将来返済することを前提とした「融資」を受けることが目的です。しかし、残念ながら中小企業で新規事業の融資を希望する際、不確実性の高さからなかなか融資審査が通らないケースが多いものです。
銀行からの融資を引き出すためには、ビジョンや夢よりも、明確な根拠に基づいた返済数値計画が重要です。どのように経営して収益と利益を上げていくのか、経営する上で何がリスクや課題となり、どう解決するのかを詳細に説明する必要があります。
ゆえに、ポジティブなことばかりをアピールしても銀行の融資審査はおりません。資金繰りの正確な数値や実行可能な戦略を具体的に示し、将来返済できる道筋を明示しなければなりません。
中小企業が新規事業で銀行融資を得るには、多大な労力と時間を要し、難易度が高いため、私たちはおすすめしません。この記事では、銀行融資用ではなく、社内の経営陣または投資家に提案することを想定した事業計画書の作成ポイントを解説します。
なお、銀行の融資審査を通過するためのコツについては、以下の記事で詳細に解説していますのでご参照ください。
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事業計画書のテンプレートやサンプル
事業計画書は、フォーマットが決まってはいないものの、テンプレートやサンプルがあると効果的な計画書を効率良く作成できるようになります。
「何をどう書くべきか」「何から手をつけるべきか」迷っている方は、テンプレートやサンプルを参考にしながら計画書を作成するのがおすすめです。
事業計画書のテンプレートは、さまざまなメディアで公開されています。たとえば日本政策金融公庫では、融資を目的とした計画書を作成する場合のテンプレートを公開しています。
ただし、テンプレートはあくまで汎用的な構成です。事業内容や自社の方針に合わせて、細かい部分をカスタマイズしながら作り上げることをおすすめします。また、提案相手に伝わることを第一に考えて作成することが重要です。
テンプレートを活用した事業計画書の作成方法について、以下の記事で詳細に解説しているのでぜひご参照ください。
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新規事業の計画書を作成する前に「やっておくべきこと5選」
事業計画書で、多くの人がつまずく点があります。事前に「つまずきポイント」し、回避しておけば、よりスムーズに計画書の準備に取り掛かれるでしょう。
ここからは、つまずきを回避するために、事業計画書の作成前に準備すべきことや注意点すべき点を以下の5つ解説します。
- 社内で「制約条件のすり合わせ」をする
- ある程度の予算を社内で先に確保する
- アライアンス候補を挙げる
- テストマーケティングをしておく
- ターゲットユーザーにインタビューする
1.社内で「制約条件のすり合わせ」をする
計画書を社内で提案する際は、事前に制約条件のすり合わせが必要です。新規事業のアイデアがあっても、そもそも会社の経営方針に沿っていない内容であれば経営陣を説得できないからです。
たとえば…
- BtoC事業はやらないと決めている経営陣に、BtoC事業を提案し却下される
- 予算が2,000万円なのに、2億円の予算を申請して却下される
- 自社ブランドを展開したいのに、フランチャイズを提案して却下される
- 「何でもいいよ」と言われていたが、提案したらなぜか却下される…
意外とこういった事象は多いものです。このような無駄な手間を使わぬよう、事前に基本的な方向性は確認しておきましょう。
また、社内の人的資源の活用条件や、新規事業で使える予算の上限なども、事前に確認しておくべき制約条件です。時間をかけて事業計画書を作成した後に「そもそもの事業計画に無理があった…」などということがないよう、あらかじめ時間を設けて経営陣にNG事項の確認をしておきましょう。
2.ある程度の予算を社内で先に確保する
新規事業を立ち上げるに当たり、必要な予算を先に社内で交渉しておきましょう。
新規事業のサービス・商品の開発や市場参入には必ず、安くはないコストが発生します。また、事業が立ち上がった後も黒字化までには時間もコストもかかるケースは多いものです。
新規事業の準備・運営に必要なコストと社内で割ける予算額に大きな乖離がないよう、社内でおおまかな予算の合意を得てから事業計画書の作成を進めましょう。
予算の確保は特に大事な部分なので、早めに確認しておくことをおすすめします。
3.アライアンス候補を挙げる
