プロセス次第で結果が異なる?新規事業の立ち上げのポイント

  • 2019年1月25日

新規事業を立ち上げるには経営資源をきちんと把握し、損益のポイントや投入した資金をどう回収するかのプロセスを踏まえる必要があります。そのうえで事業計画書を取りまとめ、競合他社との差別化戦略についても押さえていきましょう。事業を興す時にはアイディアや思い入れが前に出てしまいがちですが、プロセスを踏んで冷静に取り組んでいくことが大切です。

経営資源の正しい把握が新規事業を立ち上げる第一歩

新しく事業を立ち上げるためには事業の目的や理念、アイディアといった部分も大事ですがその前に自社の経営資源について、よく把握しておくことも重要です。人材面や技術、予算として組める資金にはかぎりがありますから、それらをどうすれば有効に活用できるかを検討していくプロセスを踏んでいきましょう。経営資源は何も目に見える形のものばかりではありません。自社のブランド力や顧客から寄せられる期待値など、見えない部分についても考えておく必要があります。それらを1つ1つ丁寧に見ていくことで、おのずと新規事業の立ち位置が定まってくるでしょう。新規事業を行う目的は顧客のニーズをくみとることによって、新たなマーケットを創造し、最終的には収益化していくというものです。(※1)自社が保有している経営資源や潜在的な能力について、事業計画書を立てる前に精査してみてください。丁寧に作業を繰り返していくことによって、無理や無駄の少ない事業計画を立てることができるでしょう。

採算ラインの設定と投資資金回収の計画の立て方

新規事業は顧客のニーズに応えることによって、最終的には企業収益につながるものでなくてはなりません。「これくらい売れる」といった企業の都合で売り上げの見通しを立てるのではなく、市場シェアや販売価格、顧客の使用頻度などを踏まえたうえで売り上げの見通しや収益化の計画を策定していく姿勢が大切です。具体的な手法としてはフレームワークを使って、すべての事項を「数値化」していく作業を行ってみてください。年度ごとに売り上げの目標を立て、新規事業のために投入した資金がどのあたりで回収できそうかの損益分岐点を明確にしましょう。こうしたプロセスを踏まえることで、最終的に「新規事業を今のタイミングで行うべきか」の経営判断を正しく行うことができます。また具体的な数字を織り込んでいくことで社内だけではなく、取引先や融資先に対しても説得力をもった事業計画を示すことができるでしょう。新規事業のテーマや目的を明確にさせるためにも、数字の部分でいかに説得力をもたせるかにこだわってみましょう。

競合他社と差別化するための戦略の重要性

自社が新規事業について検討をするということは、同じように競合他社も考えているということを忘れてはいけません。顧客をしっかりと自社のほうに引きつけるためには、ライバルとなる企業との差別化を明確にしておくプロセスが大切になってきます。顧客の動向を押さえる上で意識しておきたい点は、「似たような商品やサービスならいらない」というものです。顧客というものは自社の都合で動いてくれるものではありません。したがって、顧客が自然と動いてくれるような流れを作っていく必要があるでしょう。他社と類似した商品やサービスを提供しても関心の度合いは低くなってしまいますし、顧客のニーズよりも供給量が多くなれば「価格競争」が始まってしまいます。こういった流れができてしまうと、そこから抜け出すことは容易ではなく、安売りにつぐ安売りを重ねていかなければならなくなるでしょう。販売価格1つを決めるにしても、その価格設定には明確な根拠が必要となってきます。顧客アンケートやヒアリングを行い、「この商品であればいくらで買ってくれるか」といった部分を明らかにして販売価格を決めていく必要があります。逆に言えば、顧客のニーズにきちんと応える商品やサービスであれば、競合他社よりも販売価格が強気の設定であってもいいのです。むしろ、顧客がこぞって自社の商品やサービスを買い求めるのであれば、それは他社よりもブランド力の点で勝っているということでもあります。自社と他社の新規事業にどのような違いがあるのかを意識することは、新規事業を立ち上げるプロセスとして常に念頭に置いておきましょう。

事業を立ち上げる時に見落としがちなポイント

新規で事業を立ち上げる時に気をつけておきたいポイントがあります。特に新規事業に対して思い入れが強い場合には、社長自らが陣頭指揮をとってしまいがちです。(※2)それ自体が悪いわけではありませんが、社長が新規事業にのめり込んでしまうと既存の事業が手薄になってしまい、経営に大きな影響を与える可能性があることはきちんと踏まえておきましょう。プロセスとして大事な点は社長の思いを実現してくれる幹部候補に新規事業を任せられる仕組みを作ることです。担当者からの報告や進捗状況の確認だけに留めて、社長自体は一歩引いた立場で冷静に事業の様子を見ていくようにしましょう。社長自らが陣頭指揮をとってしまうと、企画会議などでも他のスタッフが委縮してしまい、意見が偏ってしまう恐れがあります。また新規事業が必ずしもうまくいくとはかぎらないため、思い入れが強過ぎてしまうと撤退するタイミングを見誤ってしまう可能性も出てきます。仮に新規事業に投入していた経営資源を他のものに振り分けていたら、別のところで収益を確保できていたかもしれません。できるだけ機会損失を出さないためにも、経営者は自分の役割に徹するようにしてみましょう。また新規事業を立ち上げるためには多くのエネルギーと時間を必要とします。担当させるスタッフは他の業務との兼任ではなく、「専任」で取り組めるような環境作りをしてあげることも大切です。経営幹部やスタッフ自らが考えて行動させることによって、さまざまなアイディアも出てきますし、ノウハウを身につけさせることもできます。優秀な社員が育っていけば、それは企業の財産であり次の新規事業に取り組む際にも大きな戦力となるはずです。新規事業を行う目的が何かを明確にして、適切な処置をとるように心がけてみてください。

顧客に対して新たなメリット生み出すために新規事業を興す

新規事業に取り組むことは自社のあり方に変化をもたらすきっかけとなります。さまざまなプロセスを経ることによって、顧客の視点から見た時の自社の立ち位置も明確になるでしょう。最初の段階からすべてのことを完璧にこなそうとしてしまってはいけません。フレームワークの手法の1つにPDCA理論というものがありますが、これはすべての工程を「数値化」することによって客観的な判断をすることができます。Plan(計画)→Do(実行)→Check(検証)→Action(改善)といった手順を何度も繰り返していくことによって、顧客のニーズにより近いところで新規事業を展開していくきっかけをつかめるでしょう。(※3)自社の既存事業に自信がある場合にはつい、顧客に対するアプローチが甘くなってしまう恐れもあります。1つ1つの事業を初心に立ち返って行っていくためにも、客観的な見方ができる数値化は新規事業の成否を握る重要な鍵となります。顧客アンケートやヒアリングの結果から、自社に対して厳しい意見が向けられることもあるでしょう。しかし、裏を返せばそれは顧客の本音でもあることを忘れしまってはいけません。丁寧に顧客のニーズを拾い上げていくことが顧客のメリットにつながり、最終的には自社に収益をもたらす要因となるのです。新規事業を行うことは顧客に新たなメリットを提示し、これまでになかった市場を開拓することだといえます。自社にどういった期待が寄せられているのかを知ることは新規事業だけではなく、既存の事業に対してもさまざまな相乗効果をもたらしてくれるでしょう。

※1https://www.primal-biz.co.jp/business-blog/newbusinessdevelopment/businessdevelopment_tips_1.html
※2http://www.business-sol.jp/article/15014307.html
※3http://bizhack.jp/newbiz9framework/