【図解・事例付】新規事業のSWOT分析のやり方/活用事例を解説

【図解・事例付】新規事業のSWOT分析のやり方/活用事例を解説
    • 新規事業
  • 2021年9月23日
ポイント

「SWOT分析」ってよく聞くけど、今さら聞けない…。

ポイント

分析したあと何に活用できるのか分からない…。

そもそもSWOT分析とはどんな手法なのか、活用したいと思っているが詳しく知らないという方は多いのではないでしょうか?

企業の業績アップや成長のためには、自社の現状をしっかり把握し、冷静に分析する必要があります。その方法としてよく用いられるのが、「SWOT分析」です。

上手に活用すれば、 自社の今後の成長・発展に役立つデータを入手できます

私は、株式会社Pro-D-useという新規事業・事業再生専門の経営コンサルティング会社で、数多くのプロジェクトでSWOT分析を活用してきました。

執筆者:株式会社Pro-D-use岡島光太郎

本記事では、SWOT分析の基礎知識や、具体的な方法、活用することのメリット・デメリットなどをわかりやすくまとめました。

この記事を読み終えると、こんなことが実現できます

  • SWOT分析を理解し、会社の成長に繋げられる
  • SWOT分析の活用メリット・デメリットが分かる
  • SWOT分析を活用し、自社分析をスムーズに行うことが出来る

新規事業は「なんとなく」で進めると、必ず失敗します。上手くいく新規事業には一定のパターンがあり、それを知らずに新規事業を始めてはいけません。

弊社「(株)Pro-D-use(プロディーユース)」は、“伴走型の新規事業支援” を得意とするコンサルティング会社です。これまで300件以上の新規事業の相談を受け売上10.38倍」「営業利益大赤字→営利23%の黒字化など、多くの実績をあげてきました。

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目次

SWOT分析とは、企業の強み・弱みを把握フレームワーク

SWOT分析 自社の現状を把握する方法

SWOT分析とは、企業のもつ強みや弱みを把握するために活用されるフレームワークの一種です。

SWOTとは下記4点の頭文字をとった略称です。

  1. 「Strength(強み)」
  2. 「Weakness(弱み))」
  3. 「Opportunity(機会)」
  4. 「Threat(脅威)」

4つの項目をすべて埋めることで、企業の現状を把握したり、経営戦略の基盤に活用したりすることができます

1. Strenght(強み)

Strenght(強み)

企業が持つ資源や特徴(内部環境)のうち、目標を達成するのに大きく貢献すると考えられる要素です。つまり、内部環境のプラス要因のことを指します。

自社商品・サービスやブランドにおける、競合と比較して強みとなる部分が該当します。

事例を挙げると、

  • 長年にわたる実績
  • 技術力の高さ
  • 従業員のスキル・経験
  • 設備・製品力
  • 開発力
  • 財務能力現預金量、資金調達力
  • 組織構造
  • 経営戦略、方針

などが、これに該当します。

Strenght(強み)には、自社が直接的にコントロールができるものを記載しましょう。

2. Weakness(弱み)

Weakness(弱み)

企業が持つ資源や特徴(内部環境)のうち、目標達成の妨げになると考えられる要素です。つまり、内部環境のマイナス要因のことを指します。

自社商品・サービスやブランドにおける、競合と比較して弱みや課題が残っている部分が該当します。

一部、例を挙げると、

  • 自社が苦手とする分野
  • 競合他社より劣っている部分

などが、これに該当します。

Weakness(弱み)には、自社が直接的にコントロールができるものを記載しましょう。

3. Opportunity(機会)

Opportunity(機会)

