現在、新規事業の立ち上げを担当されている方の中には、当初の方針からピボットすべきか悩まれている方もいらっしゃるでしょう。
当初の方針で進めて新規事業はうまくいくだろうか?
ピボットすべきかどうか、判断材料が欲しい…
新規事業担当者がピボットを迷う原因に、「当初の方針を変えていいのかどうかわからない」という心理がありますが、状況に応じて変えるのは「悪」ではありません。
なぜなら、同じ事業の中で8度もピボットを重ね成功に導いた事例があるように、ピボットによって事業のブラッシュアップが可能だからです。
私は「株式会社Pro-D-use」という新規事業コンサルティング会社で、数多くの中小・中堅〜大企業の新規事業のサポートを行っています。
本記事では、数々の新規事業開発の中でピボットの提案・伴走をしてきたPro-D-useの経営コンサルタントが、新規事業のピボットのタイミングと判断基準について解説します。
新規事業開発の中でピボットする際は、次のポイントを理解しておくことが大切です。
- ピボットは新規事業の企画段階だけでなく、立ち上げ後にも必要な場合がある
- 市場ニーズが想定よりも小さい、事業計画から大きな乖離がある場合はピボットする
- 市場ニーズが予想よりも大きいポジティブな状況でも、ピボットが必要な場合がある
新規事業担当者は事業がうまくいっていないと不安になり、どうしたらよいかわからなくなるものです。冷静に事業の状態を見極めて、ピボットの必要性を判断するためには、ピボットの適切なタイミングと判断基準を正しく理解することが大切です。
この記事を読み終えると、こんなことが実現できます
- ピボットの適切なタイミングと判断基準がわかる
- 「ピボットピラミッド」や「ピボット10の型」を活用し、スムーズにピボットの判断ができるようなる
- 新規事業の状態を見極めて、適切にピボットできる
新規事業は「なんとなく」で進めると、必ず失敗します。上手くいく新規事業には一定のパターンがあり、それを知らずに新規事業を始めてはいけません。
弊社「(株)Pro-D-use(プロディーユース)」は、“伴走型の新規事業支援” を得意とするコンサルティング会社です。これまで300件以上の新規事業の相談を受け「売上10.38倍」「営業利益大赤字→営利23%の黒字化」など、多くの実績をあげてきました。
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▼目次
新規事業でのピボットとは?
ピボット(pivot)とは元々、日本語で「回転」や「回転軸」を意味する英単語です。最近ではベンチャー企業やスタートアップの中で、「方向転換」という意味で使われることが増えてきました。
新規事業開発は、当初の計画や方針通りに進めて成功することはほとんどありません。途中で市場のニーズとのズレが生じたり、想定外のトラブルが起きたりと、方向転換や路線変更が必要になるためです。
新規事業開発において、当初の前提から方向転換し新たな道を切り開くことを、「ピボットする」といいます。
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ピボットは「悪いこと」とは限らない
ピボットが必要になると、「元々の計画がダメだった」とネガティブに捉えがちですが、そうではありません。
なぜなら、ユーザーのニーズや市場は日々変化するからです。計画を立てた当初はニーズにハマっていたとしても、開発中にニーズが変化することは多々あります。
あるいは好調に事業が進んでいても、より大きな市場や課題解決を目指してピボットすることもあります。
新規事業開発ではニーズや市場の「変化」を大前提とし、的確かつスピーディーにピボットを繰り返すことが成功への近道です。
最初から完璧な事業計画を立てることは不可能であるため、ピボットによってユーザーや市場に柔軟に事業を変化させることを重視しましょう。
新規事業においてピボットするタイミング
新規事業においてピボットするタイミングは、大きく分けて以下の2つです。
- 新規事業の企画段階
- 新規事業の立ち上げ後
それぞれのタイミングで異なるピボットの傾向をふくめて、くわしく解説します。
新規事業の企画・立ち上げ段階
新規事業開発を次の手順で進めていくと、「ニーズ調査」と「テストマーケティングの実施」のタイミングで、ピボッドの判断に迫られる場合があります。
【新規事業開発の進め方】
- 3C分析を使ったインプット
- アイデア出し
- ニーズ調査
- 新規事業企画の策定
- テストマーケティングの実施
- 事業計画書の策定・準備
- 予算の確保
- 2度目のテストマーケティング
- 組織体制の構築
「ニーズ調査」で実際のニーズとアイデアに大きな乖離がある、あるいはニーズが想定よりも小さい場合は、アイデアを見直す必要があります。ここで行われるアイデアの転換も、ピボットの1つです。
ニーズ調査をクリアした後は、「テストマーケティングの実施」で思うような効果を見込めなかった場合もピボットを行う場合があります。実際に製品やサービスがユーザーに評価されると、想定と異なる結果が出てくるためです。
