経営者の方であれば、経営課題について以下のような悩みをお持ちではありませんか?
「業績が悪化しているものの、具体的な問題点がわからない」
「将来のために自社の経営課題になり得る要素を把握しておきたいが、見つけ方がわからない」
「早めに経営課題を把握し、適切な対策を講じたい」
会社が成長・発展し続けるには、現在または将来的な経営課題を把握し、適切に対処することが重要です。
また、経営課題は、事業課題と混同されやすい言葉ですが、抽象度や包括する範囲に違いがあります。事業課題は、事業を進めていくうえで解決すべき課題であり、経営課題は事業を含めた経営全体を進めていくうえで解決すべき課題を指します。
筆者は「株式会社Pro-D-use」という業績アップに強い経営コンサルティング会社を経営しており、これまで多くの中小・中堅企業の業績アップを支援してきました。
本記事では、現役の経営コンサルタントである筆者が、下記の内容を丁寧に解説します。
▼この記事で解説すること
- 企業が当面する経営課題
- 実際に相談されることが多い経営課題
- 経営課題の見つけ方
- 経営課題の解決方法
「多くの企業が抱える経営課題が知りたい」「自社の経営課題の見つけ方が知りたい」とお考えの方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
経営コンサルタント選びは「なんとなく」で進めると必ず失敗します。あなたの会社に貢献するコンサルタントを選ぶなら、多角的な視点で選定しましょう。
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▼目次
企業の経営課題一覧
一般社団法人日本能率協会の『「2023年度(第44回)当面する企業経営課題に関する調査」概要』をもとに、2023年度における企業の経営課題20項目を以下にまとめました。
◆ 企業が直面している経営課題20選
- 課題1. 人材の強化(採用・育成・多様化への対応)
- 課題2. 収益性向上
- 課題3. 売り上げ・シェア拡大(販売力の強化を含む)
- 課題4. 事業基盤の強化・再編、事業ポートフォリオの再構築
- 課題5. 新製品・新サービス・新事業の開発
- 課題6. 働きがい・従業員満足度・エンゲージメントの向上
- 課題7. 株主価値向上
- 課題8. デジタル技術の活用・戦略的投資
- 課題9. 企業ミッション・ビジョン・バリューの浸透や見直し
- 課題10. 現場力の強化
- 課題11. 技術力・研究開発力の強化
- 課題12. 品質向上(商品・サービス・技術)
- 課題13. 財務体質強化
- 課題14. コーポレートガバナンスの強化
- 課題15. ブランド力の向上
- 課題16. 顧客経験価値・満足度の向上
- 課題17. 高コスト体質の改善
- 課題18. CSR、CSV、事業を通じた社会課題の解決
- 課題19. グローバル化(グローバル経営)
- 課題20. リスク管理・事業継続計画(BCP)の策定
出典:一般社団法人日本能率協会『「2023年度(第44回)当面する企業経営課題に関する調査」概要』
とはいえ、「これだけの経営課題の中から、自社に当てはまるものを見つけられるのだろうか…」と不安に思う方もいるのではないでしょうか。
ここからは、筆者が経営コンサルをする中で、特に多いと感じる経営課題や、より具体的な経営課題について詳しく解説します。
筆者が現場で感じる「主な4つの経営課題」
筆者が経営コンサルする中で、企業の経営課題としてとくに多く確認できる課題は、以下4つに分類されます。
◆ 筆者が感じる4つの主な経営課題
項目 | 主な課題 |
---|---|
集客 | ・Webで集客を始めたいが、何から始めればいいかわからない ・Webマーケティングを始めたが、専任の担当者がいないため何も前に進まない ・ネット媒体など広告の選び方がわからない |
人材採用 | ・特に対策もせず、求人広告をそのまま出しっぱなしにしている ・募集は来るが、質のいい人材は来ない ・募集広告を出す以外の採用手法がわからない |
営業 | ・企業の売上を上げたいが、何を変えればいいのかわからない ・営業力に差があり、全員で使える営業ツールが揃っていない ・営業が現場でどのように営業しているかわからない |
