製造業の利益率目安は5~10%!「利益率の上げ方」を徹底解説

製造業の利益率目安は5~10%!「利益率の上げ方」を徹底解説
    • 製造業
  • 2025年2月28日

製造業を経営している意識の高い経営者であれば、自社の利益率の目安を把握して、下記の悩みや疑問を解決して、健全経営をしたいとお考えではありませんか?

自社の利益率は適正なのかな?自分の立ち位置を知りたい」

どのくらいの利益率を目指すべきなのだろうか?」

自社の利益率を高めるにはどうすればいいのか?」

製造業で一般的に利益率というと「営業利益率」を指すことが多く、経営効率や競争力を評価する際の重要な指標となります。

製造業の経営者は、まずは優良な製造企業と呼ばれる「利益率5~10%」を目指すべきです。

筆者の本業は、製造業の法人経営者に対する経営コンサルティングです。そんな筆者の「クライアントの利益率を5~10%に上げてきた経験」から、利益率5~10%を達成できれば、下記のようなメリットがあると確信しています

◆ 利益率を5~10%に上げるメリット

  • 資金調達(融資)が容易になる
  • 在庫を多く確保できる
  • 採用に回せるお金が増える
  • 役員報酬、社員給与を上げることができる
  • 設備投資の選択肢が増える
  • システム投資がしやすくなる
  • 資金繰りが楽になる
執筆者:株式会社Pro-D-use岡島光太郎

本記事では、製造業の平均利益率や大企業の利益率、さらに利益率を向上するための具体的な方法まで詳しく解説します。また、利益率の計算方法や指標についても解説していますので、自社の利益率を向上したいとお考えの方はぜひ、参考にしてください。

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製造業22の業種の「業界別の平均利益率」

製造業における業種別の平均利益率を以下の表にまとめました。

◆ 22の製造業の業種別「平均利益率」

業種平均利益率黒字かつ自己資本プラス企業の
平均利益率
1. 食料品製造業-10.1%3.9%
2. 飲料・たばこ・飼料製造業-16.5%5.1%
3. 繊維工業(衣服,その他の繊維製品を除く)-7.8%3.9%
4. 衣服・その他の繊維製品製造業-13.7%4.6%
5. 木材・木製品製造業-9.8%3.4%
6. 家具・装備品製造業-9%6.1%
7. パルプ・紙・紙加工品製造業-9.9%7.7%
8. 印刷・同関連業-12.5%3.4%
9. 化学工業-8.3%5.1%
10. プラスチック製品製造業-5.2%6.5%
11. ゴム製品製造業-5%6.2%
12. 窯業・土石製品製造業-7.7%4%
13. 鉄鋼業-8%2.4%
14. 非鉄金属製造業-7.3%
15. 金属製品製造業-11%3.8%
16. 一般機械器具製造業-9%6.2%
17. 電気機械器具製造業-14.2%4.2%
18. 情報通信機械器具製造業-16.6%1.3%
19. 電子部品・デバイス製造業-8.5%10.3%
20. 輸送用機械器具製造業-10.7%6.1%
21. 精密機械器具製造業-13.1%5.3%
22. その他の製造業-11.4%4.4%
参照> 小企業の経営指標調査2023(日本政策金融公庫)

それぞれの業種の「平均利益率」と「黒字企業の平均利益率」の乖離状況を示したのが下記の図解です。

業種「平均利益率」と「黒字企業の平均利益率」の乖離状況

製造業22業種の「業界別の平均利益率」

上の図解は、右上にいけばいくほど、その企業の努力次第で高利益体質になりやすいことを示しています。逆に、左下になればなるほど、企業努力よりも業界(市場)に左右されやすいこい業種であることがわかります。

製造業において、平均利益率が多くの業種でマイナスの理由は以下の2つの理由によります。

◆製造業の利益率がマイナスである2つの理由

  • 理由1. 製造業は利益率が高いビジネスモデルではない
  • 理由2. 投資が大きいので減価償却費も大きいため

とくに、「飲料・たばこ・飼料製造業」や「衣服・その他の繊維製品製造業」は、黒字かつ自己資本プラス企業との平均に大きな差が出ている結果となっています。同業種の平均利益率と自社の利益率を比較し、利益率が適正かを判断する基準にしてください。

製造業の平均利益率は「4.0%」

経済産業省の調査によると、製造業全体の平均利益率は4.0%です。中小企業と大企業の、規模間格差はそこまで大きくないという結果も出ています。

製造企業における売上高営業利益率では、中小企業で売上高営業利益率がマイナス(営業損益が赤字の状態)の企業は25.9%、プラス(営業損益が黒字の状態)の企業は74.1%と、中小の製造業では「4分の1は赤字」となっています。大企業では、マイナスの企業が15.6%、プラスの企業が84.4%と、大企業の製造業でも「6分の1は赤字」となっています。