上記のようにアイデアの企画・立ち上げ段階でピボットする場合、そもそも取り組む市場やターゲットを転換するパターンが多くあります。企画・立ち上げ段階での思い切ったピボットが、新規事業を成功に導くこともあるのです。
なお、新規事業の立ち上げ方を詳しく知りたい方は、下記の完全ガイドをご覧ください。
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新規事業の立ち上げ後
新規事業の立ち上げ後でも、ピボットが必要になるタイミングがあります。
すでに事業は動き出しているため、ターゲット顧客や市場は変えず、提供する価値やサービス内容を転換するパターンが多くあります。
事業を収益の柱まで育て上げるためには、新規事業立ち上げ後も継続したマーケティング調査と、柔軟なピボットが必要です。
新規事業でピボットをする判断基準
新規事業でピボットをする判断基準は、大きく以下の2つです。
- ニーズが想定よりも小さい
- 事業計画から乖離があり改善見込みがない
この2つの状況に直面したら、ピボットを検討しましょう。
ニーズが想定よりも小さい
市場ニーズが十分にあるか、つまりマーケットサイズが大きいかどうかは、新規事業の成否のカギを握っています。どれだけよい事業設計でも、需要がなければ売上が立たないからです。
したがって、想定よりもニーズが小さい場合は、市場やターゲットのピボットが必要なタイミングです。ただし既存事業への貢献に割り切る場合は、この限りではありません。
新規事業を収益の柱に育て上げたい場合は、マーケットサイズを十分に考慮した事業展開が必要サです。新規事業の企画段階で大きな乖離が生じないよう、入念に調査を行いましょう。
事業計画から乖離があり改善見込みがない
当初の事業計画における売上や利益率、顧客数や受注数といったKPIを達成できず、改善の見込みがないならピボットのタイミングです。
細かな機能改善を行っても効果が見込めないなら、前提に大きな問題がある可能性があるためです。ピボット対象を見直して、さまざまな観点からピボットを検討しましょう。
また、下記の場合にもピボットのタイミングと捉えられます。
- 想定よりもよい市場があった場合
- ニーズが想定よりも浅かった場合(顧客お金を払う程のニーズではない)
一度のピボットでよい結果を得られなかったからといって、諦める必要はありません。ただし長期間にわたって改善が見込めない場合は、ピボットの経験が豊富な新規事業専門のコンサルタントの導入をおすすめします。
ピボットをする際に活用できる考え方
ピボットをする際には、次の2つの考え方を活用します。
- ピボット対象を整理できる「ピボットピラミッド」
- どうピボットするかを「ピボット10の型」
ピボットは「事業のすべてを変える」というイメージもありますが、サービスの一部を変えるという小規模なものもあります。
上記2つの考え方を活用することで、必要なピボットの規模を見極めることも可能です。
ピボット対象を整理できる「ピボットピラミッド」
ピボットする際は、対象となる事項について分析を行います。ピボットの対象は、ピラミッドのように階層化されているため、「ピラミッドピラミッド」と呼びます。
【ピボットピラミッド】
第五層 (最上層) | グロース |
第四層 | テクノロジー |
第三層 | 解決方法 |
第二層 | 課題 |
第一層 (最下層) | ターゲット顧客 |
たとえば第一層の「ターゲット顧客」を変えると、上層に積み重なっているすべての事項を見直す必要があるのです。
そのためピボット対象を決めたら、他のどの階層を見直す必要があるかを検討します。
ただし事業によってはこの限りでなく、上の階層をそのままにしておいても問題がないパターンもあります。
どうピボットするかを「ピボット10の型」
ピボットには10種類の型があり、これを「ピボット10の型」と呼びます。
【ピボット10の型】
ピボット10の型 | 概要 |
---|---|
ズームイン・ピボット | 製品やサービスの特定の機能や部分にフォーカスして、新たな製品やサービスにする |
ズームアウト・ピボット | 既存の製品やサービスの既存機能を拡大し、メイン機能へと置き換える |
顧客セグメント・ピボット | ターゲットやペルソナを変更する |
顧客ニーズ・ピボット | 顧客ニーズを見直し、製品やサービスを再検証する |
プラットフォーム・ピボット | サービスのプラットフォーム化する、あるいは既存のプラットフォームを手放す |
ビジネスモデル・ピボット | 製品の提供方法、価値創出のロジック、収益生成の手法など、事業の運営方法を大きく変更する |
収益モデル・ピボット | 収益の生成方法を変更する |
成長エンジン・ピボット | 成長戦略を変え、新たな成長のトリガーを作り出す |
チャネル・ピボット | 販路やマーケティングを行うチャネルを変更する |
テクノロジー・ピボット | 製品やサービスの技術基盤を変更する |
どのようにピボットするかを迷ったら、「ピボット10の型」から最適なものを選ぶようにしましょう。
事業をピボットをした成功事例