企業や、その商品・サービスに良い影響をもたらすと考えられる外部環境の要素です。つまり、外部環境のプラス要因のことを指します。

業績拡大や競合優位の可能性など、自社にとってプラスとなる部分が該当します。

いわゆるビジネスチャンスのことで、

  • 政策や市場トレンド
  • 経済状況
  • 法的環境
  • 社会環境
  • 競争環境
  • 技術トレンド
  • 自然環境

などが、自社にとってどんな良い影響・きっかけをもたらしてくれるかを分析します。

Opportunity(機会)には、自社が直接的にコントロールできないものを記載しましょう。

4. Threat(脅威)

Threat(脅威)

企業や、その商品・サービスに悪い影響をもたらすと考えられる外部環境の要素です。つまり、外部環境のマイナス要因のことを指します。

業績拡大や競合優位の可能性など、自社にとってマイナスとなる部分が該当します。

たとえば、

  • 競合他社の台頭
  • 人材不足

などが、これに該当します。

Threat(脅威)には、自社が直接的にコントロールできないものを記載しましょう。

自社のSWOT分析をする「3つの手順」

ここからは、実際にSWOT分析をする際の3つの手順を紹介します。

◆ SWOT分析3つの手順

  1. 強みを見つける
  2. 弱みを見つける
  3. 機会と脅威を見つける

自社を取り巻く内的要因や外的要因を客観的に把握することが、正確なSWOT分析の秘訣です。具体的な方法を解説していくので、最後まで読み進めSWOT分析を行う際の参考にしてください。

手順1. 強みを見つける

SWOT分析のS、Strenght(強み)を見つけるには、「なぜ自社や自社のサービスが使われている・選ばれているのか」を考えるのが良いでしょう。

「顧客」「支援者(顧問税理士や社労士など)」「従業員」は、自社や自社のサービスを選んでくれた人達です。そこには必ず理由があります。

その理由を可視化・言語化し、具体的に見つけ出すことが、強みを見つける、ということです。

分からない場合には、「顧客」「支援者」「従業員」に、直接問いかけてみるのも良いでしょう。思いもよらなかった答えが返ってきて、自社の新たな一面を知ることができるかもしれません。

手順2. 弱みを見つける

Weakness(弱み)は、強みと表裏一体であるため、強みを見つけることで弱みもある程度可視化・言語化することが可能です。

しかし、より詳しく弱みに言及していくには、競合の調査・分析・比較が欠かせません。

「競合と比較して自社に足りない要素は何か」の答えが、そのまま自社の弱みとなります。

なぜ競合他社を選ぶ人がいるのか、なぜ顧客から選んでもらえないのかを考え、分からない場合には競合他社を選ぶ方へ問いかけてみるのも大切です。

Threat(脅威)も競合他社が関係する項目ですが、混同してしまわないように注意し、弱みには自社に足りない点のみを書きましょう。

手順3. 機会と脅威を見つける

Opportunity(機会)とThreat(脅威)を見つけるには、「政治」「経済」「社会」「技術」そして、「競合」「消費者」「取引先」といった項目から、自社のビジネスに関係のある事柄を洗いだしておくことが大切です。

