事業を多角化をするメリットが分からない…
事業を多角化したいがどのような観点に気を付ければよいかが分からない…
破壊的イノベーションや、プロダクト(製品)ライフサイクル(PLC)の短縮といった外部環境の変化に対応するため、主力事業を一本化するのではなく、複数の事業を育てる「経営多角化」を目指す企業が増えています。
たとえば、コロナ禍での市場環境の変化に対応し、酒造メーカーが消毒用アルコールの生産に乗り出したのが好事例の1つです。
事業を多角化することで、企業にはどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。
この記事では、事業の多角化戦略の分類や、メリット・デメリット、成功に向けたポイントを解説します。
本記事で実現できること
- 多角化にあたってのメリット・デメリットを知り、自社に適した多角化についてわかるようになる。
- 多角化をする際のポイントを理解し、多角化を成功に導くことができる。
それでは早速、読み進めていきましょう。
新規事業は「なんとなく」で進めると、必ず失敗します。上手くいく新規事業には一定のパターンがあり、それを知らずに新規事業を始めてはいけません。
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▼目次
多角化戦略とは?企業の成長戦略の柱の1つ
事業の多角化(多角化戦略)とは、これまでとは異なる市場への参入や、新製品・新サービスの投入により、本業(主力事業)とは別の事業分野に成長機会を求める成長戦略です。
多角化戦略は、ターゲットとなる市場を絞り、狭い市場で競争優位性を得る「集中戦略」と対比されます。
集中戦略が、主に中小企業が限られた経営資源を集中的に活用して事業成長を目指す戦略であるのに対し、多角化戦略は自社の資本や技術を活かし、新しい市場や事業分野への積極的な参入を目指すハイリターンな戦略です。
事業の多角化を成功させるには、異なる市場や事業分野に応用できるような主力事業を育てることはもちろん、新規市場開拓を成功させるための入念なマーケティング活動が必要になってきます。
「多角化戦略」4つの種類
事業の多角化戦略といっても、参入を目指す市場や自社の保有技術によって、大きく4つの戦略類型に分けることができます。
- 自社の技術を類似市場に応用する「水平型多角化戦略」
- サプライチェーンの上流や下流に進出する「垂直型多角化戦略」
- 既存事業を新しい市場に転用する「集中型多角化戦略」
- 既存事業とは全く関係のない市場に進出する「集成型多角化戦略(コングロマリット型多角化戦略)」
の4つの多角化戦略の特徴を順に解説していきます。
イメージとしては、下記の通りです。
既存技術(事業) | 新規技術(事業) | |
類似市場 | 水平型多角化戦略 | 垂直型多角化戦略 |
新規市場 | 集中型多角化戦略 | 集成型多角化戦略 |
1.自社の技術を類似市場に応用する「水平型多角化戦略」
水平型多角化戦略とは、自社の主力事業で培った技術を活かし、関連性の高い市場への新規参入を目指す成長戦略です。
これまでの生産技術や生産ライン、市場への流通網や販売網を転用できるため、既存の経営資源を有効活用し、事業展開のコストを抑えられるのが特徴です。
たとえば、自動車の生産技術を応用し、バイク、農機、トラックなどの市場投入を目指すのが水平型多角化戦略です。
2.サプライチェーンの上流や下流に進出する「垂直型多角化戦略」
一方、垂直型多角化戦略は水平的な事業展開ではなく、サプライチェーンの上流(川上)や下流(川下)に成長機会を求める垂直的な事業展開です。
たとえば、これまで原材料を生産してきた繊維メーカーが、より下流のアパレル製品の開発を手掛けたり、逆にファストフード店を展開してきた企業が、より上流の食品製造業や食品加工業に進出したりするケースです。
生産技術は異なるものの、市場やエンドユーザーは変わらないため、垂直型多角化戦略は既存の主力事業とのシナジーを活かしやすい成長戦略です。
3.既存事業を新しい市場に転用する「集中型多角化戦略」
集中型多角化戦略は、自社の主力事業で培った技術を転用する点では水平型多角化戦略と似ていますが、これまでとは異なる市場や事業領域への参入を目指す点が異なります。
たとえば、近年のコロナ禍の影響により、酒造メーカーがアルコール原料の生産技術を活かし、消毒用アルコールの生産に乗り出す事例が見られます。
4.既存事業とは全く関係のない市場に進出する「集成型多角化戦略(コングロマリット型多角化戦略)」
集成型多角化戦略(コングロマリット型多角化戦略)は、生産技術の面でも市場の面でも、全く関連性のない事業領域への進出を目指すハイリスクハイリターンな成長戦略です。