次では、一般的な営業利益率の目安について解説をしますので、あなたの会社の経営の参考にしてください。

参考>> 中小企業の売上高営業利益率|商工業実態基本調査|経済産業省

一般的な営業利益率の目安

営業利益率が高いと、企業の収益性が高いといえます。しかし、実は営業利益率は高ければ高いほど良いというものではありません。営業利益率の適正な水準の目安は、次のとおりです。

営業利益率企業の状態
0%以下危険
0~5%一般的
5~10%優良
10~15%超優良
15%以上注意

営業利益率が0%を下回っている場合は、経営が赤字になっている状態です。そのため、早期に正しく現状を整理し、経営改善を行う必要があります。

営業利益率が0〜5%は平均的な値です。まずはこの利益率を目指すと良いでしょう。

営業利益率が5〜15%以上の企業は、経営状態がかなり優れており、高い収益性があるといえます。特に営業利益率が10%を超える企業は少ないため、経営改善に取り組んでいる企業はこの利益率を目指すと良いでしょう。

なお、製造業で理想的な利益率5~10%を目指したい場合には、製造業向けのコンサル会社を活用するケースは多くあります。製造業に強いコンサルティング会社について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

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なお、営業利益率が15%以上になると、一見優れているように思えるかもしれませんが、注意が必要です。なぜなら、過度な利益追求で従業員に負担がかかっていたり、顧客サポートが不十分だったりする可能性もあるため、経営や組織体制の見直しが必要になっているケースが多いからです。

なお、下記状況においては利益率が15%超えていても全く問題はありません。

◆ 利益率15%超えていても問題がないケース

  • 競合のいない唯一プロダクトを保有している
  • 利益率の高い顧客と独占的契約をしている

それでは次に、日本国内の製造業企業で、利益率が非常に優れている会社のランキングを見ていきましょう。

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製造業企業の利益率ランキング「トップ10」

2019年11月時点で、東京商工リサーチの「財務データベース」に登録されている約80万社の中から、特に高い利益率を出している企業をランキング形式にしてまとめました

順位社名5期平均
営業収益率
社員数事業概要売上高
1位ペプチドリーム52.50%104名医薬品候補物質の開発72億1662万円
2位成和インターナショナル45.20%18名化粧品製造・販売33億3646万円
3位アルファ40.80%50名ヒートシンクの製造23億3545万円
4位山本漢方製薬29.70%37名健康食品製造66億4818万円
5位念治錦江29.60%55名ステンレス部品製造50億1805万円
6位エーワン精密28.50%95名コレットチャック製造20億8420万円
7位帝王チャック25.50%163名チャック製造48億5916万円
8位ワシノ機器24.60%92名産業用配管機器製造22億732万円
9位三貴工業24.50%100名産業機械の製造25億6598万円
10位アタゴ25.00%190名精密測定器製造32億7956万円
参照:日経ビジネス 全国中小製造業利益率ランキング

人口の減少や海外移転など、厳しい経営環境に直面している中でも、これらの企業は20%以上の営業利益率を維持し続けていることがわかります。

製造業で利益率を向上させるための4つのポイント

製造業で利益率を向上させるには、以下4つのポイントを意識することが大切です。

◆ 製造業が利益率を上げる4つのポイント

  1. 売上を向上させる
  2. コストを抑える
  3. DX化による業務効率アップ
  4. 経営コンサルティングへの相談

それぞれのポイントについて、以下で詳しく見ていきましょう。

ポイント1:売上を向上させる

まずは、売上を向上させることが利益率の向上につながります。売上原価はそのままで、売上を向上させることで、企業の利益率アップが見込めるでしょう。

近年、多くの商品で物価高による仕入れコストの上昇に伴い、価格の調整が進んでいます。しかし、だからといって何の工夫もなく単純に価格を引き上げると、顧客が離れていってしまう可能性が高くなります。

そこで重要なのが、価格の引き上げに伴い、これまでにない付加価値を商品やサービスに加えることです。たとえば、製品の品質向上やアフターサービスの充実など、顧客が価格に見合ったと感じられるような価値を提供する必要があります。

これにより、顧客の購買意欲を保ちつつ、売上の向上が期待できるでしょう。

ポイント2:コストを抑える

コストを抑えるのも、利益率を向上させるポイントの一つです。

コストを削減することで売上原価が減り、利益率の向上が見込めるでしょう。たとえば、製造コストや原材料費、エネルギー費などを効率化することで、同じ売上でもより多くの利益を得られます。