「政治」「経済」「社会」「技術」などの大きな要素は、自社の力では制御不可能な外的要因であり、マクロ視点と呼ばれます。

反対に「競合」「消費者」「取引先」といった小さな要素は、マーケティングなどによって少しは影響を及ぼすことが可能な外的要因であり、ミクロ視点と呼ばれます。

マクロ視点とミクロ視点の双方から課題を洗い出すことで機会と脅威が把握でき、ビジネス上の機会損失を抑えることが可能です。

SWOT分析のやり方

SWOT分析を経営に役立てるためには、正しい手順と方法で分析をする必要があります。ここでは、SWOT分析のやり方を下記3つのステップに分けてご説明します。

◆ SWOT分析3つのステップ

  1. SWOT分析の目的を明確化する
  2. 分析の対象となる項目を決定する
  3. クロスSWOT分析を行う

ステップ1. SWOT分析の目的を明確化する

SWOT分析は幅広い用途に役立つ分析手法ですが、目的を明確にしないまま分析を行っても、せっかくのデータを活かしきれずに終わってしまう可能性があります。

SWOT分析にはそれなりの手間と時間がかかりますので、せっかくのデータを無駄にしないためにも、まずはSWOT分析を行う目的を明確化することから始めましょう

たとえば、

ポイント

自社の課題を洗い出し、ウイークポイントの解消を図りたい

ポイント

将来起こり得るリスクを知り、然るべき対処法を模索したい

など、SWOT分析を行う目的をしっかり設定しておくと、入手したデータを企業の成長や発達、目標達成などに活用できます。

ステップ2. 分析の対象となる項目を決定する

一言に「強み」「弱み」といってもいろいろな項目がありますが、それらを全て列挙していくと、かえって分析の精度が低下してしまうおそれがあります。

1で明確にしたSWOT分析の目的を軸に、必要な項目をピックアップしていきましょう

たとえば飲食店が売上アップを目的にSWOT分析を行う場合、以下のような項目を分析対象として挙げていきます。

  • S(強み):知名度が高い、個性的なメニューが多い、顧客満足度が高い
  • W(弱み):原価が高い、人手不足、注文から提供まで時間がかかる
  • O(機会):同じエリアに競合店が少ない、近隣に駅ができる予定がある
  • T(脅威):景気悪化により外食控えの傾向にある、宅飲みブームで酒類の収益が低下しつつある

分析のコツは「外部環境から分析をし始める」ことです。つまり、Opportunity(機会)Threat(脅威)から分析を始めるのです。

SWOT分析に関わらず、全ての分析は大きな枠 → 小さな(個別の)枠の順番で分析するとうまくいきますよ。

ステップ3. クロスSWOT分析を行う

SWOTの4つをすべて埋めたら、それぞれを掛け合わせて分析する「クロスSWOT分析」を行います。

どの項目をクロスさせるかによって分析結果が変わってきますので、各々に応じた戦略を打ち立てることが大切です。

O(機会)T(脅威)
S(強み)S(強み)×O(機会)S(強み)×T(脅威)
W(弱み)W(弱み)×O(機会)W(弱み)×T(脅威)

それぞれのパターンの特徴については、以下のとおりです。

クロスSWOT分析例①:S(強み)×O(機会)

現在あるいは近い将来訪れるビジネスチャンスと、自社の強みを最大限に活かせる戦略を打ち立てる時に役立つ分析パターンです。

前節で紹介した飲食店を例に挙げると、近隣に駅ができた場合、通勤客の利用増加が見込まれます。

これを受けて、

  • 通勤客向けのモーニングサービスを提供する
  • サラリーマンやOLをターゲットにしたディナーメニューを充実させる

といった戦略を打ち立てれば、新規顧客の獲得につながります。

クロスSWOT分析例②:S(強み)×T(脅威)

現在進行形または将来起こり得るリスクを回避するために、自社の強みをどのように活かすべきかを分析できるパターンです。

たとえば、宅飲みブームで酒類の提供による収益が落ち込むリスクがある場合は、「プロの味でぜいたくな宅飲み時間を楽しもう」というコンセプトのもと、自宅ではなかなか真似できないオリジナルのおつまみ料理をテイクアウト販売すれば、新たな顧客ニーズを生み出すことができます。

クロスSWOT分析例③:W(弱み)×O(機会)

現在の弱みを解消し、ビジネスチャンスをつかむためにはどのような取り組みを行うべきかを分析できるパターンです。

たとえば、駅の開発によって新たな需要を見込めるにもかかわらず、人手不足で回転率を上げられない可能性がある場合は、新たな人材を募集したり、調理効率をアップするための方法を模索したりする方法が有効です。

クロスSWOT分析例④:W(弱み)×T(脅威)

