製造業を経営している意識の高い経営者であれば、自社の利益率の目安を把握して、下記の悩みや疑問を解決して、健全経営をしたいとお考えではありませんか?
「自社の利益率は適正なのかな?自分の立ち位置を知りたい」
「どのくらいの利益率を目指すべきなのだろうか?」
「自社の利益率を高めるにはどうすればいいのか?」
製造業で一般的に利益率というと「営業利益率」を指すことが多く、経営効率や競争力を評価する際の重要な指標となります。
製造業の経営者は、まずは優良な製造企業と呼ばれる「利益率5~10%」を目指すべきです。
筆者の本業は、製造業の法人経営者に対する経営コンサルティングです。そんな筆者の「クライアントの利益率を5~10%に上げてきた経験」から、利益率5~10%を達成できれば、下記のようなメリットがあると確信しています。
◆ 利益率を5~10%に上げるメリット
- 資金調達(融資)が容易になる
- 在庫を多く確保できる
- 採用に回せるお金が増える
- 役員報酬、社員給与を上げることができる
- 設備投資の選択肢が増える
- システム投資がしやすくなる
- 資金繰りが楽になる
本記事では、製造業の平均利益率や大企業の利益率、さらに利益率を向上するための具体的な方法まで詳しく解説します。また、利益率の計算方法や指標についても解説していますので、自社の利益率を向上したいとお考えの方はぜひ、参考にしてください。
製造業の会社がコンサルを検討する際には、「なんとなく選ぶ」でと必ず失敗します。ビジネスが複雑な製造業の経営を改善するには、” 製造業の現場に強い “コンサル会社に依頼することが必須条件です。
(株)Pro-D-use(プロディーユース)は、製造業の現場に詳しいコンサルタントが「伴走しながら、現場主導で利益を押し上げる」コンサル支援が強みの製造業コンサルティング会社です。これまでたくさんの製造現場で「売上・利益の拡大」「製造の各種管理や営業・マーケティング改善」などで数多くの実績をあげてきました。
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▼目次
製造業の営業利益率改善事例【株式会社T社】
まずは、弊社(株)Pro-D-use(プロディーユース)が営業利益率の改善支援をしたお客様T社様の事例をご紹介します。
T社の概要
株式会社T社は、精密機械部品の製造を専門とする中小企業です。創業30年を迎え、高品質でありながら、多品種小ロットな注文を受け付けられるため、業界内では一定の評価を得ていましたが、近年の競争激化により経営課題に直面していました。
年商20億円、従業員80名。しかし、直近3年の営業利益率はわずか0.7%。業界平均4%を大きく下回り、このままではいつ赤字転落してもおかしくない状態でした。
T社の社長の悩み
T社の社長(58歳)は、二代目として10年前に就任。技術畑出身で、製品開発にはとても長けており、社員から「技術は社長がよく知っている」と信頼されていました。しかし、経営面では「営業が苦手」「マネジメントが苦手」「決断力に欠ける」という評価でした。
「技術力は自信があるが、なぜ利益に結びつかないのか?」と悩むなか、取引先からの更なるコストダウン要請も強まり、抜本的な改革の必要性を感じ、筆者の経営する(株)Pro-D-use(プロディーユース)へコンサルティング依頼に至りました。
T社の営業利益率低下の原因と対策
(株)Pro-D-use(プロディーユース)が現場に入り込み詳細な分析をした結果、営業利益率低下の原因は以下の4点に集約されました。
- 非効率な生産体制
– 設備がすべて20年前のもの。最新設備の導入が遅れ、人海戦術に頼る部分が多かった - 高すぎる在庫水準
– 在庫管理ができておらず、同時に資金も逼迫。機会損失も多く発生していた - 不明確な原価管理
– 「どの製品をいくら売れば黒字になるのか」、製品別の収益性が把握できていない - 営業戦略・組織の弱さ
– 技術偏重で、営業戦略が不十分。新規開拓どころか、既存顧客からの値下げ要請にも御用聞き状態
上記4つの営業利益率が低い原因に対し、以下の改善施策を一緒に並走しながら実施しました。
- 最新設備の導入で生産性の大幅向上
– リースを活用し、初期投資を抑制。生産性は1.5倍に向上。 - 適正在庫の基準値作成と需要予測システムの導入
– 現場に入り込み、適正在庫の基準値を策定。また、需要予測システム導入し、適正在庫レベルを維持することで、納期遅れを80%減らす。 - 不採算製品を特定し、利益率の高い製品にリソースを集中
– 原価管理の仕組みを一から構築。また原価管理も厳格化し、不採算製品や不採算顧客を一掃した - 営業体制の大幅変更
– 営業部門を再編成し、提案型営業への転換を図った。
営業利益率改善プロジェクトの結果
これらの施策を2.5年かけて段階的に実施した結果、以下の成果が得られました。
- 営業利益率:0.7%から5.5%へ改善(業界平均を上回る)
- 在庫回転率:年3回から7回へ改善
- 労働生産性:1人当たり売上高が20%増加
- 新規顧客獲得:大手メーカーとの取引開始(既存顧客への値上げも断行)
営業利益率の改善プロジェクトが落ち着いた頃、ある若手ホープの従業員から「正直、転職を考えていたが、今はこの会社で働き続けるイメージが湧いてきました」という言葉をいただけました。
