新規事業で参入する業界の特徴を詳しく知りたい。競合他社の分析だけでは不十分だろうか。
ファイブフォース分析では、お客さんや仕入れ先も脅威になるのはなぜ?敵は他社だけではないの?
新規事業では、参入する業界選びを間違えると、思うように利益を上げられない可能性も否めません。そんな業界の把握をしたいときに活用したいフレームワークが「ファイブフォース分析」です。
ファイブフォース分析では、外部環境を5つの要素で精査し、商品は売りやすいか、将来性はあるか判断します。
私は、株式会社Pro-D-useという新規事業・事業再生専門の経営コンサルティング会社で、数多くのプロジェクトでファイブフォース分析を活用してきました。
本記事では、ファイブフォース分析とはなにか、分析手順や具体例を紹介します。
この記事を読み終えると、こんなことが実現できます
- 新規事業で参入した際、成功確率の高い業界を見つけられる
- 自社にとっての脅威を正しく把握し、事前に有効な対策を立てられる
ファイブフォース分析で「何が敵となるか」を正しく理解し、優位な業界を見つけましょう。
新規事業は「なんとなく」で進めると、必ず失敗します。上手くいく新規事業には一定のパターンがあり、それを知らずに新規事業を始めてはいけません。
弊社「(株)Pro-D-use(プロディーユース)」は、“伴走型の新規事業支援” を得意とするコンサルティング会社です。これまで300件以上の新規事業の相談を受け「売上10.38倍」「営業利益大赤字→営利23%の黒字化」など、多くの実績をあげてきました。
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▼目次
ファイブフォース分析とは
ファイブフォース分析とは業界の収益性を5つの競争要因から理解するフレームワークで、アメリカの経営学者、マイケル・E・ポーターが提唱しました。
企業を取り巻く環境には、「内部環境」と「外部環境」があり、ファイブフォース分析は、「外部環境」を把握するための分析手法です。
競争要因の正確な把握により、業界の収益性や将来性を理解でき、経営戦略の立案に役立ちます。
新規事業におけるファイブフォース分析の必要性
収益性や将来性の低い業界に参入してしまうと、事業の発展は困難です。
ファイブフォース分析により参入したい業界の収益構造を理解することで、以下の分析が可能となります。
- その業界に新規参入すべきか、それとも撤退すべきか。
- 参入した場合、競合に対して自社の強みを発揮できるか。
新規事業を無駄な努力に終わらせず、後々まで発展させるためにも、競争要因を正確に読み解く必要があります。
新規事業のファイブフォース分析5つの要因
ファイブフォース分析で確認する5つの要因は下記となります。
- 業界内の競争
- 売り手の交渉力
- 買い手の交渉力
- 新規参入の脅威
- 代替品の脅威
それぞれ具体的に解説します。
1. 業界内の競争
業界内の競争とは、業界内で同じ製品やサービスを提供する他社との競争関係です。
企業規模が大きく独占・寡占状態となれば競合からの影響は少ななり収益性は上がりますが、同程度の企業が多数参入する市場では、差別化求められたり価格競争に巻き込まれて収益性が下がります。
分析すること:業界シェア率、成長率、平均収益、平均コスト、認知度など
2. 売り手(サプライヤー)の交渉力
売り手(サプライヤー)の交渉力とは、商品や製品の材料やサービスを調達する“仕入れ先”に当たる企業の力が「売り手の交渉力」です。
仕入れ先(サプライヤー)が多いと、収益性や利便性など原材料やサービスに対する競争が弱くなるため、自社と相性の良い売り手を選べます。(仕入れ価格の安定など)
しかし、売り手が寡占状態なら卸値の交渉も難しく、言い値で取引するしかありません。
分析すること:仕入れコストの動態・トレンド、仕入れ業界のトレンド、他の仕入れ業者など
3. 買い手の交渉力
買い手(顧客)が製品を自由に選べる市場では、値引きや乗り換えなど、強い交渉力が発生します。