新規事業の計画書作成前に、アライアンス候補を挙げておくことも重要です。アライアンスとは、事業の取引先や提携企業、または業務委託先などの外部パートナーを指します。多くの場合、新規事業に必要なスキルを持った人材やノウハウをすべて自社で用意するのは難しいでしょう。したがって、社外に何かしらのサポートを依頼するのは自然な流れといえます。
もしすでにアライアンスが決まっている場合は、事業計画書に企業名などを明記し、協力体制が整っている旨をアピールしましょう。もしもまだアライアンスが定まっていない場合は、候補でも構わないので、事前に準備をしていることが伝わるよう企業名や委託先を洗い出しておくことをおすすめします。
4.テストマーケティングをしておく
新規事業を本格的に始動する前に、テストマーケティングをしておくことも大切です。テストマーケティングとは試験販売のことを指し、新商品やサービスを正式発売する前にターゲットユーザーに利用してもらい、反応をみることを意味します。
テストマーケティングを実施することで顧客からのフィードバックを集められ、それをもとに商品を改善したり、在庫や価格を調整したりするなどの対策を取ることができます。
また、顧客の反応をみれば、実際に商品を販売した際の売れ行きも予測できます。現実的な数値を計画書に盛り込むことができるため、計画書の説得力が増します。
仮にテストマーケティングの反応が悪かった場合、商品・サービスのどこを見直す必要があるのか、また狙うべきターゲット層が間違っていないかなど、改善点を早急に突き止めておきましょう。
場合によっては、事業計画を中止または延期にすべきケースも出てきます。しかし、実際に事業を開始してから売上が立たず損失が出るより、事前にテストマーケティングをしておいた方が今後のリスクを軽減できます。
テストマーケティングをはじめとする効果検証を、「PoC」と呼びます。PoCを行うことで、新規事業の実現可能性やコストを検証することが可能です。
PoCを行う際は、検証すべき項目を定め、ポイントを押さえて実行することが重要です。PoCについての詳細は下記の記事で解説しているので、ぜひご参照ください。
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5.ターゲットユーザーにインタビューする
新規事業のターゲットユーザーにインタビューを実施し、商品・サービスについてのフィードバックをもらっておくことも大切です。
ユーザーの価値観や課題、商品・サービスを選ぶ基準や使用方法がわかる質問を問いかけると、より深い洞察を得られます。あらかじめ仮説を立てておき、それが正しいのかをユーザーインタビューで探っていきましょう。
新規事業立ち上げ前に、商品・サービスの品質を向上させておくことが重要です。フィードバックが集まったらユーザーの声を分析し、改善できる部分を洗い出しましょう。
インタビューといっても難しいことはなく、ターゲット層に近い知り合いに話を聞きに行くだけでも意味があります。
周囲にヒアリングできるターゲット層がいない場合は、1時間単位でその分野・業界に詳しい人にヒアリングができる「ビザスク」などのサービスを利用するのがおすすめです。効率的にターゲットユーザーを探し、インタビューすることができます。
感触が良さそうであれば、インタビューの時点で販売確約まで取り付けておくと、その事業の確実性を経営陣や投資家によりアピールできます。テストマーケティング同様、ユーザーインタビューにかかるコストは限定的なため、費用と時間を惜しまず必ず実施しましょう。
新規事業計画書に「記載すべき10項目」
新規事業計画書に記載すべき11項目を、ひとつずつ丁寧に解説します。
事業計画書は頻繁に作成する資料ではないため、不慣れで自信がないという方も少なくありません。しかし、ここで解説する書き方のポイントを押さえておけば、効率良く完成度の高い事業計画書が作成できます。
提案する相手や新規事業の形態によって、強調すべき点や理解してもらうべき点が異なるため、目的に合わせて内容を調整するとより効果的です。
1.事業の意義・目的
まず、事業の意義や目的を記載し、その新規事業を「何のために実現したいのか?」を説明できるようにします。その事業の商品・サービスを通じて世の中に提供したい価値が、企業理念に沿っていることをアピールすることが重要です。
社外の投資家に提案する際は、企業理念からしっかり伝えましょう。
また、提案する相手から共感を得られる内容になっているかも大切です。自分目線ではなく、世の中がどういう状態になっているのが理想なのかを客観的かつ具体的に描き出すことを意識しましょう。
事業の意義・目的が戦略やビジネスモデルの設計にもつながります。そして事業が立ち上がった後も、これらは運営していく上での重要な指針となります。
2.新規事業の概要