弱みと脅威が重なって発生する最大のリスクをどう回避すべきか検討する際に用いられる分析パターンです。

たとえば景気悪化で外食控えの傾向が強く出ている時期に、原価の高い料理を提供していると、客足が遠のいてしまう可能性があります。

1品あたりの利益を下げた場合、そのぶん回転率を上げる必要がありますが、人手不足の現状では対応スピードにも限界があります。

逆に原価を下げると、強みである顧客満足度が下がり、リピーター離れが加速する危険性があります。

こうした問題にどう対処するかは、ターゲットとなる層のニーズを正確に把握し、最もベターな方法を採用することが大切です。

詳しいやり方を知りたい方や適切なフィードバックをもらいながら戦略を立てたい方は、プロに相談するのが良いでしょう。

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SWOT分析の活用メリット・デメリット

SWOT分析を活用すると、企業にとってさまざまなメリットがある反面、いくつかのデメリットもあります。

SWOT分析をうまく経営に活かせるよう、良い面だけでなく、懸念すべき点もしっかり押さえておきましょう。

ここではSWOT分析を活用することで得られるメリットとデメリットをご紹介します。

メリット1. 現在の状況を客観視できる

自社の強みや弱みはしっかり把握できているように見えても、実は盲点になっている部分も少なくありません。

SWOT分析を行うにあたり、あらためて自社の強みや弱みを列挙してみると、 思わぬ収穫や課題が見つかり、新たな戦略を打ち立てるきっかけになることもあります

メリット2. 効率的な戦略を立てられる

自社の売上や業績を最も効率よくアップさせる方法は、強みや特性を最大限に活かすことです。

もともと得意な分野や、突出している能力を重点的に伸ばしていけば、競合他社との差別化を図ることができます。

S(強み)×O(機会)の分析がうまく行けば、訪れたチャンスを確実につかむことができるので、 一気に業績・売上を伸ばすことも可能です

メリット3. リスクを回避できる

経営にはリスクがつきものですので、うまく行っている時でも、将来のリスクへの備えを万全にしておく必要があります。

SWOT分析を行えば、将来どんなリスクが想定されるか。

リスクを回避するためにはどうすればよいのかなど、 危機を避けるための施策を検討することができます

デメリット1. SWOT分析単体では大まかな現状しか把握できない

SWOT分析はフレームワークの中でも特に基礎的な分析手法に該当しますので、大まかな現状の把握には適していますが、より細かい分析を行いたいときや、要素同士の因果関係を明らかにしたいときには不向きです

より詳細なデータを確保したい場合は、他のフレームワークとの併用を検討する必要があります。

デメリット2. SWOTの切り分けが難しい

初めてSWOT分析を行う場合、意外とつまずきやすいのでSWOTの切り分け作業です。

特にS(強み)とO(機会)、W(弱み)とT(脅威)がそれぞれ混在してしまうケースが多く見られます。

また、内部環境(S・W)と外部環境(O・T)の区別をつけにくい、SWOTのいずれにも振り分けられない要素が出てくるといった問題もあり、初心者が正確な分析を行えるようになるまでには時間と経験が必要になる場合もあります

自社だけで経営戦略を立てることに不安を感じた方は、プロに相談することを視野に入れてみてください。

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SWOT分析を活用するうえでの注意点

SWOT分析を正しく活用するためには、正確性が非常に重要です。自社の強みや弱みを、なんとなくで決めてしまっていると、運用を始めた際に大きな誤算が生じてしまうかもしれません。

内部環境は特に、数値で表せるものを活用してください。

内部環境の分析によく用いられる項目には、以下のようなものがありますが、

  • 企業認知度・ブランド力
  • インフラ・立地や拠点
  • 製品の品質
  • 人材などの資源
  • 技術力
  • 職場環境・離職率や定着率
  • 従業員・顧客の満足度

できるだけ数値を活用することで。客観的に議論を深められ、自社の強み・弱みを正確に把握できるでしょう。

強みと弱みが正確でなければ、それらを活用してどのようにチャンスを活かすか、脅威を乗り越えるか、という議論も意味を成さなくなってしまうので、正確性は何よりも大事です。