主にM&Aにより、異業種の企業の吸収合併や株式譲渡などを繰り返し、急速に事業を広げていくのが集成型多角化戦略の特徴です。
近年の事例では、大手コンビニエンスストアが他社のATM事業を吸収し、店舗内で銀行業務を行う事業展開のケースが集成型多角化戦略に該当します。
「多角化戦略」3つのメリット
事業の多角化戦略をとることで、企業はどのようなメリットを得られるのでしょうか。
これから異なる事業分野への進出や、新商品・新サービスの市場投入をお考えの企業向けに、経営多角化の3つのメリットを整理しました。
- 外部環境の変化に対するリスクヘッジになる
- プロダクトライフサイクルの短縮化に対応できる
- 多角化戦略によりシナジー効果を生み出す
それぞれ詳しく解説します。
1.外部環境の変化に対するリスクヘッジになる
事業を多角化することで、外部環境の変化に対するリスクヘッジが可能です。
自社の主力事業に関わる法令の規制強化や、テクノロジーの急速な進化にともない、既存の業界構造を一変させる破壊的イノベーションが発生するなど、外部環境の変化によって企業経営がダメージを受けるリスクは常に存在します。
自社の主力事業を一本化するのではなく、複数の市場や事業分野で収益モデルを作り上げることで、こうしたビジネス環境の変化に対応できます。
もし主力事業の縮小や撤退を強いられても、別の事業に経営資源を再投入することが可能なため、長期間に渡って持続可能な企業経営が実現します。
2.プロダクト(製品)ライフサイクル(PLC)の短縮化に対応できる
消費者のニーズの多様化や、次から次へと起こる技術革新により、プロダクト(製品)ライフサイクル(PLC)が短縮化しています。
プロダクト(製品)ライフサイクル(PLC)とは、市場に投入した製品が人気を獲得し、やがて売れなくなるまでの寿命のことで、
- 「開発期」
- 「導入期」
- 「成長期」
- 「成熟期」
- 「衰退期」
の5つのプロセスがあります。
事業を多角化すれば、主力事業の製品が衰退期に入っても、別の事業分野で新製品を市場投入できます。
プロダクト(製品)ライフサイクル(PLC)を常に循環させ、安定した売上を獲得することが可能です。
3.多角化戦略によりシナジー効果を生み出す
事業の多角化のもう1つのメリットが、異なる事業の組み合わせにより、シナジー効果が得られる点です。シナジー効果には次の4種類があります。
生産シナジー(操業シナジー) | 主力事業と新規事業で生産設備や生産ラインを共有し、生産面でのコストダウンを狙う |
販売シナジー | 既存の販売網や営業部隊を新規事業に活用し、販売管理費を抑制する |
流通シナジー | 既存の流通網を新規事業に活用し、新たな販路開拓や新規顧客開拓のコストを抑制する |
管理シナジー(マネジメントシナジー) | 1事業につき1つの管理部門ではなく、複数の事業を同一の管理部門でマネジメントすることで、管理業務の効率化やコストダウンを達成する |
事業の多角化戦略のモデルによって、期待できるシナジー効果は変わります。
たとえば、自社の技術を類似市場に応用する「水平型多角化戦略」であれば、同一の生産工場を活用する生産シナジー(操業シナジー)や、既存の流通網や販売網をそのまま利用する販売シナジー、流通シナジーなどが期待できます。とくに中小企業が事業の多角化を目指す場合、こうしたシナジー効果を活用し、限られた経営資源を有効活用することが欠かせません。
多角化戦略では、「主力事業と新規事業の間にどんなシナジーが発生するか」を考えることが大切です。
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「多角化戦略」デメリットは経営が非効率になるリスク
一方で、事業多角化にはメリットだけでなく、デメリットもあります。
多角化戦略のデメリットは、新規事業の立ち上げや新製品開発にコストがかかり、経営が非効率になるリスクがある点です。
多角化戦略は集中戦略と違い、自社の経営資源を分散させ、複数の市場や事業分野に投入します。
長期的にはシナジー効果の活用により、生産コストや販売コスト、流通コストの削減が期待できますが、新規事業の立ち上げ直後は一定の投資が必要です。
また、集中戦略のように大量発注や大量仕入れにより、スケールメリットを効かせてコストダウンを狙うことが難しいのも多角化戦略の特徴です。
とくに、これまでとは全く関係のない市場に進出する「集成型多角化戦略(コングロマリット型多角化戦略)」では、経営資源のロスが大きく、経営が非効率になりやすくなります。
事業の多角化を目指す場合は、あらかじめ自社の経営資源の強みを知り、どのようなシナジー効果が期待できるかを分析することが欠かせません。
また、事前にマーケティング活動を行い、市場参入のコストを正確に見積もることも大切になってきます。
中小企業やベンチャー企業が取るべき多角化戦略は?