開発段階の商品・サービスの実物や画像を用意しておき、機能や効用・効果は図などを用いて分かりやすく説明することを心がけましょう。
ここで新規事業の魅力や健全性をしっかりアピールできれば、社内外の理解や協力も得やすくなります。
具体的には、下記の5項目くらいは最低限記載しておきましょう。
- 商品・サービスの名称
- コンセプト
- 価格
- 機能
- 効用・効果
3.ターゲット市場と競合調査
これから参入する業界・領域の市場調査と競合調査の結果を記載します。まず重要なのは「対象市場が魅力的かどうか?」という点です。
変に「ニッチ産業」や「ブルーオーシャン」を狙わずに、
・「将来的に伸びる見込みある市場か」
・「レッドオーシャンだが、顧客需要に対して提供サイドが足りていない」
など、市場の魅力度をパッと理解できる調査結果があることが望ましいといえます。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
ニッチ産業 ブルーオーシャン | ・競合がいない | ・成熟していない ・時間と費用が膨大にかかる ・市場規模が読めない |
レッドオーシャン (推奨) | ・既に市場がある ・成熟市場で顧客説明がしやすい ・市場規模が読める ・顧客要望(ニーズ)が大きい | ・競合が多い ・差別化が必要 |
なお、ニーズ調査のために、以下の手法を用いることができます。事業に適した手法で調査をしたり、複数の調査を組み合わせたりしてニーズを深掘りすることが重要です。
- 定量調査
- モニター調査
- SNS調査
- 競合調査
- AI調査 など
事業計画書には、これから参入する市場の規模や、需給と提供のギャップ、その新規事業でどのようなニーズを満たせるのかという点を端的に明記しましょう。
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ここを深堀りするためにはペルソナ設定と競合調査が効果的です。
ペルソナ設定
ペルソナとはその商品・サービスを使う架空のユーザー像です。年齢、性別、居住地だけでなく、趣味嗜好や価値観、ライフスタイルなど、人物像が分かる情報を詳細に設定していきます。
ただ、ペルソナ設定には注意点もあります。必ずペルソナは定期的に検証・改善・更新をしておきましょう。間違っても、「1度つくって終わり」な状態にしないことが重要です。
新規事業を含むすべての商売は、購入してくれる顧客がいてはじめて成り立ちます。
その顧客像を放置するということは、商売を捨てることと同意義ですので、(くどいですが)ペルソナの検証・改善・更新は必ず実施しましょう。
競合調査
市場調査と並行して、競合調査も行いましょう。競合企業のHPにのっているIR情報を参照したり、帝国データバンクなどの信用調査会社を利用すると欲しい情報を素早く入手できます。
情報がひと通り揃ったら、フレームワークを活用して情報を整理します。
1つずつ完璧に完成することを目指すのではなく、複数のフレームワークを同時進行で行ったり来たりしつつ進めながら、必要な情報を網羅的に整理していくのが重要、かつ効率的です。
【効果的なフレームワークの例】
- PEST分析
- ファイブフォース
- 製品ライフサイクル
- ポジショニングマップ
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4.ビジネスモデル
ビジネスモデルとは「誰に」「何を」「どのように」提供して収益を得るのかを設計したものです。ビジネスモデルを説明するのは難解に感じるかもしれませんが、ピクト図解を使うと第3者にも伝わりやすくなります。
ピクト図解とは、ビジネスモデルをひと目で直感的に理解できるようにした図のことです。ピクト図解を活用すれば、ビジネスモデルの把握に役立つ以下の相関図を示すことが可能です。
- 誰が(自社)
- 誰に(ターゲット)
- 何を(商品・サービス)
- いくらで提供する
この4つの関係性をシンボル記号(ピクトグラム)を用いて1枚の図に表しましょう。ビジネスモデルのように全て文章で説明するのが難しい時は図や画像を用いて、誰にでも分かりやすくすることが大切です。
参考>> https://bizgram.zukai.co/
5.マーケティング戦略
マーケティング戦略は、ターゲット層にどのように商品・サービスを認知してもらい、購入してもらうのかをまとめたものです。価格設定や、販売場所、販売方法、プロモーション方法などが含まれます。
準備段階で設定したペルソナをもとに、ターゲットユーザーの行動を逆算し、サービスを認知・購入してもらいやすい導線を設計します。