また、買い手が企業の場合、規模が大きいほど相手の要求に従わざるを得ないため、収益をあげることが難しくなるケースもあります。
分析すること:他の購入先、競合との差別化、顧客の動態・トレンドなど
4. 新規参入の脅威
新規参入の脅威とは、市場に新しい企業が参入し、競争が激化するリスクを示します。参入障壁の低い業界ほど、競争が激しくなるため自社の優位性を確保しづらくなります。
また、利益を確保できたとしても、新規参入者に地位を奪われる可能性が高いです。特定の技術や設備が必要など、参入が難しい業界を発見できれば、長く収益を確保できます。
一方、中小企業の新規事業では必要以上に参入障壁について考えることはあまり重要ではありません。
なぜなら多くの場合、参入所壁とは最初から準備できるものではないからです。
あまり語られませんが、現場で新規事業を支援している私の体感値からすると、参入障壁とは下記の要素で成り立っていることが多いと感じます。
- 経営者の視座の高さが参入障壁になる
(当たり前の基準が高くて、参入障壁になる) - 当たり前を、コツコツと続けることが参入障壁になる
(参入障壁は積み上げて作り上げるもの) - 失敗をしないことが、参入障壁になる
(正しい道を選び続ける)
参入障壁は、中小企業の新規事業では「結果論」です。もっと言うと、中小企業においては、参入障壁はそこまで重要ではありません。
そのため「膨大なデータを貯めて、それを…」とか、「コミュニティ要素をつくって、それを…」といった、あまり本質的ではない参入障壁を考えるくらいなら、最初から何も考えずに突っ込んだ方が、新規事業はうまくいきます。
(大企業にはない中小企業のウリの1つは、スピード感ですし)
また、よく「大手が参入してきたらどうしますか?」と言われますが、むしろ、大手が参入してきてくれる方が好都合です。
なぜなら、大手企業が市場(マーケット)を「広告」と「多くの優秀な人材」を突っ込んで作っていってくれるため、「むしろラッキー」と考える方が適切なのです。
代表的な参入障壁(Moat)10個の例
- ネットワーク効果
- 独自のデータ
- 圧倒的な資本力
- ブランド力
- 知財や特許
- 複数製品のバンドル化
- 排他的な(真似しずらい)流通網や配送網
- コミュニティ
- 人材力 / 人数
- 法的な規制
分析すること:新規参入のハードル(費用、必要な資格、経験、人材要件、期間など)
5. 代替品の脅威
他の業界に顧客のニーズを満たせる代替品があると、自社が属する業界全体の収益が縮小する恐れがあります。
例えば、家庭用ゲーム機業界では、スマホゲームだけでなく、電子書籍や動画配信サービス、SNSなど“娯楽を提供する製品・サービス”すべてが脅威となります。
分析すること:代替品の市場規模、顧客基盤、価格帯、顧客価値や役割、収益性など
新規事業のファイブフォース分析手順
新規事業のファイブフォース分析は、下記3つのステップで行います。
1. 新規事業で参入する業界を把握しよう(業界内の競争)
まずは、参入する業界を見定めましょう。
その際は「食品業界」のように大枠で捕らえず、「冷凍食品業界」や「冷凍チャーハン業界」のように、ある程度細分化し、対象も明確にして分析するのがポイントです。
また分析範囲が広すぎると、競合他社を見誤ったり、収益を生む要因が不明確になってしまったりするので、
- 業界の範囲
- 競合の範囲
- 分析期間
上記のように、分析対象を絞っておきましょう。
2. 販売価格と仕入れ値を確認しよう(買い手・売り手の交渉力)
新規事業で参入する業界が定まったら、どのような商品がいくらで販売されているか、また、仕入れ先はどの程度あるか確認しなければなりません。
例えば、競合他社も販売商品も多いのに、原材料の仕入れ先が2~3社程度しかない業界では、利益の確保は難しいでしょう。
買い手・売り手、どちらの交渉力も把握し、利益を出しやすい業界か否か判断します。
3. 業界外の競合を分析しよう(新規参入・代替品の脅威)