中小企業やベンチャー企業が多角化のメリットを享受し、デメリットを抑えていくためには、「水平型多角化戦略」もしくは「垂直型多角化戦略」を取っていくのがベストでしょう。
中小企業やベンチャー企業は、大手企業に比べるとリソースが潤沢ではありません。
リソースとは「人材の質」「人材の量」「資金力」「設備」「知的財産」「情報量」「アライアンス力」など、多岐にわたります。
これらの不利を前提に多角化に挑戦するのであれば、可能な限り、自社の既存事業や既存リソースを最大限活用するのが賢い選択になりえます。
多角化戦略の4つのポイント
事業の多角化には、外してはならないポイントが7つあります。それぞれ、詳しく解説していきます。
1. 市場・顧客調査&分析をしっかり実施する
新しい分野(自社でやったことがない分野)に展開するには、必ず市場・顧客調査や分析をおこないましょう。
まずは仮説ベースでも良いので調査を実施して、不明瞭な点があれば市場や顧客への解像度が明確になるまで繰り返し調査と分析を繰り返しましょう。
調査と分析をしっかりするだけでも、失敗する確率を下げることができますので、必須事項といえます。
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2. パートナー連携強化や、チャネルの拡大
自社のリソース(資源)が乏しいのであれば、パートナー連携の拡大・強化を検討しましょう。
パートナーとの連携は、新規の異業種パートナーでもいいですし、同業他社でも良いでしょう。また、仕入れ先や販売先と組むという発想も重要です。
自社だけではなし得なかったサービス開発や、販売・流通チャネルの拡大にもつながりますので、リスクを抑えて、比較的中規模のリターンを得られるため、中小企業にはオススメのやり方です。
3. 既存サービスのマイナーチェンジ、または市場をズラす
多角化戦略は、1から全く新しいサービスをつくらなくても成立します。
- いま自社にある既存サービスをマイナーチェンジして、喜ぶ顧客はいませんか?
- 既存サービスを別分野に展開すると、買ってくれる顧客はいませんか?
こんなことに着目して、多角化の構想を練ってみてください。意外とすぐ近くに、多角化のヒントが隠れていることがあります。
4. 新規事業を立ち上げる
完全に1から新規事業を立ち上げるのは、リスクは高いのですが、1番リターンも大きい多角化戦略です。
いま自社で向かっている市場や顧客、サービスよりも魅力的なものがあれば、それを新規事業にすると、もう一つの収益の柱になり得ます。
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「多角化戦略」5つの成功企業事例
これまで、多くの企業が事業多角化に取り組み、業績を伸ばしてきました。
多角化戦略で失敗しないためには、あらかじめ成功事例を調べ、成功法則を引き出すことが大切です。
ここでは、事業多角化に成功した、日本を牽引する企業の成功事例を5点紹介します。
1.多角化戦略で破壊的イノベーションを乗り越えた「富士フイルム」
1934年(昭和9年)創立の富士フィルム株式会社は、写真フィルム事業を主力としてきましたが、現在では医薬品やワクチンの製造開発を行うヘルスケア事業、半導体などの高機能材料を生産するマテリアルズ事業など、さまざまな事業展開を行っています。
経営多角化のきっかけは、デジタルカメラや携帯電話の登場により、自社の写真フィルム事業が打撃を受けたことでした。
富士フイルムは写真感光材料や皮膜製品などの製造技術を新しい事業領域に転用し、1980年には血液検査システムの「富士ドライケムシステム」の開発、さらにエレクトロニクス分野へ進出し、富士ハント・エレクトロニクス・テクノロジー社(現富士フイルムオーリン)の設立を行っています。
富士フイルムの成長戦略は、破壊的イノベーションによる外部環境の変化を多角化戦略で乗り越えた好事例です。
[参考]富士フィルム:新規事業分野への進出
https://www.fujifilm.co.jp/corporate/aboutus/history/ayumi/dai5-13.html
2.多角化戦略で世界的なグローバル企業に成長した「ソニー」
今では世界的なグローバル企業であるソニー株式会社も、経営多角化によって業績を大きく伸ばしてきました。
