新規事業のバリューチェーン分析とは?その手順やメリットを解説

新規事業のバリューチェーン分析とは?その手順やメリットを解説
    • 新規事業
  • 2022年12月29日
ポイント

新規事業の立ち上げに活用できる分析方法にはどんなものがあるの?

ポイント

フレームワークが多すぎて、新規事業ではどれを選べばよいのか分からない…

新規事業の立ち上げを考えている経営者や責任者の方は、こんなことに悩んでいるのではないでしょうか?

新規事業の立ち上げに役立つフレームワークは複数ありますが、中でも「バリューチェーン分析」は自社の強み・弱みを明確にできる手法として広く活用されています。

一方で、バリューチェーン分析のやり方を間違って進めてしまっている方が多いのも事実です

私は、株式会社Pro-D-useという新規事業・事業再生専門の経営コンサルティング会社で、数多くのプロジェクトでバリューチェーン分析を活用してきました。

執筆者:株式会社Pro-D-use岡島光太郎

本記事では、新規事業に役立つバリューチェーン分析の概要や、利用するメリット分析方法や事例などについて解説します。

この記事を読み終えると、こんなことが実現できます

  • バリューチェーン分析の特徴やメリット、サプライチェーン分析との違いを通して、自社に適したフレームワークを検討できる
  • 新規事業の経営戦略にバリューチェーン分析を組み込むことで、自社の強みや問題・課題を明確化できる

新規事業立ち上げの際はバリューチェーン分析を活用して、自社の強み・弱みを認識し、コスト削減や顧客獲得につなげましょう。

新規事業は「なんとなく」で進めると、必ず失敗します。上手くいく新規事業には一定のパターンがあり、それを知らずに新規事業を始めてはいけません。

弊社「(株)Pro-D-use(プロディーユース)」は、“伴走型の新規事業支援” を得意とするコンサルティング会社です。これまで300件以上の新規事業の相談を受け売上10.38倍」「営業利益大赤字→営利23%の黒字化など、多くの実績をあげてきました。

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バリューチェーン分析とは

バリューチェーン分析とは

バリューチェーンとは、「価値(Value)」の「連鎖(Chain)」を意味するビジネス用語です。つまりは、付加価値の創造を可視化するフレームワークのことを指すのです。

原材料を調達してから商品・サービスが実際に消費者に届くまでの間、企業は商品の製造や販売だけでなく、開発や人材の労務管理など、さまざまな活動を行っています。企業が提供するサービスの価値をより高めることで、利用者の満足度が高まることを目指すのです

また、あなたの企業活動で発生した付加価値は、競合が模倣しにくいものです。そのため、「競合との差別化戦略」、「経営資源の効率化」などにもバリューチェンが活かされます。

またバリューチェーンでは「主活動」「支援活動」の2つの構成要素で成り立っています。

バリューチェーン:「主活動」

バリューチェーンの主活動は、消費者が購入するのに直接的な影響を及ぼす活動を指します。具体的には下記6点などです。

  • (商品・サービス)企画
    →調査力、企画、計画など
  • 購買物流
    →原材料の仕入れ、保管・貯蔵、配分など
  • 製造
    →製造設備、設備操作力・技術力、ロス率、メンテテナンスなど
  • 出荷物流(デリバリー)
    →梱包、保管、輸送、受注処理など
  • 販売・マーケティング
    →広告・宣伝、販促、営業力など
  • (アフター)サービス など
    →導入支援、修理・メンテナンス、アフターサービス、問い合わせ対応など

バリューチェーン:「支援活動」

バリューチェーンの支援活動は、消費者の購入には直接関わらない活動を指します。具体的には下記4点などです。

  • 経営管理
    →経営企画、財務、総務など
  • 採用管理
    →求人力、採用力など
  • 人事・労務管理
    →給与支払い、社保手続き、福利厚生、社員教育など
  • 技術開発
    →製品の品質向上、生産効率化など
  • 調達活動
    →社外からの物品購入、サービス高銀痛、交渉、契約力など

主活動と支援活動の洗い出しが終わったら、次はそれぞれの活動の付加価値の深堀りしていきます。

バリューチェンの付加価値の具体例

具体例としては、下記のようなものがあります。

  1. 物理的な付加価値
    →商品・サービスの大きさ、量、重さなど
  2. 美的付加価値
    →デザイン(見た目やUI/UXなど)、包装など
  3. 機能的付加価値
    →商品・サービスの機能、性能、品質など
  4. 情報付加価値
    →新たな情報、独自情報、コミュニティ、知識など
  5. 経済的付加価値
    →経済的メリット、安価な値段、限定商品購入権など