また、コスト削減には、製品やサービスの価格設定が柔軟になり、競争力を向上させるメリットもあります。競合他社よりも低コストで製品やサービスを提供できると、価格面での競争力が高まり、価格競争が激しい市場でも生き残りやすくなるでしょう。

これにより、安定した売上を維持しやすくなり、結果的に利益率の向上が期待できます。

ポイント3:DX化による業務効率アップ

DX(デジタルトランスフォーメーション)を導入し、業務効率をアップさせるのも、利益率を上げるポイントの一つです。

製造業のDX化には、主に以下のような例があります。

◆ 「製造業のDX化」事例

  • 生産工程にソフトを導入して生産管理を自動化する
  • データ分析によって受注の予測や新商品の開発に活用する
  • loTツールを用いて製品のデータ収集を行う

このように、デジタルツールやシステムを活用することによって業務のスピードが向上するため、同じ時間でより多くの作業をこなせるようになるでしょう。

また、DX化でリアルタイムのデータを収集・分析することが可能になるため、無駄の少ない効率的な運営の実現にもつながると考えられます。

製造業におけるDX化やAIの活用事例については、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

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ポイント4:経営コンサルティングへの相談

利益率を向上させたいけれど、何から始めればいいかわからない…」そんな方は、経営コンサルタントへ相談するのも一つです。製造業コンサルの(株)Pro-D-useでは、製造業の経営者が抱える現場での悩みに寄り添い、業務改善や利益率向上をはじめとした事業構築をサポートします。

(株)Pro-D-useでは、これまでに以下のような製造業の課題をコンサルティングしています。

◆ (株)Pro-D-useが製造企業に支援すること

  • IT/DX化
  • 財務不振
  • 新規事業不振
  • 事業/業務改善・改革
  • 事業継承
  • リソース不足
  • マーケティング不足
  • 営業・販売不振

株式会社Pro-D-useのご支援実績・事例について気になる方は、(株)Pro-D-useの製造業顧客の事例一覧からチェックしてみてください。

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利益率の「5つの種類」と「計算方法」

会社の利益率には、主に次の5種類があります。

◆ 5つの利益率の種類

  • 売上高総利益率
  • 売上高営業利益率
  • 売上高経常利益率
  • 自己資本経常利益率
  • 総資産利益率

また、それぞれの利益率の概念と計算式をわかりやすくしたものが以下の図解になります。

▼ 5つの利益率の概念と計算式

利益率の5種類と計算式の一覧

それぞれの概要と計算方法について、以下で詳しく見ていきましょう。

種類1. 売上高総利益率

売上高総利益率とは、企業の売上高に対する総利益(売上総利益)の割合を示す指標です。最も一般的な利益率とされており、粗利益率とも呼ばれています。

売上高総利益率は、以下の計算式で求められます。

【売上高総利益率=売上総利益÷売上高×100】

売上総利益は売上高から売上原価を差し引いた金額、売上高は商品や販売やサービスの提供によって得られた収入です。

たとえば、ある企業の年間売上高が1億円、売上原価が7,000万円だったとします。その場合、この企業の売上高総利益率は次のとおりです。

売上高総利益率=(1億円-7,000万円)÷1億円×100=30%

売上高総利益率が高いほど、原価に対して多くの利益を得ていることになります。

種類2. 売上高営業利益率

売上高営業利益率とは、企業の売上高に対して営業活動による利益がどれだけの割合を占めているかを示す指標です。つまり、企業の本業での収益性がどれくらいかを判断する一つの指標になります。

売上高営業利益率は、以下の計算式で求められます。

【売上高営業利益率=営業利益÷売上高×100】

営業利益は売上総利益から販売費や一般管理費(人件費・広告費などの経費)を差し引いたものです。

たとえば、ある企業の年間売上高が1億円、販売総利益3,000万円、販売費800万円、一般管理費700万円だったとします。その場合、この企業の売上高営業利益率は次のとおりです。

売上高営業利益率=(3,000万円-800万円-700万円)÷1億円×100=15%

売上高営業利益率が高いほど、本業による収益性が高く、営業効率が良いことがわかります。一方、売上高営業利益率が低い場合は、販売費や一般管理費などのコスト削減や、売上高を増やすための戦略を練る必要があるでしょう。