ソニーは家電事業、音楽事業、映画事業、テレビ事業、ロボティクス、ゲーム事業、金融事業など、幅広い市場に進出するコングロマリット型の多角化戦略をとっているのが特徴です。
そんなソニーも、2014年にテレビ事業やパソコン事業などが約1,000億円の赤字決算となり、業績が低迷しています。しかし、金融事業を手掛けるソニーフィナンシャルホールディングスの生保・損保・銀行の3事業が堅調な成長を見せ、過去最高益となる経常収益1兆3,523億円(経常利益900億円)を達成するなど、他の事業分野の成功がカバーしています。
経営多角化により、リスクヘッジに成功した好事例です。
[参考]SONY:ソニーについて(第21章 他業種へのチャレンジ)
https://www.sony.com/ja/SonyInfo/CorporateInfo/History/SonyHistory/2-21.html
3.多角化戦略でコンビニをより便利で使いやすく「セブンイレブン」
国内に20,000以上の店舗を持つ大手コンビニエンスストア、株式会社セブン-イレブン・ジャパンは、多角化戦略によってコンビニの利便性を高めることに成功しました。
コンビニ業界は当初、間に合わせの買い物をする場所であり、普段の買い物は価格が安いスーパーマーケットで行う、という方がほとんどでした。
しかしセブンイレブンは、プライベートブランドの立ち上げや共同配送システムなど物流システムの構築によって、質の高い品物をスーパーマーケットと変わらない値段で供給可能とし、日常の買い物をする方を大幅に増加させています。
また、「セブン銀行」という名称で銀行業界への多角化も行い、店舗に設置されたATMで現金の振込や入出金などの手続きも行えるようにするなど、利便性をさらに高めました。
多角化戦略によって、既存事業をさらに強くするというシナジーが得られた、非常に参考になる事例です。
[参考]セブンイレブン:セブン銀行が目指すもの<中期経営計画>https://www.sevenbank.co.jp/ir/library/disclosure/pdf/2021073105.pdf
4.多角化戦略でこれまでのノウハウを活かし金融事業に成功「オリックス」
現在ではカードローンや生命保険の会社として広く知られるオリックスですが、元々は機械設備のリース事業を行っていました。
信販会社を立ち上げたのは、会社設立から15年後です。
今のオリックスの事業領域は、法人金融サービス以外にも、不動産・事業投資・生命保険・銀行など多岐に渡っており、本来のリース事業の売上は全体の1割程度しかなく、コングロマリット型の多角化戦略を取っていると言えます。
しかし、無秩序に事業を展開してきたわけではありません。オリックスが成功したのは、既存の事業と隣り合った、ノウハウを活かせる領域への多角化戦略を行ってきたからです。
金融事業に成功できたのも、リース事業を行っていた際のリース債権の回収や不動産・生命保険などの事業のノウハウがあったためです。
自社の特性をよく理解して多角化戦略を行えば、石油ショックなどでも乗り越えて成長できる、ということがよく分かる好事例です。
[参考]オリックス:オリックスの歴史
https://www.orix.co.jp/grp/company/about/history/
5.多角化戦略で新事業に進出しグローバル市場で成功「キヤノン」
キヤノン株式会社は1960年代から、「カメラメーカーとしての確立と多角化」を目指してきた会社です。
元々のカメラ事業によって培った光学技術とメカ技術に、エレクトロニクスや科学技術など、新たな分野を研究して組み合わせることで多角化に成功しました。
また、キヤノン株式会社の多角化戦略には、他社が手掛けていない市場へ進出する、という理念があり、海外市場へ積極的に展開していったことも成功した要因と言えるでしょう。
ただし、キヤノン株式会社には多角化が上手くいかない時期もありました。カメラ事業に経営資源を集中させていたせいで、新事業への投資が少なかったのが、その一因として挙げられます。
自社の既存の技術力だけで多角化を図るのではなく、市場の状況を調査し、場合によっては新たな技術へ投資することが、多角化戦略の成功率を高めると分かる事例です。
[参考]Canon:高収益企業の今 国際化・多角化による未来