SWOT分析が本当に正しく活用できているか不安な方は、プロに相談するのが良いでしょう。

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SWOT分析の活用ポイント

SWOT分析を経営に活用するにあたり、押さえておくべきコツや、意識しておきたいポイントを3つご紹介します。

ポイント1.客観的な分析を心掛ける

SWOT分析に限らず、ある特定のデータを分析するときは、客観的な視点で行うことが大切です。

特にS(強み)やW(弱み)などの内部環境は主観的になりやすく、理想や願望が入り交じったり、弱点から目を背けてしまったりするケースが多々見られます。

主観の混じった分析は経営戦略に役立ちませんので、あくまで客観的に分析することを心掛けましょう。

より精度の高い分析を行いたいのなら、忌憚のない意見を述べてくれる第三者の意見を取り入れるのも有効です。

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ポイント2.なるべく多様な意見を取り入れる

限られた部門・メンバーだけでSWOT分析を行うと、視点に偏りが出てしまい、見逃しや収集漏れなどのミスが発生するおそれがあります。

特定の部門や現場の人間にしかわからないSWOTもありますので、分析を行う際はなるべく多様な意見を取り入れられるようなメンバーを厳選する必要があります。

ただ、あまりメンバーを増やしすぎると収拾がつかず、項目を埋めるだけで時間がかかってしまいますので、メンバーの適切な絞り込みを行うことも大切です。

ポイント3.前提条件を明確にする

SWOT分析における強みと弱み、機会と脅威は、それぞれ視点を変えると立場が逆転する可能性をはらんでいます。

たとえば、こだわりの食材を使った料理を高値で提供することは、「リッチで美味しい料理が食べたい」と思っている顧客に対しては強みになりますが、「安くてボリュームのある料理が食べたい」と思っている人には弱みになります。

あらかじめ前提条件(どの視点で分析するか)を決めておけば、SWOTを挙げるときに意見の食い違いが起こらず、軸のぶれない分析を行うことができます。

SWOT分析と併用できるフレームワーク

SWOT分析は、他のフレームワークと併用することで、より詳細な分析を行ったり、弱点をカバーしたりすることが可能になります。

ここではSWOT分析と併用できる有効な下記フレームワークを3つご紹介します

  1. PEST分析
  2. 3C分析
  3. 5フォース分析

フレームワーク1. PEST分析

自分ではコントロールできない外部環境を分析する際に用いるフレームワークです。

PESTとは、

  • 「政治(Politics)」
  • 「経済(Economy)」
  • 「社会(Society)」
  • 「技術(Technology)」

の4語の頭文字を取った略称で、これら4つの要素によって発生しうるリスクや変化を分析することができます。

政治(Politics)法改正、税制政府の安定性、政策、規制、国際情勢など
経済(Economy)景気動向、物価、インフレ率、金利、経済成長率、失業率、個人消費の動向、産業構造為替など
社会(Society)人口動態、世帯数・世帯構成、文化、宗教、世論・価値観、教育、治安流行、ライフスタイルの変化など
技術(Technology)新技術、研究開発活動、技術革新(イノベーション)、特許IT活用など

SWOT分析では「O(機会)」に該当する項目で、より広い視野でリスクをとらえたい時に有効な分析方法といえます。

フレームワーク2. 3C分析

  • 「顧客・市場(Customer)」
  • 「競合(Competitor)」
  • 「自社(Company)」

という3つの「C」をもとに、現状を分析するフレームワークです。

顧客・市場(Customer)顧客と市場の動向、ニーズの変化
競合(Competitor)競合他社の動向と対応
自社(Company)自社の現状、強みや展望

たとえば顧客・市場なら、

  • 「女性ユーザーの増加」
  • 「ニーズの多様化」

競合では、

  • 「シェア率の増加」
  • 「シニア層の獲得に注力」

そして自社では、

  • 「新規顧客の獲得減少」
  • 「実績と技術力に長けている」

など、それぞれのCの特徴や動向を列挙します。

そのうえで3つの関係を総合的に分析すると、市場の変化や競合の動きなどに合わせた経営戦略を打ち立てるヒントを得ることができます。

フレームワーク3. 5フォース分析

競合他社だけでなく、新規参入業者や代替品、売り手・買い手の交渉力といった5つのフォース(要因)の相互関係を分析し、業界全体の構造を把握する際に用いるフレームワークです。