資金調達 | ・銀行から資金調達したいが上手くいかない ・資金繰りが悪くリスケもしているが、なにから手をつけていいのかわからない ・赤字が続いているが、どうすれば改善するのかわからない |
株式会社Pro-D-useでは、経営コンサルタントが貴社の現場に入り込み、経営者様の右腕として上記4つを始めとする社内外のさまざまな経営課題の解決をサポートします。
経営コンサルティングの詳細については、以下のページからチェックしてみてください。
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【重要度順】企業が当面する経営課題ランキング
一般社団法人日本能率協会の『「2023年度(第44回)当面する企業経営課題に関する調査」概要』で挙げられている、20項目の経営課題の中から、「現在」「3年後」の経営課題と回答した企業数の多い順に5項目をランキング形式でまとめました。
1位 | 人材の強化 |
2位 | 収益性向上 |
3位 | 売上・シェア拡大 |
4位 | 事業基盤の強化・再編、事業ポートフォリオの再構築 |
5位 | 新製品・新サービス・新事業の開発 |
それぞれの項目ごとに、どのような課題があるのか詳しく見ていきましょう。
【1位】人材の強化
人材採用や人材育成、多様化への対応といった人材面におけるさまざまな課題を指します。
一般社団法人日本能率協会の『「2023年度(第44回)当面する企業経営課題に関する調査」概要』では、人材の強化を「現在」の課題と回答した企業が48.9%、「3年後」の課題と回答した企業が46.4%といずれも最も多い結果となりました。
少子高齢化による労働人口の減少などから、多くの企業が優秀な人材の獲得を課題としていることがわかります。
【2位】収益性向上
収益性の向上も、多くの企業が当面している経営課題の一つです。
日本能率協会の同調査において、収益性の向上を「現在」の課題と回答した企業は44.9%、「3年後」の課題と回答した企業は30.1%でした。
企業の成長には安定した収益が欠かせません。特に、不透明性・不確実性が高い現代において、収益を維持し続けることは難しく、緊急性の高い課題と認識している企業が多いといえるでしょう。
【3位】売上・シェア拡大
デジタルマーケティングの台頭により、企業にはマーケティング手法の見直しが必要とされています。
しかし、マーケティング戦略に苦手意識のある企業の中には、「このままでは売上やシェア拡大でつまずくかもしれない」と危機感を持っている企業も多いようです。
日本能率協会の同調査では、売上・シェア拡大を「現在」の課題と回答した企業は32.0%、「3年後」の課題と回答した企業は22.2%となっています。
売上・シェア拡大は、収益性に直結する課題であることから、なるべく早く解決すべき経営課題と認識している企業が多いといえるでしょう。
【4位】事業基盤の強化・再編、事業ポートフォリオの再構築
事業の体制や仕組みの強化・再編、事業ポートフォリオの再構築も、当面している企業が多い経営課題の一つです。
日本能率協会の同調査では、事業基盤の強化・再編、事業ポートフォリオの再構築を「現在」の課題と回答した企業は23.1%、「3年後」の課題と回答した企業は28.0%でした。
グローバル競争が激化している背景から、これまでの事業基盤が使いものにならなくなるケースは少なくありません。
目まぐるしく変化する社会情勢に対応するためにも、優先的に取り組むべき課題であるという認識が高まっていると考えられます。
【5位】新製品・新サービス・新事業の開発
企業の将来性に関わる項目も、重要だと感じている企業が多い経営課題の一つです。
日本能率協会の同調査では、新製品・新サービス・新事業の開発を「現在」の課題と回答した企業は18.9%、「3年後」の課題と回答した企業は23.9%でした。
いずれも前年度の同調査に比べて割合は減少していますが、企業の将来性を考えると軽視できない経営課題といえます。
こちらの記事では、新規事業開発がうまくいかない理由について詳しく解説しているため、あわせてご覧ください。
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経営課題の見つけ方【4ステップ】