種類3. 売上高経常利益率

売上高経常利益率とは、企業の売上高に対して経常利益(本業以外も含めた企業全体の活動)がどれだけの割合を占めているかを示す指標です。

製造業を本業としている企業が不動産事業も行っている場合、製造業と不動産事業の利益を合算したものが経常利益となります。

売上高経常利益率は、以下の計算式で求められます。

【売上高経常利益率=経常利益÷売上高×100】

たとえば、ある企業の年間売上高が1億円、経常利益が2,000万円だった時、この企業の売上高経常利益率は次のとおりです。

売上高経常利益率=2,000万円÷1億円×100=20%

売上高経常利益率が高いほど、企業は本業以外の損益も含めて安定的に利益を生み出せていることがわかります。

種類4. 自己資本経常利益率

自己資本経常利益率とは、企業の自己資本に対して経常利益がどれだけの割合を占めているかを示す指標です。ROE(Return On Equity)とも呼ばれており、企業が自己資本をどれだけ効率的に運用できているかがわかります。

自己資本経常利益率は、以下の計算式で求められます。

【自己資本経常利益率=当期純利益÷自己資本×100】

当期純利益は、経常利益から資産売却益や特別損益、法人税などを差し引いたものです。

たとえば、ある企業の自己資本が5億円で、当期純利益が1億円だった場合、自己資本経常利益率は次のように計算されます。

自己資本経常利益率=1億円÷5億円×100=20%

自己資本経常利益率が高いほど、企業は自己資本を効率的に活用して高い利益を生み出しているといえるでしょう。この指標は、経営だけでなく、株主や投資家にも多く用いられています。

種類5. 総資産利益率

総資産利益率とは、企業が保有するすべての資産を用いてどれだけの利益を生み出しているかを示す指標です。ROA(Return On Asset)とも呼ばれ、企業の総合的な収益性を評価するために用いられます。

総資産利益率を求める計算式は、次のとおりです。

【総資産利益率=当期純利益÷総資産(総資本)×100】

たとえば、ある企業の総資産が10億円で、当期純利益が1億円だった場合、総資産利益率は次のように計算されます。

総資産利益率=1億円÷10億円×100=10%

総資産利益率は、借入金や負債なども含めた企業が保有するすべての資産を対象としているのが特徴です。企業の総合的な資産運用効率を評価できるため、規模の異なる同業他社と比較することもできます。

製造業の営業利益率改善事例【株式会社T社】

まずは、弊社(株)Pro-D-use(プロディーユース)が営業利益率の改善支援をしたお客様T社様の事例をご紹介します。

T社の概要

株式会社T社は、精密機械部品の製造を専門とする中小企業です。創業30年を迎え、高品質でありながら、多品種小ロットな注文を受け付けられるため、業界内では一定の評価を得ていましたが、近年の競争激化により経営課題に直面していました。

年商20億円従業員80名。しかし、直近3年の営業利益率はわずか0.7%。業界平均4%を大きく下回り、このままではいつ赤字転落してもおかしくない状態でした。

T社の社長の悩み

T社の社長(58歳)は、二代目として10年前に就任。技術畑出身で、製品開発にはとても長けており、社員から「技術は社長がよく知っている」と信頼されていました。しかし、経営面では「営業が苦手」「マネジメントが苦手」「決断力に欠ける」という評価でした。

「技術力は自信があるが、なぜ利益に結びつかないのか?」と悩むなか、取引先からの更なるコストダウン要請も強まり、抜本的な改革の必要性を感じ、筆者の経営する(株)Pro-D-use(プロディーユース)へコンサルティング依頼に至りました。

T社の営業利益率低下の原因と対策

(株)Pro-D-use(プロディーユース)では、おT社様の現場に入り込み、「原因特定」「施策の実行」を推進した結果、しっかりと成果に繋げることができました。

以下の図解は、「原因」「施策」「成果」をわかりやすく示したものです。

T社の営業利益率低下の原因と対策

(株)Pro-D-use(プロディーユース)が特定したT社の営業利益率低下の原因は以下の4点に集約されました。

  1. 非効率な生産体制
    – 設備がすべて20年前のもの。最新設備の導入が遅れ、人海戦術に頼る部分が多かった
  2. 高すぎる在庫水準
    – 在庫管理ができておらず、同時に資金も逼迫。機会損失も多く発生していた
  3. 不明確な原価管理
    – 「どの製品をいくら売れば黒字になるのか」、製品別の収益性が把握できていない
  4. 営業戦略・組織の弱さ
    – 技術偏重で、営業戦略が不十分。新規開拓どころか、既存顧客からの値下げ要請にも御用聞き状態