事業をピボットして成功に導いた事例は、いくつもあります。
- Slack
- ミクシィ
- Autify(オーティファイ)
- ベルフェイス
- 富士フイルム
ここでは、5つの事例を通してピボットの重要性を解説していきます。
Slack
法人向けチャットサービスである「Slack」は、立ち上げからたったの2年でユーザー数100万人を突破し、事業を成功させました。その後もユーザー数は増え続け、2019年には1,000万人を超えています。
CEOであるスチュアート・バターフィールド氏は、2009年に会社を創業しました。最初は「Glitch」というMMORPGゲームを開発し、オンラインゲーム事業からスタートしたのです。同事業は2011年に資金調達に成功するも、翌年2012年に撤退。
オンラインゲーム開発を円滑に進めるためのツールとしてSlackを開発しましたが、それを商品化するピボットを行ったのです。こうして大規模なピボットにより、Slackが誕生しました。
ミクシィ
ミクシィといえばSNSサービス「mixi」で有名ですが、元々はネット求人広告をメイン事業として行う会社でした。
当初は順調だったSNSサービスも、米大手Facebook(現:Meta)に押されて縮小。そこからピボットしてスマホゲームアプリ「モンスターストライク」でヒットを生みます。
その後のスマホゲーム分野を開拓するかと思いきや、最近では公営競技やスポーツ観戦分野にシフトし、新たな機会を狙っています。
事業転換という大規模なピボットを繰り返すことで、収益を生み出し続ける事例です。
Autify(オーティファイ)
Autify(オーティファイ)は、ソフトウェアテスト自動化プラットフォームです。AIを導入することで、ノーコードでの自動化を実現しました。これにより、非エンジニアでもテストを自動化できます。
事業化までに8度ものピボットをくり返す中で、市場ニーズ、つまり大きな課題に気づきました。
その課題を解決するためのプロダクトに方向転換することで市場ニーズとマッチし、事業は成功を収めたのです。
ベルフェイス
新型コロナウィルスの影響を直に受けたベルフェイス(株)は、当時100人規模の人員削減を余儀なくされました。しかし、その半年後には新市場を開拓し、収益の柱を構築し直したのです。
同社はもともとオンライン商談ツールサービス事業を展開していたため、リモートが一気に増えたコロナ禍は、売上アップの好機のはずでした。実際、当初はうまく事業が成長していたものの、ZoomやTeamsの台頭によってベルフェイスのサービス需要が急降下してしまったのです。
しかしこのタイミングで、組織の縮小とともにターゲット業界を絞るという思いきったピボットを実行。これにより、打撃を受けたメイン事業は持ち直すことに成功しました。
富士フイルム
富士フイルムは、メイン事業からの転換を成功させた企業として有名です。
同社はフイルムカメラおよびフィルム関連事業をメインとしていましたが、2000年代にデジタルカメラやカメラ付き携帯電話が普及したことで、市場ニーズの変化による急激な需要低下に見舞われました。
しかしその後、わずか2年で化粧品や医薬品といった新領域を開拓し、事業転換を実現しました。
事業転換に成功した際に、同社は自社が培ってきた技術をすべて棚卸ししています。フィルム製造のために培った技術を、別領域で生かすというピボットを実行し、新領域の開拓に成功したのです。
思い切ったピボットで、新規事業を成功に導こう
新規事業開発では迷うことや行き詰まることが多々あり、場合によってはピボットと呼ばれる方向転換が必要です。
適切なタイミングかつ状況でピボットすると、事業を成功に近づけられます。具体的には、マーケットサイズの大きさやニーズの深さ、計画からのギャップなどを見極めましょう。
新規事業開発は当初の計画通り進むことはほとんどなく、事業化した後も市場の変化に振り回されることが多々あります。こうした状況にピボットで対応するためには、事業開発の経験や知識が必要です。
事業開発の経験が浅くどうしたらよいかわからないという場合は、新規事業開発の経験が豊富なコンサルタントに相談するのが成功への近道です。
Pro-D-useでは、経験豊富なコンサルタントが社内メンバーとして事業開発に参加し、伴走型で支援を行っていきます。ともに事業開発を進める中で自社にノウハウが蓄積するため、その後の事業開発が自社でできるようになるまでの成長も可能です。
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新規事業は「なんとなく」で進めると、必ず失敗します。上手くいく新規事業には一定のパターンがあり、それを知らずに新規事業を始めてはいけません。
弊社「(株)Pro-D-use(プロディーユース)」は、“伴走型の新規事業支援” を得意とするコンサルティング会社です。これまで300件以上の新規事業の相談を受け「売上10.38倍」「営業利益大赤字→営利23%の黒字化」など、多くの実績をあげてきました。
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