何となく、どの項目に経営課題がありそうか見当は付いたものの、具体的な課題まではわからない、といった方もいるのではないでしょうか。
経営課題の見つけ方としては、以下4つステップを経て、課題を明確にするのがオススメです。
◆ 経営課題の見つけ方【4ステップ】
- 経営資金の流れを把握する
- 社員の成績を明確にする
- 組織状況を可視化する
- 業務フローを見直す
それぞれの視点における経営課題の見つけ方や、ポイントについて詳しく見ていきましょう。
ステップ1. 経営資金の流れを把握する
経営資金に関する課題を明確にするには、経営資金の流れを可視化して把握することが効果的です。
キャッシュフロー計算書や資金繰り表を定期的に確認し、次のような点を把握しておきましょう。
▼ 会社の資金の流れから経営課題を見つける観点
- 売上とコストのバランスは適切か
- 無駄な固定費が発生していないか
- 収益性の低い事業はないか
- 無理のある資金調達をしていないか
- 投資は正しいリターンを生んでいるか
経営資金の流れが正確に把握できれば、資金不足や投資の過不足などの課題を早期に発見しやすくなります。
ステップ2. 社員の成績を明確にする
社員の成績も、経営課題を見つけるうえで大切な視点の一つです。社員それぞれの成績が明確になれば、人事評価や人員配置、人材育成の課題を見つけやすくなります。
たとえば、どの部署においても新入社員の成績がよくない場合、新人研修の方法や育成体制に課題があるのかもしれません。また、特定の部署全体の成績がよくない場合は、労働環境やモチベーション低下が課題になっていると仮定できるでしょう。
社員の成績から経営課題を見つける場合、次のような点を確認するのがオススメです。
▼ 社員の成績から経営課題を見つける観点
- 個人または部署別の目標達成度は数値化されているか
- 成績がよくない社員の特徴や共通点は何か
- 評価後に適切なフィードバックが行われているか
- 人事評価と実際の成績は一致しているか
- 評価制度は公平かつ適切か
評価者によって評価の仕方が異なると、適切な評価ができません。社員の成績を明確にする際は、評価者全員が同じ基準で評価するようにしましょう。
ステップ3. 組織状況を可視化する
組織状況の可視化は、人材配置の過不足や能力の偏りなどの課題が見つかりやすくなります。
組織状況から経営課題を見つける際は、次のような点を中心に確認しましょう。
▼ 組織状態から経営課題を見つける観点
- 人材や予算に過不足はないか
- それぞれの部署で業績に偏りはないか
- 社員の能力や役割は業務に適しているか
- 部署間の情報共有がしやすい組織体制になっているか
組織状況の可視化には、組織図や役割分担表がオススメです。従業員の少ない企業など、組織図や役割分担表を作成していない企業は、これらを作ることから始めましょう。
また、組織図を作成しているものの、しばらく更新できていない企業は、これを機に組織図や役割分担表の見直しをオススメします。
ステップ4. 業務フローを見直す
業務フローの見直しも、経営課題を見つけるのに効果的な方法の一つです。業務フローを可視化することで、業務の無駄や属人化などの課題が見つけやすくなります。
業務フローから経営課題を見つける際は、次の点を確認しましょう。
▼ 業務フローから経営課題を見つける観点
- 重複している業務・非効率的な業務はないか
- 業務の進行を遅らせている要素はないか
- 標準化されていない業務はないか
- ITツールや自動化ツールは適切に導入されているか
今は問題なく業務が進んでいるように見えても、重複している業務や改善すべきプロセスが隠れていることは少なくありません。
業務の無駄を放置し続けると、コスト増加や生産性の低下につながる可能性があるため、定期的に業務フローを見直し、必要に応じて対策することが求められます。
経営課題を解決する5つの方法
前提として、経営課題は企業の規模や業態、社会情勢などによって異なります。
ここでは、筆者が経営コンサルするうえで相談を受けることが多い「集客」「人材採用」「営業」「資金調達」の経営課題を解決する5つの方法を一例として紹介します。
◆ 経営課題を解決する5つの方法
- 経営計画を設定する
- 従業員を適切に評価する
- ITツールを活用する
- フレームワークを活用する
- 経営コンサルタントに相談する