新規顧客の集客策だけでは、長期的な収益の安定性を疑問視する声が上がる可能性もあるため、戦略には「リピーターを増やす方法」も加えると理想的です。
どれだけ素晴らしい商品・サービスを開発しても、世の中に認知されなければ商品は売れません。戦略は事業成功のカギを握る大事な部分なので、説得力のある内容になるよう精度を高めておく必要があります。そのマーケティング戦略を実施する際に必要なコストも明確にしておきましょう。
6.運営体制
事業を運営する上での主要となる社内外のメンバーが、どういう人物なのかを記載します。簡単な経歴以外に「業界経験者がいるのか?」「どういったスキルを持った人がいるのか?」「外部業者や業務委託先ではどんな人と組むのか?」などをまとめます。
経験豊富で専門性が高く、事業を成功に導けるメンバーが揃っている場合は強くアピールすべきです。
社内で人材やスキルが不足している場合は、早めに社外から人材を確保して体制を整えておくと、事業の信頼性が高まります。メンバーが揃ってきたら、チームとしてどんな強みがあるのかも明確にしておくと説得力が増すでしょう。
メンバーを選ぶ際は、ポジションと事業に必要なスキルを定めて選定することが重要です。
新規事業には、以下のポジションが必要となります。
- プロジェクトマネージャー
- プロジェクトコーディネーター(ファシリテーター)
- プロジェクトリーダー
- プロジェクトメンバー
また、新規事業立ち上げメンバーは、以下の3つの判断基準にしたがって選定するのがポイントです。
- リーダーシップがあるか
- 新規事業が目指すビジョンを共有できるか
- 論理的思考ができるか
新規事業立ち上げメンバーの選定方法については、以下の記事で詳細に解説していますのでぜひご参照ください。
7.収支計画
事業計画には、収支計画の記載も必要です。収支計画とは、収入と支出、利益を示したものです。収入は事業の売上、支出は仕入や経費などです。
収支計画を簡単に言うと、その事業が「どれだけ売上を得て」「どれだけの費用を何に使い」「どれくらい儲かるのか」が分かる表です。計画を立てておくことでキャッシュの流れを明らかにし、いつどれくらいの売上・利益を得られるのかを説明できます。
売掛金の入金や仕入代金の支払いは損益計算のタイミングと異なる場合があり、損益計算書では利益を計上していても、支払いが必要なタイミングで手元にキャッシュがない、ということもあり得ます。キャッシュの流れをきちんと管理・把握することは、事業を運営していくための最重要事項です。
また、きちんと収益計画を説明し利益が見込める事業だということを相手に伝えられると、投資してもらえる確率も上がります。
理想的には、事業の安定性や確実性を打ち出すためにも3〜5年分の収支計画があるとよいでしょう。
8.事業立ち上げまでのスケジュール
事業計画書には事業が立ち上がる前の準備段階で「いつまでに誰が何をするのか」を明確にしたスケジュールも必要です。
まず、事業をスタートする時期の目途が立っていれば、そこから逆算して必要なタスクを書き出していきます。すべてを事業計画書に盛り込むのは不可能なので、その中でも特に重要なタスクを選定して計画書に入れていきます。
業務提携をする場合は契約のタイミングや、新規事業の開始についてプレスリリースで発表する場合はその日程も入れておきましょう。
実現可能なプランがあり、計画的に新規事業に臨んでいることが提案する相手に伝わるよう、可能な限り具体的に提示することが大切です。
9.想定されるリスクと対策
新規事業を立ち上げた後に想定されるリスクと対策を提示します。新規参入する市場にどのような潜在リスクがあるのか、事前に詳しく調査しておきましょう。
リスクを把握するためには、同業他社のIR資料に一通り目を通すのがおすすめです。上場企業のIR資料には想定リスクや対策方法が書かれています。
また、リスクと一言でいっても、災害リスク、金銭的リスク、法的リスク、雇用のリスクなどさまざまな内容が挙げられます。事前に想定されるリスクを出来るだけ多く洗い出し、解決に向けて外部弁護士などに相談が必要な場合は窓口も明確にしておくのが理想です。
経営陣や投資家がその事業に投資すべきか判断する際には、利益とリスクを天秤にかけあらゆる角度から事業の将来性を見定めます。時間をかけて客観的な情報やデータを収集し、想定リスクに対する対策を練っておきましょう。
10.既存事業との親和性
新規事業を提案する際、その新規事業と既存事業の親和性も大事なポイントとなります。親和性とは、既存事業のノウハウや資源をどれくらい新規事業に活かせるかということです。
- 企業としてのブランド価値を活かせるのか?
- 両事業で送客し合い顧客シェアを増やせるか?
- 顧客ロイヤリティの向上につながるか?
