外部環境分析フレームワーク「PEST分析」とは?戦略策定に活かすコツを解説

外部環境分析フレームワーク「PEST分析」とは?戦略策定に活かすコツを解説
    • 新規事業
    • 経営ノウハウ
  • 2023年8月4日

事業戦略や経営方針を策定するには、社会的要因や経済動向をふまえて戦略を考える必要があります。そんな時に役に立つ外部環境分析フレームワークが「PEST分です。

ポイント

PEST分析は、具体的にどのような項目でリサーチすればいいかわからない

ポイント

情報を集めたけど、どんな手順で、どう整理すればいいかわからない

ポイント

PEST分析の事例や、ケーススタディを知りたい

実は、外部要因の情報を収集する方法や、整理、分析の方法がわからないという悩みは「PEST分析」を導入することで解決することができます。

なぜなら、PEST分析では4つの外部環境要素にもとづいて情報の収集や整理を行うため、非常に効率よく分析を進められるからです。

この記事では、新規事業のコンサルティング会社Pro-D-useで数多くの支援を行ってきた私が、事業の方針や戦略策定に役立つフレームワーク、「PEST分析」について解説します。

執筆者:株式会社Pro-D-use岡島光太郎

この記事を読むと、以下のことが理解できるようになります。

  1. PEST分析において軸となる4つの要素について理解できる
  2. 4つの要素についてどのような観点で情報収集すべきかがわかる
  3. 収集した情報を自社の事業に活用するためのコツがわかる

記事を読み終えた後は、以下のことができるようになるので、ぜひ最後までお読みください。

  • PEST分析を行う具体的なプランが立てられる
  • PEST分析を行う目的や目標を設定できる

新規事業は「なんとなく」で進めると、必ず失敗します。上手くいく新規事業には一定のパターンがあり、それを知らずに新規事業を始めてはいけません。

弊社「(株)Pro-D-use(プロディーユース)」は、“伴走型の新規事業支援” を得意とするコンサルティング会社です。これまで300件以上の新規事業の相談を受け売上10.38倍」「営業利益大赤字→営利23%の黒字化など、多くの実績をあげてきました。

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フレームワーク「PEST分析」とは?

フレームワーク「PEST分析」とは?

「PEST分析」とは、マクロ環境を分析するためのフレームワークです。

PESTという名称は「Politics(政治)」「Economy(経済)」「Society(社会)」「Technology(技術)」の頭文字から来ています。自社を取り巻く外部要因についてこの4つの観点で整理、分析を行います。

PEST分析は、世の中の流れや自社を取り巻く環境を大局的に把握するのに役立つフレームワークです。現状を把握するだけでなく、今後起こる可能性のある変化についても予測しやすくなるというメリットもあります。

なお、「PEST」の読み方は「ペスト」です。

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PEST分析が使える場面や活用目的

PEST分析が使える場面や活用目的

PEST分析が利用できる、以下の場面や目的について解説します。

  • 新規事業におけるアイデア出し
  • 既存事業の戦略策定
  • 事業撤退の判断材料

新規事業におけるアイデア出し

PEST分析は、新規事業のアイデアを出す際に活用できます。新規事業を企画するにあたり、重要となるのは参入する市場の見極めです

PEST分析で外部環境を分析することで、市場の動きを把握し、今後伸びる可能性がある市場や、自社の強みを生かし優位性を発揮できる市場への参入を検討できます。

自社が参入できる市場を特定することができれば、新規事業の有効なアイデアを生み出すのに役立ちます。アイデア出しを行う前に、PEST分析によって世の中の流れや社会のニーズを把握しておくことが重要です。

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既存事業の戦略策定

新規事業だけでなく、既存事業の戦略を策定するのにもPEST分析が役立ちます。

既存事業の運営を続けるためには、常に変化している世の中や市場の流れを読み、それに適応できるような戦略を策定する必要があります。

PEST分析は、自社を取り巻く環境を把握し、今後市場がどうなっていくのか予測するのに役立つフレームワークです。PEST分析で把握や予測を行った上で、変化していく市場に適応できるような事業戦略やマーケティング戦略を策定することが重要となります。

事業撤退の判断材料

新規事業や既存事業で収益が出ず、撤退を判断しなければならない場合もあります。PEST分析は、事業撤退を判断する材料としても活用することが可能です。

巨額の赤字が出ており、今後も収益化する見込みがない場合は即座に事業撤退を判断する必要がありますが、撤退を慎重に判断しなければならない場合もあります。その場合は、PEST分析やファイブフォース分析、SWOT分析といったフレームワークを用いて内部環境と外部環境を把握し、事業撤退を検討します。