http://www-user.yokohama-cu.ac.jp/~nakajozm/htmlpage/pastworkPDF/2010canon.pdf
「多角化戦略」3つの失敗企業事例
多角化を成功させるためには、成功事例だけでなく失敗事例も学んでおくと良いでしょう。
なぜ失敗したのかを知っておくことだけで、自社で同じ失敗をする可能性を大幅に減らすことができます。
ここでは、多角化戦略で陥りやすい代表的な失敗企業事例を3点紹介するとともに、同じ失敗をしないために気を付けておく点、決めておくべきことなども併せて解説します。
ぜひ参考にしてください。
1.多角化戦略を機にグループ業績の悪化を招いた「ライザップ」
特徴的な宣伝によって、ダイエットやトレーニングといえば一番に思いつく企業となったRIZAPグループ株式会社ですが、しかしその後の2019年に赤字に転落しています。
事業多角化のためにM&Aを推し進めた結果、ガバナンス体制の構築の送れ・管理の複雑化・コスト面のムダなどが生じ、買収した企業の立て直しが上手くいかず、グループ全体にまで悪影響が波及したためです。
対策としてRIZAPグループ株式会社は新規M&Aを中止し、「事業の選択と集中」「成長事業への経営資源集中」を掲げました。
多角化戦略は企業の成長や安定のために大切ですが、立ち上げる事業が軌道に乗るのかどうかは、慎重にシミュレーションしておかなければいけません。
また、M&Aなどでは買収後に失敗だったと判明する場合に備えて、経営再建がどの程度遅れたら成長事業へ経営資源を集中させるのか、切り替える時期や方法も決めておくと良いでしょう。
[参考]RIZAPグループ株式会社:2019年3月期 決算短信
https://ssl4.eir-parts.net/doc/2928/tdnet/1708952/00.pdf
2.多角化戦略により新型コロナウイルス拡大の影響を受けてしまった「AOKIホールディングス」
株式会社AOKIホールディングスは、非スーツの企業が増えてきたことなどを背景に、多角化戦略を進めてきました。
しかし進出した事業は、カラオケ・フィットネスジム・ネットカフェ・ウェディングなど、新型コロナウイルスの拡大による減収が起きやすい事業が多く、多角化したことでより大きな影響を受けてしまっています。
新型コロナウイルスの発生や拡大を予測することは難しいですが、同じ原因で集客できなくなってしまう業種のみで多角化してしまったことが、失敗の原因といえるでしょう。
ただその中でも、ネットカフェ事業ではレンタルオフィスを行い、カラオケ事業ではサブスクを導入するなど、時代に合わせた多角化戦略を進めることで近年は黒字経営に転換しています。
[参考]株式会社AOKIホールディングス:2023年3月期 第1四半期決算短信
https://data.swcms.net/file/ir-aoki-hd/dam/jcr:6f3875e7-3626-4983-847c-b544eb35a66e/140120220803511253.pdf
3.多角化戦略に挑戦し早々に撤退「ファーストリテイリング」
株式会社ユニクロを運営することでも知られる、株式会社ファーストリテイリングは、2002年に生鮮野菜の生産・販売事業を始めました。
しかし経営は全く軌道に乗らず、たった1年半で早々に撤退しています。
以降の多角化戦略は自社の技術を活かせる領域に限定しており、株式会社GUの設立やユニクロを中心とする海外展開などが中心です。
その結果、株式会社ファーストリテイリングは、非常に大きな会社を複数抱える大企業に成長し、海外でも高い業績を残しています。
自社の強みを知り、そこに集中することこそが、多角化戦略で失敗しないために大切だと分かる事例です。
また、この事例からは、株式会社ファーストリテイリングのような大企業でも自社の強みをあまり活かせない分野では多角化経営に失敗してしまう、ということも分かります。
失敗した際の損失によっては、中小企業では耐えられず、倒産に追い込まれてしまうかもしれません。安易な多角化推進は絶対に避け、どの市場に参入するのかを慎重に考えるとともに、自社の強みや技術力についても考えてみてください。
[参考]株式会社ファーストリテイリング:沿革https://www.fastretailing.com/jp/about/history/2003.html
多角化戦略成功のポイントは「横滑り」の仕組みづくり