こういった点を洗い出し、親和性を見極めます。
会社全体で利益を伸ばし、顧客満足度も向上できることを相手に打ち出せると、その事業に対する期待が高まるでしょう。
逆に既存事業との親和性がなく「なぜ自社がこの事業をやるべきなのか?」を説得できないと、投資を受けるのは難しいと考えてください。
11.資金調達計画
収支計画と合わせて、資金調達計画についても記載が必要です。
事業計画を立てる際は、収益が出るかどうかだけでなく、運転資金が十分にあるかという点も重要です。運転資金には、仕入費や材料費といった変動費や、人件費、リース料などの固定費があります。事業を始める際に必要な設備を購入するための設備費も、資金に含まれます。
資金調達計画が十分でないと、融資を返済できない可能性があるので注意が必要です。融資が返済可能なのかどうかについて、担当者を説得できるだけの根拠と計画を示すことが重要です。
新規事業の計画書作成時、5つの注意点
相手に納得してもらえるような新規事業の計画書を作成するために、押さえておきたい以下の5つのポイントについて解説します。
- 専門用語を入れすぎない
- 売上や経費などの数値の根拠を含める
- フォーマットに囚われない
- 提案相手を念頭において作成する
- 第三者にレビューやフィードバックをもらう
1.専門用語を入れすぎない
まず大事なのが、専門用語を入れすぎないことです。「相手も知っているだろう」と思い、業界用語を多く入れてしまうと混乱を招く原因になります。特に社外の投資家に説明する時は、可能な限り業界用語を入れないよう心掛けましょう。
不安な方は一度その業界・領域に詳しくない人に事業計画書を見てもらい、理解してもらえるか確認してみてください。
2.売上や経費などの数値の根拠を含める
売上や経費など、数値の根拠を可能な限り記載することも大切です。特に販売数や商品単価、必要経費は客観性のあるデータに基づいた根拠を提示することで信憑性が高まります。
根拠を示すための検証にはインターネットでリサーチできる公的なデータや分析、または前述の調査機関などを活用して、費用をかけてデータを集めましょう。
3.フォーマットに囚われない
事業計画書の目的は「相手を説得して投資してもらうこと」のため、提案相手に合わせて伝える内容をアレンジすることが大切です。したがって、フォーマットやテンプレートにこだわり過ぎず「相手を説得できるのか?」という観点で必要な情報を記載しましょう。
一般的にエクセルまたはパワーポイントで作成しますが、図などを入れやすいパワーポイントの方が好まれる傾向があります。
4.提案相手を念頭において作成する
事業計画書は、相手に納得してもらうための資料です。事業計画書を提出する相手を念頭に置いて、相手が重視している点は特に念入りに作り込む必要があります。
たとえば、社内の決裁者や経営層の場合は、自社の理念に沿っているか、自社の事業に利益をもたらすかを重視します。投資家や銀行の融資担当者の場合は、事業への熱意や想定されるリスク、融資の返済可能性などを重視するでしょう。
独りよがりなものにならず、相手が求めていると思われる情報と根拠を盛り込んで作成することが重要です。
5.第三者にレビューやフィードバックをもらう
新規事業計画書を作成したら、提出する前に第三者にレビューやフィードバックをもらうのもおすすめです。自分では気づかなかった情報の漏れや根拠の薄さ、論理の整合性などを指摘してもらえる可能性があり、計画書をブラッシュアップできます。
フィードバックに適した人材がいなければ、コンサルタントにフィードバックを依頼するのもおすすめです。
新規事業計画書に関する、よくある質問(Q&A)
- 新規事業計画書は何ページ必要?
-
新規事業計画書には盛り込む内容や情報が多く、ついページ数が増えてしまいがちです。しかし、あまりに膨大な資料だと相手も目を通しきれず、肝心なポイントが伝えにくくなってしまいます。
情報はコンパクトにまとめ、10ページから20ページほどの新規事業計画書に仕上げるのがおすすめです。閉じる
- 新規事業計画書の作成は誰に頼める?
-
新規事業計画書は、事業のビジョンや構想を盛り込む必要があり、基本的にはご自身で作成するのが良いでしょう。
ただし、「作成する時間がどうしても取れない」「どこから手をつけて良いかわからない」という場合は、コンサルタントの活用もおすすめです。閉じる
投資してもらえる事業計画書を作成しよう
新規事業の計画書を作成するには、ある程度のコツと時間が必要です。しかし、ここで解説したポイントを押えて作成すれば、説得力の高い事業計画書が完成します。
新規事業をもっとも理解している担当者が事業計画書を作成するのが最適ですが、もしご自身で作成するのが難しい場合は、専門家に相談することも検討してみてください。
弊社では、事業計画書の作成の相談も受け付けておりますので、ぜひお問合せくださいませ。
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