フレームワークを用いた事業撤退の判断について、以下の記事で解説しているのでこちらもご参照ください。

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PEST分析の4要素

PEST分析

PEST分析は、以下の4つの要素で情報を収集、整理します。

  • Politics(政治)
  • Economy(経済)
  • Society(社会)
  • Technology(技術)

それぞれの要素と、着目すべきポイントについて解説します。

Politics(政治)

Politics(政治)

Politics(政治)においては、以下の観点で情報を整理します。

  • 法改正
  • 税制改正
  • 政治の安定性(政権交代など)
  • 政策
  • 規制
  • 国際情勢

政府が打ち出す政策や法改正、規制緩和は、自社事業にも影響を及ぼす可能性があります。自社の事業にとって脅威となったり、新たなビジネスチャンスとなったりする可能性があるので、自社に関連のある法律や政策について把握しておくことが重要です。

【法改正の例】

薬機法改正…「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」は、別名薬機法とも呼ばれ、医薬品や化粧品、健康食品に関する規制を定義する法律です。薬機法はこれまでに何度か改正されており、医薬品や化粧品の販売に大きな影響を及ぼしています。医薬品・化粧品の販売、製造に関わる事業において、必ず把握しておくべき法律です。

Economy(経済)

Economy(経済)

Economy(経済)では、以下の観点で情報の収集と整理、分析を行います。

  • 景気動向
  • 経済成長
  • 失業率
  • 個人消費の動向
  • 為替・金利
  • 産業構造
  • 物価
  • インフレ率

国内の景気や物価、個人消費の動向といった経済状況について分析を行います。

海外の賃金や物価の変動によって、原材料の仕入れ価格や商品の販売価格に影響を及ぼす可能性があるので、国内だけでなく海外の経済動向についても情報収集が必要です。

国内外の経済状況や個人消費の動向を把握しておくことにより、ビジネスチャンスを見つけられる可能性があります。また、経済動向の変動による損害を最小限に抑えるための施策を検討するのにも活用できます。

Society(社会)

Society(社会)

Society(社会)では、自社を取り巻く社会の状況について、以下の項目を洗い出します。

  • 人口動態
  • 流行・世論
  • 文化
  • 世帯数・世帯構成
  • 文化
  • 宗教
  • 価値観
  • 教育
  • 治安
  • ライフスタイルの変化

人口や世帯数、世帯構成の変化によって、ターゲットが変わる場合があります。また、流行や価値観、ライフスタイルの変化にともない、ニーズも変化します。このような変化に対応するため、社会情勢について情報収集・整理・分析をしておくことが重要です。

情報収集する際は、社会の変化だけでなく、それが自社や事業、自社の属する業界にどのように影響があるかについて分析するのがポイントです。

Technology(技術)

Technology(技術)

Technology(技術)は、自社の製品や業務に及ぼす技術的な影響について、以下の観点で分析します。

  • 新技術
  • インフラ
  • 特許
  • 研究開発活動
  • 技術革新(イノベーション)
  • IT活用

新技術の登場や技術革新によって、従来の技術を用いた製品では市場優位性を維持できなくなる場合があります。開発技術の変化を把握し、自社の技術と比較することが重要です。

また、新技術や技術革新はユーザーの価値観やライフスタイルに変化をもたらす場合があります。価値観の変化は新たなニーズを生み出すため、ビジネスの拡大につながるヒントがないか探してみましょう。

製品だけでなく、新技術によって業務効率化ができ生産性向上の可能性がある分野については、自社への導入を検討するのも1つの方法です。

PEST分析の具体的なやり方や、進め方

PEST分析の具体的なやり方や、進め方

PEST分析は、以下のような手順で行います。PEST分析の進め方を、具体的な手法とともに解説します。

  • データやトレンド情報を収集する
  • 集めたデータや情報を分類する
  • 目的に合わせて示唆を得る

データやトレンド情報を収集する

PEST分析を始める際は、まず自社が属している業界を取り巻く外部環境について、情報収集を行います。国が公表している統計データや業界団体がまとめたレポートなど、信頼性のある情報をまとめることが重要です。

政府の統計データは、以下のようなサイトで確認することができます。

参考>> e-Stat 政府統計の総合窓口

情報収集する際は、なるべく最新の情報を確認するようにしましょう。2023年のデータがあればそちらを参照するのがおすすめです。

集めたデータや情報を分類する

収集した情報を、「Politics(政治)」「Economics(経済)」「Society(社会)」「Technology(技術)」に分類して整理します。

ここで重要なのが、4つの環境要因に関する情報を、「事実」と「解釈」に分類すること

「事実」とは、実際に起きている状況やデータなどから客観的に分かる事項のことです。「解釈」は、実際に起きている状況やデータなどから自分達が主観的に判断したことを指します。