それぞれの解決方法について、以下で詳しく見ていきましょう。
方法1. 経営計画を設定する
集客・人材採用・営業・資金調達を始めとするさまざまな経営課題の解決に役立つのが、経営計画の策定です。
経営計画とは、会社のビジョンや目標、方向性などを示すものを指します。経営計画が明確に定められていれば、企業が今後何を目標にし、どのような経営をすべきかが明確になるのです。
また、経営計画が組織全体に浸透していれば、社員も何を目標にすべきか明確になり、チームワークやモチベーションの向上につながるでしょう。
「経営計画を定めていない」「経営計画が組織全体に浸透しているかわからない」という場合は、経営計画を策定するところから始めることをオススメします。
方法2. 従業員を適切に評価する
「人材を採用してもすぐに辞めてしまう」といった人材採用の課題を解決するのに役立つのが、従業員の適切な評価です。
統一された基準にもとづき、適切に従業員を評価するのはもちろん、評価後のフィードバックにも力を入れましょう。
「目標を達成できなかった原因は何か」「達成するためにはどういった行動が必要なのか」などが明確になると、従業員が自信を持ってアクションを起こしやすくなります。
自身の目標が明確であれば成長を実感しやすくなるため、モチベーションの向上にもつながりやすくなるでしょう。
方法3. ITツールを活用する
ITツールの導入・活用は、集客や営業に関する課題の解決に役立ちます。
ITツールを活用することで業務の無駄を削減できるほか、書類作成やデータ入力などのノンコア業務を自動化・省人化することが可能です。
ノンコア業務の自動化・省人化により、空いた時間を集客や営業のコア業務に活用できるようになれば、業務負担を軽減しつつ生産性を向上させる効果が期待できるでしょう。
方法4. フレームワークを活用する
「一から経営課題を見つけられるか不安…」という方は、フレームワークを活用するのも一つです。
以下に経営課題の把握や分析に役立つフレームワークをまとめました。
フレームワーク | 特徴 |
---|---|
PEST分析 | P(政治)・E(経済)・S(社会)・T(技術)の4つの要素から外部環境に関する経営課題を分析できる |
バリューチェーン分析 | 自社の強み・弱みや事業における各工程の可視化に役立つ |
SWOT分析 | S(強み)・W(弱み)・O(機会)・T(脅威)の4つの要素から経営課題を多角的に分析できる |
ロジックツリー | 要素をツリー状に細分化することで、課題の抽出や原因の特定、解決策の検討に役立つ |
それぞれの特徴をもとに、企業の状況や把握・解決したい経営課題に合うフレームワークを活用しましょう。
PEST分析やバリューチェーン分析については、こちらの記事でも詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
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方法5. 経営コンサルタントに相談する
「自社を客観視するのが難しい」「今のやり方が合っているかわからず、専門家からアドバイスを受けたい」といった場合は、経営コンサルタントに相談するのも一つです。
経営コンサルティングを活用することで、専門的・客観的な視点で貴社の状況に合った具体的な解決法を提案してもらえるでしょう。
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経営課題と向き合うことが経営者の宿命。逃げずにシッカリ取り組もう!
本記事では、企業の経営課題の見つけ方について解説しました。
経営課題を見つける際は、以下4つステップを経て、課題を明確にしましょう。
◆ 経営課題の見つけ方【4ステップ】
- 経営資金の流れを把握する
- 社員の成績を明確にする
- 組織状況を可視化する
- 業務フローを見直す
とはいえ、「日々の業務に追われて経営課題を把握する時間がない」「経営課題が多すぎて、何から始めればいいかわからない」とお困りの方も多いかと思います。
そんなときは、業績アップに強い経営コンサルタントに相談するのがオススメです。
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