競合他社競合他社の企業数、影響力、関係性など
新規参入業者新規参入しやすい業界かどうか、潜在的な新規参入業者の数や規模など
代替品自社の商品・サービスに代わる代替品・代替サービス
売り手の交渉力供給元の供給量や価格決定に関する影響力など
買い手の交渉力消費者・顧客による値下げ要求など

これらの要因は業界の収益性に大きな影響をもたらすため、5フォース分析を行うことで、今後どのようなチャンスが業界に訪れるか、逆にどんなリスクが想定されるかを分析することができます。

SWOT分析においては、内部環境および外部環境の切り分けを、より高精度に行いたいときに役立ちます。

SWOT分析を使った企業事例

ここまで、SWOT分析の活用方法について解説してきました。しかし、「活用するメリットやデメリットは分かったが、肝心の使い方がまだよく分からない」という方もおられるでしょう。

そこで、具体的な使い方を下記3社の事例をもとに解説します

◆ SWOT分析の3つの活用事例

  1. Apple(アップル)
  2. ヤマトホールディングス
  3. マクドナルド

これらの企業に対してSWOT分析を行い、それがどのように経営戦略に活かされているかを解説します。

事例①:Apple(アップル)

Appleを例に、SWOT分析を行うと、各項目は以下の通りです。

  プラス要因 マイナス要因
内部環境 強み

 ・iPhoneの存在など、ブランド力が高い
 ・フィットネスデバイスのシェアが大きい
 ・PC製品以外にも製品を多数開発

弱み

 ・製品価格が高額
 ・スマートスピーカー事業が伸び悩む

外部環境

機会

 ・生活に根付いたスマートフォンアプリ
 ・大手キャリアからのIPhone発売
 ・コロナ禍で進むIT化

脅威

 ・他スマートフォン、PCメーカーの台頭
 ・スマートフォン市場全体の伸び悩み
 ・円高・円安による影響を受ける

ここからクロス分析を行うと、たとえば「強み」×「機会」では、今後ブランド力や開発・技術力を活かしコロナ禍で需要の高まるWebサービス事業に注力すると効果が高いことが分かります。

また、「弱み」×「脅威」では、価格が高額なため、円安になると他のスマートフォンとの価格競争で大きな差を開けられ、シェアを奪われてしまう危険性があることも分かるでしょう。

実際にAppleは現在、AppStoreやサブスクリプションを中心としたWebサービス事業に力を入れており、円安の影響で日本国内のスマートフォンシェアをAndroidに逆転されつつあります。

事例②:ヤマトホールディングス

宅配サービスで有名なヤマト運輸でのSWOT分析結果は以下の通りです。

  プラス要因 マイナス要因
内部環境

強み

 ・ブランド力が高い
 ・宅配事業のシェア率が高い
 ・全国展開の物流網がある
 ・離職率が低い

弱み

 ・本業以外の事業が育っていない

外部環境

機会

 ・ネット通販の増加

脅威

 ・物流業界の労働環境イメージが悪い
 ・人件費の向上
 ・自動運転技術の向上

宅配事業のシェア率が高いことから、ネット通販拡大の恩恵を受け業務が増えることが予想できます。結果、ヤマト運輸はAmazonと共同で「マーケットプレイス配送サービス」を提供し、売上を伸ばすことに成功しました。