さらに、「事実」に分類した情報を、「リスク」と「チャンス」に分類しますリスクとチャンスについては、あくまで自社に焦点を当てた分析を行うことが重要です。

目的に合わせて示唆を得る

整理した情報を、目的に合わせて戦略に落とし込みます。事業戦略やマーケティング戦略、営業戦略など、分類した情報をそれぞれの領域にあてはめて自社の戦略に活かせるかを模索します。

5フォース分析や3C分析といった、自社の方針や状況を分析するフレームワークを併用して、自社の状況と外部要因の両方から戦略を策定するのがポイントです。

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なお、具体的な戦略に落とし込む際にプロの知見を活用するのもおすすめです。

新規事業は「なんとなく」で進めると、必ず失敗します。上手くいく新規事業には一定のパターンがあり、それを知らずに新規事業を始めてはいけません。

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PEST分析の3つのコツ

PEST分析の3つのコツ

PEST分析を行う際は、以下の3つのポイントを押さえておく必要があります。

  • 目的を明確にする
  • 短期的な計画には不向き
  • 内部環境の分析も行う

PEST分析を行うことを目的としてしまうと、収集した情報を活用できなくなってしまいます。どのような戦略の立案に用いるのか、どのようなゴールを目指しているのか目的を明確にし、見失わないようにしましょう

また、PEST分析は長いスパンで変化する事象について分析するフレームワークです。短期的な計画ではなく、中長期計画の方針を策定するのに向いています。

PEST分析は外部環境を分析するためのフレームワークですが、外部要因だけで自社の方針を決定することはできません。5フォース分析や3C分析などのフレームワークを用いて内部環境の分析をし、PEST分析の結果とあわせて戦略の策定に用いることが重要です。

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PEST分析の活用例

PEST分析の活用例

PEST分析を実際にどのように活用するかについて、飲食業を例に解説します。

  • Politics(政治):コロナ禍での緊急事態宣言により、飲食店への時短要請が出された
  • Economy(経済):営業時間短縮や休業によって、飲食店の売上が大きく落ち込んだ
  • Society(社会):外出の機会が減少、家で楽しめるグルメが注目される
  • Technology(技術):宅配アプリ、食材販売プラットフォームの降盛

コロナ禍という大きな出来事によって、ユーザーの行動様式や価値観が変化したことで、新しい技術やサービスによるビジネスチャンスを発見できる可能性があります。

PEST分析で外部環境情報を分析し、自社の戦略策定に活用しよう

PEST分析で外部環境情報を分析し、自社の戦略策定に活用しよう

PEST分析を行うことで、自社や自社の属する業界を取り巻くマクロ環境の状況や流れについて把握することができます。

PEST分析は、自社の方針を決定するだけでなく、リスク回避や新たなビジネスチャンスの発見にもつながるフレームワークです。ぜひこの記事を参考にPEST分析を行い、外部環境の変化が自社にもたらす影響について分析してみてください。

フレームワークを導入してもうまく戦略に落とし込めない、戦略を策定して実行してもなかなか成果が上がらないという場合は、コンサルタントを活用するのも1つの方法です。新規事業や事業再生、営業戦略などの策定をお客様に伴走して支援している株式会社Pro-D-useに、ぜひ一度お問合せください。

新規事業は「なんとなく」で進めると、必ず失敗します。上手くいく新規事業には一定のパターンがあり、それを知らずに新規事業を始めてはいけません。

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コラム著者プロフィール

岡島光太郎

岡島 光太郎

取締役副社長 兼 経営コンサルタント(Co-founder)

2009年:(株)リクルートに新卒で入社。営業・企画の両面で責任者を務める。
※リクルートではMVPやマネジメント賞など、個人・マネージャー賞を多数受賞。
2013年:(株)データX(旧:フロムスクラッチ)の創業期に転職。営業や新卒・中途採用の責任者を務める。
2014年:アソビュー(株)に転職。その後、営業責任者、新規事業責任者を歴任。
2015年:(株)Pro-D-useを創業。取締役副社長(現任)に就任。

【得意領域】
新規事業の立上げ~収益化、成果を上げる営業の仕組み作り、BtoBのWebマーケティングを主軸とした売れる仕組み作り、DXまで見通したIT・SaaS・業務システムの導入や運用、融資を中心とした資金調達~財務のコンサルティングを得意としている。

【担当業種】
「システム受託開発」「Webサービス」「Tech系全般」「製造」「建築」「販売・サービス」「スクール業」など多岐。

【資格・認定】
中小企業庁認定:中小企業デジタル化応援隊事業認定IT専門家 / I00087391
経済産業省認定:情報処理支援機関 / 第39号‐24060007(21)