業界内の分析が終わったら、業界外から来る脅威を確認しましょう。
参入障壁の低い業界ではコストやオリジナリティで他社との差別化を計る必要があります。今は規制の多い業界でも、将来的には規制緩和の対象となりそうなら注意が必要です。
参入障壁はそのほとんどが、事業を作っていく過程で生まれてくるものです。
ただ(前述しましたが)、必要以上に参入障壁を気にすることは止めましょう。(時間が勿体ないです)
また、代替品も現時点だけでなく、将来的な変化も見据えて分析できれば、より収益性の確保につながります。
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「自社の状況に当てはめると、どう考えれば良いんだろう…?」
そんなときは、私たち「Pro-D-use」に相談してみませんか?Pro-D-useは伴走型の新規事業開発・収益化支援を得意とするコンサルティング会社です。詳しくは新規事業支援サービスページをご覧ください。
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新規事業のファイブフォース分析の効果
以上のように、新規事業のファイブフォース分析では、個別に分析し業界像を把握するだけでなく、2軸に分けた分析により外部環境を総合的に判断できます。
- 売り手・買い手の分析→参入する業界の収益性や構造がわかる。
- 新規参入・代替品の分析→自社がどの程度利益を確保できそうかわかる。
これらの把握により、自社のポジションニングや、将来起こりうる危機へ備えられるだけでなく、経営資源の最適な分配も可能となります。
ファイブフォース分析の事例
最後に、ファイブフォース分析の具体的な事例をハンバーガー業界のマクドナルドで確認します。
1.業界内の競争
ハンバーガー業界では、下記のように多数の競合が存在します。
- モスバーガー
- ロッテリア
- フレッシュネスバーガー
とはいえ、マクドナルドの市場規模は1兆円近く、他の追随を許さないポジションを確立しています。
2.売り手の交渉力
マクドナルド自体の企業規模が大きいため、仕入れ先である売り手の交渉力を抑えられます。
ポテトやビーフは米国の契約農場を利用し、品質管理も徹底しています。世界規模の企業のため、売り手自体を管理するほどとなっています。
3.買い手の交渉
類似商品の多い業界のため、買い手(一般消費者)は容易に他社のハンバーガーを購入できます。
また、新商品やセール情報にもアクセスしやすいため、買い手の交渉力が強い業界です。
そのため、マクドナルドでは、低~高価格商品を揃える、季節限定メニューを充実させる、店舗数も他社に比べて多いなど、顧客を惹きつける対策が取られています。
4.新規参入の脅威
テイクアウト需要の高まりを受け、鳥貴族や松屋フーズなど、他の飲食店もハンバーガー業界に進出する動きを見せています。
飲食のノウハウがあれば進出しやすい業界と分析できます。
5.代替品の脅威
フライドチキン、ピザ、ドーナツなど他のファストフードが代替品として上げられます。
また、安い・早い・旨いが揃ったファミリーレストラン、コンビニ商品、牛丼、寿司なども脅威となります。
以上の分析から、ハンバーガー業界は脅威の多い業界であるものの、マクドナルドは圧倒的ポジションを確立していることがわかります。
脅威の理解は、経営戦略の立案にも大切!
ファイブフォース分析は、外部環境の脅威を5つの項目から分析するフレームワークです。
自社にとって、何が敵となりうるかを正しく理解でき、経営戦略の立案にも役立ちます。
また、より多面的に脅威を理解したい時は、内部環境を分析するフレームワーク(バリューチェーン分析やVRIO分析など)も用いるとより効果的です。
新規事業は「なんとなく」で進めると、必ず失敗します。上手くいく新規事業には一定のパターンがあり、それを知らずに新規事業を始めてはいけません。
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