さらに、物流業界の労働環境イメージが悪くとも、離職率が低いために人員を確保することができる、といったリスクを乗り越える対策が既にあることも分かります。

また、今後トラックの自動運転技術が向上しドライバーの数を減らさなければならないとなった時、本業以外の事業が育っていないため余剰人員が出てしまう、といった問題も見えてきます。

SWOT分析を活用することで、そのように先々出てくる問題点も事前に認識でき、対策に時間をかけることが可能です。

事例③:マクドナルド

ファストフード店の代表とも言えるマクドナルドのSWOT分析結果は、以下の通りになります。

  プラス要因 マイナス要因
内部環境

強み

 ・店舗数
 ・低価格
 ・ファミリー層に人気が高い

弱み

 ・品質面で劣る
 ・企業内の統率が困難

外部環境

機会

 ・不況による低価格指向
 ・個食の増加

脅威

 ・ファストフード店・コンビニの増加
 ・コロナ禍に伴う中食・内食
 ・健康志向の高まり

マクドナルドは過去に、消費期限切れの鶏肉使用疑惑や異物混入事件などによって、巨額の赤字を記録しています。

「企業内の統率が困難」という弱みによって起きた不祥事であり、それが「健康志向の高まり」や「競合他社が増えたこと」による脅威と組み合わさり、大きな影響となりました。

また、品質や信頼を重視する顧客を引き止められるような強みがなかったことも、赤字を拡大した原因と言えるでしょう。

つまり、品質に対する安心感という強みさえあれば、顧客離れや赤字を食い止められたということです。

実際にマクドナルドは赤字回復の施策として、材料の原産国や加工工場の公開、有名芸能人のCM起用などを打ち出し、ブランドイメージの向上を図ることで黒字化を果たしました。

SWOT分析は、自社の現状把握や今後の経営戦略の作成に役立つ

SWOT分析は、自社の強み・弱みや、外部環境による機会、脅威といった4つの項目をもとに、自社の状況を分析できる手法のひとつです。

それぞれの項目を掛け合わせれば、自社の強みをどのように活かすべきか、将来起こりうるリスクに対してどのような備えをしておくべきか、客観的に分析することができます。

ただ、分析の軸がブレると正確な分析結果が出ない場合がありますので、前提条件を明確にする、多様な意見を取り入れるなど、SWOT分析を行うための体制をしっかり整えておきましょう。

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参考>>
SWOT分析とは?書き方や事例を解説|Lifrell
2024年問題とは?物流業界の課題に挑む働き方改革とその対応策を解説富士ロジテック
【図解】SWOT分析って何?活用方法や事例も分かりやすく紹介|株式会社デジマケ

コラム著者プロフィール

岡島光太郎

岡島 光太郎

取締役副社長 兼 経営コンサルタント(Co-founder)

2009年:(株)リクルートに新卒で入社。営業・企画の両面で責任者を務める。
※リクルートではMVPやマネジメント賞など、個人・マネージャー賞を多数受賞。
2013年:(株)データX(旧:フロムスクラッチ)の創業期に転職。営業や新卒・中途採用の責任者を務める。
2014年:アソビュー(株)に転職。その後、営業責任者、新規事業責任者を歴任。
2015年:(株)Pro-D-useを創業。取締役副社長(現任)に就任。

【得意領域】
新規事業の立上げ~収益化、成果を上げる営業の仕組み作り、BtoBのWebマーケティングを主軸とした売れる仕組み作り、DXまで見通したIT・SaaS・業務システムの導入や運用、融資を中心とした資金調達~財務のコンサルティングを得意としている。

【担当業種】
「システム受託開発」「Webサービス」「Tech系全般」「製造」「建築」「販売・サービス」「スクール業」など多岐。

【資格・認定】
中小企業庁認定:中小企業デジタル化応援隊事業認定IT専門家 / I00087391
経済産業省認定:情報処理支援機関 / 第39号‐24060007(21)