これらすべての活動を価値の連鎖と捉えるのがバリューチェーンの基本的な考え方です。そのため、他社との競争優位につながる概念のため経営戦略にもよく展開されます

このバリューチェーンを各活動ごとに分析し、自社の強みや弱みを客観的に洗い出すためのフレームワークが「バリューチェーン分析」です。

バリューチェーンとサプライチェーンの違い

バリューチェーンとサプライチェーンの違い

「サプライチェーン」とは、調達活動にフォーカスし、可視化するフレームワークです。サプライチェーンでは、「モノ」「情報」「お金」の流れに着目しながら、原材料の調達から商品・サービスを顧客に届けるまでの一連の流れを可視化するのです。

この一連の流れを可視化することで、調達活動における自社の特徴や強み、逆に不効率などを見える化することで、コスト削減や強みの向上に活用できるのです。

一見するとバリューチェーンと同義に思えますが、下記の点で大きな違いがあります。

バリューチェーンプロセスの中で生み出される価値に焦点を当てている
サプライチェーン:モノやお金の流れを捉えるもの

また、下記の点でも大きく異なります。

バリューチェーン:自社だけで完結するもの
サプライチェーン商品・サービスの創出にかかわったすべての企業で連鎖が構成されている

このように、バリューチェーンとサプライチェーンは似て非なるものですが、まったく無関係というわけではなく、サプライチェーンが生み出す供給(Supply)の連鎖は、バリューチェーンにも多大な影響をもたらします。

そのため、バリューチェーン分析を行うときは、サプライチェーンも視野に入れることが大切です。

新規事業でバリューチェーンを利用するメリット

新規事業でバリューチェーンを利用するメリット

新規事業の立ち上げにバリューチェーン分析を使用すると、以下のようなメリットがあります。

  • 自社の強みを可視化できる
  • 自社の問題・課題を洗い出せる
  • 経営資源を適正化(再分配)できる

1. 自社の強みを可視化できる

競争が激しい業界では、いかに自社の強みをアピールし、競合他社との差別化を図るかが大きな課題です。

バリューチェーン分析を行うと、どの過程で、どのような価値が生み出されているかが明確になり、競合他社に比べてどんな強みを持っているのかを可視化することができます。

また逆に、分析を進めていくうちに「競合他社の提供価値が把握できること」もメリットの1つでしょう。

自社の強みが明確になれば、それをさらに強化するアイデアや工夫の創出につながると共に、消費者に対して効果的なアピールを行うことが可能です。

2. 自社の問題・課題を洗い出せる

顧客満足度の向上や、コストの削減といった企業の課題を解決するためには、まず自社が抱える問題をすべて洗い出さなければなりません。

バリューチェーン分析を実施すると、それぞれの活動ごとに、自社がどんな問題・課題を抱えているのかを浮き彫りにすることができます。

洗い出された課題・問題をもとに、それぞれの活動を改善していけば、コスト削減や顧客満足度アップ、生産性の向上などを実現できます。

3. 経営資源を適正化(再分配)できる

バリューチェーン分析をすることで、企業価値を最大化させるために、必要のないところからはリソース(人、もの、お金、情報)を減らし、強み・価値のあるところにリソースを集中することができます。

会社には限られたリソースしかありません。そのため、どの活動にはリソースを集中投資するのかは、経営者にとっては重要な判断です。

そのため、バリューチェーン分析は経営資源の最適化(再分配)という経営に非常にインパクトのある判断を促すフレームワークだといえるのです。

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「自社の状況に当てはめると、どう考えれば良いんだろう…?」

そんなときは、私たち「Pro-D-use」に相談してみませんか?Pro-D-useは伴走型の新規事業開発・収益化支援を得意とするコンサルティング会社です。詳しくは新規事業支援サービスページをご覧ください。

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新規事業のバリューチェーン分析の方法

新規事業のバリューチェーン分析の方法

新規事業の立ち上げに役立つバリューチェーン分析の基本的なやり方を4つのステップに分けて解説します。

ステップ1. バリューチェーンの洗い出しを行う

ステップ1. バリューチェーンの洗い出しを行う

まずは、商品・サービスを生み出すための活動を「企画・開発」「製造」「物流」といった項目にカテゴリ分けします。

次に、それぞれの活動が商品・サービスの創出に直接関係しているか否かによって、「主要活動」と「支援活動」の2つに区分します。主要活動とは、直接利益に関わっている活動のことで、購買物流や製造、出荷物流、販売、サービスなどが挙げられます。