上記4つの営業利益率が低い原因に対し、以下の改善施策を一緒に並走しながら実施しました。

  1. 最新設備の導入で生産性の大幅向上
    – リースを活用し、初期投資を抑制。生産性は1.5倍に向上。
  2. 適正在庫の基準値作成と需要予測システムの導入
    – 現場に入り込み、適正在庫の基準値を策定。また、需要予測システム導入し、適正在庫レベルを維持することで、納期遅れを80%減らす。
  3. 不採算製品を特定し、利益率の高い製品にリソースを集中
    – 原価管理の仕組みを一から構築。また原価管理も厳格化し、不採算製品や不採算顧客を一掃した
  4. 営業体制の大幅変更
    – 営業部門を再編成し、提案型営業への転換を図った。

営業利益率改善プロジェクトの結果

これらの施策を2.5年かけて段階的に実施した結果、以下の成果が得られました。

◆「営業利益率改善プロジェクト」4つの成果

  1. 営業利益率0.7%から5.5%へ改善(業界平均を上回る)
  2. 在庫回転率:年3回から7回へ改善
  3. 労働生産性:1人当たり売上高が20%増
  4. 新規顧客獲得大手メーカーとの取引開始既存顧客への値上げも断行

営業利益率の改善プロジェクトが落ち着いた頃、ある若手ホープの従業員から「正直、転職を考えていたが、今はこの会社で働き続けるイメージが湧いてきました」という言葉をいただけました。

また、T社の社長からは下記のような高い評価をいただきました。

「初年度はなかなか成果が目に見えなかったので不安だったが、2年目から明らかに数字が改善していき、会社の雰囲気も一気に良くなっていくのを実感できた。感謝しています。」

特に、IT導入だけでなく運用も弊社がガッチリと代行した結果、会社のすべての数値が管理できるようになり、経営判断のスピードが目覚ましく上がったことを喜んでおられました。

利益率が上がったことにより、T社は今後、更なる投資やチャレンジに積極的になっています。具体的には、「IoT技術の導入で更なる生産性向上」「海外への展開」を計画しています。弊社(株)Pro-D-use(プロディーユース)も、引き続きT社の現場・従業員との対話を重視しながら、戦略的支援をしつつ、T社の成長を一緒に並走していく予定です。

製造業は利益率5~10%を目安に経営努力を積み重ねよう!

本記事では、製造業の平均利益率や大企業の利益率、利益率を向上するための具体的な方法について詳しく解説しました。

製造業全体の営業利益率の平均は4.0%です。そのため、現在赤字の企業の場合は利益率0〜5%を、より強固な経営を目指すのであれば「5〜10%」を目安にすると良いでしょう。

しかし、利益率を向上したいと思っていても、下記の悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか?

「利益率向上のために、何から始めれば良いかわからない…」
「そもそも経営改善に取り組む時間がない」

そんな時は、製造業に強い経営コンサルタントに相談するのがおすすめです。

筆者の経営する(株)Pro-D-useでは、製造の現場に入り込み、従業員様のマネジメントまでも巻き取りながら、会社全体を把握し、事業を一緒に飛躍させる伴走・現場型の経営コンサルティングをしています。

企画から戦略設計、製造部・営業部の現場改善まで一貫してサポートするため、製造業の経営改善に少しでも不安がある方は、お気軽に無料経営(新規事業)相談フォームからご相談ください。

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コラム著者プロフィール

岡島光太郎

岡島 光太郎

取締役副社長 兼 経営コンサルタント(Co-founder)

2009年:(株)リクルートに新卒で入社。営業・企画の両面で責任者を務める。
※リクルートではMVPやマネジメント賞など、個人・マネージャー賞を多数受賞。
2013年:(株)データX(旧:フロムスクラッチ)の創業期に転職。営業や新卒・中途採用の責任者を務める。
2014年:アソビュー(株)に転職。その後、営業責任者、新規事業責任者を歴任。
2015年:(株)Pro-D-useを創業。取締役副社長(現任)に就任。

【得意領域】
新規事業の立上げ~収益化、成果を上げる営業の仕組み作り、BtoBのWebマーケティングを主軸とした売れる仕組み作り、DXまで見通したIT・SaaS・業務システムの導入や運用、融資を中心とした資金調達~財務のコンサルティングを得意としている。

【担当業種】
「システム受託開発」「Webサービス」「Tech系全般」「製造」「建築」「販売・サービス」「スクール業」など多岐。

【資格・認定】
中小企業庁認定:中小企業デジタル化応援隊事業認定IT専門家 / I00087391
経済産業省認定:情報処理支援機関 / 第39号‐24060007(21)