事業の多角化を成功させるためには、どのような点に気をつければよいのでしょうか。
事業多角化のデメリットの項目では、異なる市場や事業分野に進出することで、一時的にコストが増大すると述べました。とくに中小企業の場合、限られた経営資源を複数の事業に分散させることになるため、経営の非効率化を招くリスクがあります。
経営多角化で失敗しないためには、自社の主力事業のスキルやノウハウを他の事業分野に転用し、新規事業開発の際の経営資源のロスを減らす「横滑り」の仕組みづくりが欠かせません。
そのためには、「本業中心型」や「関連型多角化」の2つのモデルが考えられます。
本業中心型 | 本業(主力事業)に経営資源を集中させ、本業以外の事業分野に対し、投資を抑えつつスモールスタートで進出する |
関連型多角化 | 本業(主力事業)の強みを分析し、関連性が高い市場や事業分野への進出を目指す |
「本業中心型」も「関連型多角化」も、自社の主力事業の生産技術、生産ライン、販売網や流通網をそのまま転用するため、新規事業開発の際のコストが抑えられます。
とくに本業中心型の多角化戦略は、事業の多角化によるリターンが低いものの、安定した財政基盤を得ることが可能です。
多角化経営や多角化戦略を成功させるためには、リスクコントロールの面も考慮する必要があります。
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多角化戦略における注意点
多角化を推し進めるにあたって、まず、既存の事業をおろそかにしないことが非常に重要です。
新たな事業に注力し、資金や人員を湯水のように投入してしまうと、既存事業を継続させるための体力を失い、組織全体の経営悪化を招くことになります。
主力事業に十分な余力を残しながら進めていくことが、多角化戦略の理想です。
また、小額投資から行うことも大切です。最初から巨額の投資を行うのは、失敗した際のリスクを考えるとおすすめはできません。
しかし、研究・開発やM&Aなど多角化戦略を推し進める際には、巨額の投資も必要です。主力事業に経営資源を集中していたため新事業が軌道に乗らず、多角化に失敗してしまった、という例は大手企業でも見られます。
最初は小額投資にとどめながらも、自社の適正や市場を見極めたあとは、十分な投資を行っていく必要があります。
既存事業とのシナジー効果が狙える事業、自社の強みを活かせる事業であれば、初期投資も抑えることが可能です。事業の多角化はリスクのある戦略のため、注意点をよく理解し進めてください。
多角化戦略が求められる理由
多角化戦略が求められる理由としてはまず、1つの事業が不振に陥っても他の事業でカバーし、安定した経営が可能である点が挙げられます。
近年は消費者のニーズが多様化している上に、環境変化やAI技術の発達などによって、破壊的イノベーションが起こりやすく、プロダクト(製品)ライフサイクル(PLC)も短縮されてしまっている現状があります。
1つの事業のみでは、急激な客離れや競合との過酷な価格競争などで、簡単に赤字経営や倒産に追い込まれてしまうでしょう。
実際に、コロナ禍で売上が急激に落ち、給付金などを貰っても経営が苦しいと仰る方は非常に多いです。
そんな不安定な時代だからこそ、複数の事業を育て、さまざまな事態に適応できる多角化戦略が求められています。
また、多角化戦略が求められる理由には、使われていなかったリソースが活用できる、という点も挙げられます。
事業衰退やAI技術の発達によって、余剰の人員リソースが発生してしまっている企業も多いでしょう。多角化戦略を進めることで、使われていなかったリソースが活用でき、企業全体の活性化に期待できます。
事業多角化のメリットやデメリットを知り、自社に合わせた経営戦略を
事業を多角化することで、外部環境の変化に対するリスクヘッジが可能です。また、複数の事業を組み合わせてシナジー効果を生み出し、プロダクト(製品)ライフサイクル(PLC)の短縮化にも対応できます。
しかし、事業多角化にはメリットだけでなく、新規事業創出の際に一時的にコストが増大するといったデメリットもあります。
事業多角化のメリットやデメリットを知り、自社に合わせた経営戦略やマーケティング戦略を立てましょう。
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