一方、主要活動をサポートする裏方の役割を支援活動といい、全般管理や人事・労務管理、技術開発、原材料の調達などが挙げられます。

ステップ2. コストの分析を行う

ステップ2. コストの分析を行う

ステップ1で区分した活動ごとに、どのくらいのコストがかかっているかを分析します。

Excelなどの表計算ソフトを使うときは、「活動」「担当部署」「年間コスト」の項目に分けてデータを書き込んでいくと、どの部署でどのくらいのコストが発生しているか、一目で確認することが可能です。

コストを一覧にまとめたら、各活動にかかっているコストの比率や、コストが与えている影響、コストの関連性などもあわせて分析すると、改善すべきポイントやコスト削減の具体的な方法が見えてきます。

ステップ3. 自社の強み・弱みの分析を行う

ステップ3. 自社の強み・弱みの分析を行う

ステップ2の分析内容も踏まえつつ、各活動ごとに強み・弱みを洗い出していきます。

トップの視点からではわからない部分も多いので、現場の関係者にもしっかりヒアリングを行うことが大切です。

一方、同じフレームワークを使って競合他社の強み・弱みを分析し、自社のデータと比較すれば、今後の経営戦略を立てるときの有用な材料となります。

ステップ4. VRIO分析を行う

ステップ4. VRIO分析を行う

VRIO分析とは、

  • 「価値(Value)」
  • 「希少性(Rareness)」
  • 「模倣可能性(Imitability)」
  • 「組織(Organization)」

の4つを軸に、それぞれの活動を分析する手法のことです。

ステップ3で洗い出した自社の強みをVRIO分析することで、自社の魅力のアピール方法や、ブラッシュアップするためのアイデアなどを模索します。

新規事業のバリューチェーン分析の事例

新規事業のバリューチェーン分析の事例

バリューチェーン分析を経営戦略に活かしている企業は複数あります。

たとえば、世界最大のコーヒーチェーン店として知られる「スターバックス」では、バリューチェーン分析により、競合他社に比べて「サードプレイスを提供するサービス」に自社の強みを見出しました。

実際、スターバックスはサードプレイス、すなわち家庭や職場以外の第三の居場所として、居心地のよい環境を提供できるよう、店内のレイアウトや設備、スタッフの教育などに力を注ぎ、「おしゃれで快適なコーヒーチェーン店」という不動の地位を獲得するに至っています。

新規事業はバリューチェーン分析をもとに経営戦略を立てよう

新規事業はバリューチェーン分析をもとに経営戦略を立てよう

新規事業を成功させるためには、自社の強みと弱みを正確に把握した上で、より効率的な経営戦略を立てる必要があります。

バリューチェーン分析を行えば、他社にはない強みや魅力、解決すべき課題や問題が浮き彫りになり、どこにコストや手を加えるべきかが明確になります。

やみくもにお金や手をかけると、事業自体の失敗へとつながりかねません。新規事業を立ち上げるときはバリューチェーン分析を実施し、自社の特徴や性質を正しく理解するところからスタートしましょう。

新規事業は「なんとなく」で進めると、必ず失敗します。上手くいく新規事業には一定のパターンがあり、それを知らずに新規事業を始めてはいけません。

弊社「(株)Pro-D-use(プロディーユース)」は、“伴走型の新規事業支援” を得意とするコンサルティング会社です。これまで300件以上の新規事業の相談を受け売上10.38倍」「営業利益大赤字→営利23%の黒字化など、多くの実績をあげてきました。

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コラム著者プロフィール

岡島光太郎

岡島 光太郎

取締役副社長 兼 経営コンサルタント(Co-founder)

2009年:(株)リクルートに新卒で入社。営業・企画の両面で責任者を務める。
※リクルートではMVPやマネジメント賞など、個人・マネージャー賞を多数受賞。
2013年:(株)データX(旧:フロムスクラッチ)の創業期に転職。営業や新卒・中途採用の責任者を務める。
2014年:アソビュー(株)に転職。その後、営業責任者、新規事業責任者を歴任。
2015年:(株)Pro-D-useを創業。取締役副社長(現任)に就任。

【得意領域】
新規事業の立上げ~収益化、成果を上げる営業の仕組み作り、BtoBのWebマーケティングを主軸とした売れる仕組み作り、DXまで見通したIT・SaaS・業務システムの導入や運用、融資を中心とした資金調達~財務のコンサルティングを得意としている。

【担当業種】
「システム受託開発」「Webサービス」「Tech系全般」「製造」「建築」「販売・サービス」「スクール業」など多岐。

【資格・認定】
中小企業庁認定:中小企業デジタル化応援隊事業認定IT専門家 / I00087391
経済産業省認定:情報処理支援機関 / 第39号‐24060007(21)