また、T社の社長からは下記のような高い評価をいただきました。
「初年度はなかなか成果が目に見えなかったので不安だったが、2年目から明らかに数字が改善していき、会社の雰囲気も一気に良くなっていくのを実感できた。感謝しています。」
特に、IT導入だけでなく運用も弊社がガッチリと代行した結果、会社のすべての数値が管理できるようになり、経営判断のスピードが目覚ましく上がったことを喜んでおられました。
利益率が上がったことにより、T社は今後、更なる投資やチャレンジに積極的になっています。具体的には、「IoT技術の導入で更なる生産性向上」「海外への展開」を計画しています。
弊社(株)Pro-D-use(プロディーユース)も、引き続きT社の現場・従業員との対話を重視しながら、戦略的支援をしつつ、T社の成長を一緒に並走していく予定です。
製造業の会社がコンサルを検討する際には、「なんとなく選ぶ」でと必ず失敗します。ビジネスが複雑な製造業の経営を改善するには、” 製造業の現場に強い “コンサル会社に依頼することが必須条件です。
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製造業の平均利益率
経済産業省の調査によると、製造業全体の平均利益率は4.0%です。中小企業と大企業の、規模間格差はそこまで大きくないという結果も出ています。
製造企業における売上高営業利益率では、中小企業で売上高営業利益率がマイナス(営業損益が赤字の状態)の企業は25.9%、プラス(営業損益が黒字の状態)の企業は74.1%と、中小の製造業では「4分の1は赤字」となっています。大企業では、マイナスの企業が15.6%、プラスの企業が84.4%と、大企業の製造業でも「6分の1は赤字」となっています。
しかし、製造業とひとくちに言ってもさまざま業種があります。次では、製造業における業種別の平均利益率をご紹介します。
出典:中小企業の売上高営業利益率|商工業実態基本調査|経済産業省
製造業の業種別の平均利益率
製造業における業種別の平均利益率を以下の表にまとめました。
業種 | 平均利益率 | 黒字かつ自己資本プラス企業の 平均利益率 |
---|---|---|
食料品製造業 | -10.1% | 3.9% |
飲料・たばこ・飼料製造業 | -16.5% | 5.1% |
繊維工業(衣服,その他の繊維製品を除く) | -7.8% | 3.9% |
衣服・その他の繊維製品製造業 | -13.7% | 4.6% |
木材・木製品製造業 | -9.8% | 3.4% |
家具・装備品製造業 | -9% | 6.1% |
パルプ・紙・紙加工品製造業 | -9.9% | 7.7% |
印刷・同関連業 | -12.5% | 3.4% |
化学工業 | -8.3% | 5.1% |
プラスチック製品製造業 | -5.2% | 6.5% |
ゴム製品製造業 | -5% | 6.2% |
窯業・土石製品製造業 | -7.7% | 4% |
鉄鋼業 | -8% | 2.4% |
非鉄金属製造業 | -7.3% | – |
金属製品製造業 | -11% | 3.8% |
一般機械器具製造業 | -9% | 6.2% |
電気機械器具製造業 | -14.2% | 4.2% |
情報通信機械器具製造業 | -16.6% | 1.3% |
電子部品・デバイス製造業 | -8.5% | 10.3% |
輸送用機械器具製造業 | -10.7% | 6.1% |
精密機械器具製造業 | -13.1% | 5.3% |
その他の製造業 | -11.4% | 4.4% |
平均で見ると多くの業種でマイナスになっています。とくに、「飲料・たばこ・飼料製造業」や「衣服・その他の繊維製品製造業」は、黒字かつ自己資本プラス企業との平均に大きな差が出ている結果となっています。
同業種の平均利益率と自社の利益率を比較し、利益率が適正かを判断する基準にしてください。
一般的な営業利益率の目安
営業利益率が高いと、企業の収益性が高いといえます。しかし、営業利益率は高ければ高いほど良いというものではありません。営業利益率の適正な水準の目安は、次のとおりです。
営業利益率 | 企業の状態 |
---|---|
0%以下 | 危険 |
0~5% | 一般的 |
5~10% | 優良 |
10~15% | 超優良 |
15%以上 | 注意 |
営業利益率が0%を下回っている場合は、経営が赤字になっている状態です。そのため、早期に正しく現状を整理し、経営改善を行う必要があります。
営業利益率が0〜5%は平均的な値です。まずはこの利益率を目指すと良いでしょう。
営業利益率が5〜15%以上の企業は、経営状態がかなり優れており、高い収益性があるといえます。特に営業利益率が10%を超える企業は少ないため、経営改善に取り組んでいる企業はこの利益率を目指すと良いでしょう。
なお、製造業で理想的な利益率5~10%を目指したい場合には、製造業向けのコンサル会社を活用するケースは多くあります。製造業向けコンサル会社に関しては以下の記事を参考にしてください。
参考>> 中小製造業に強いコンサル会社8社を厳選比較!選び方も解説
なお、営業利益率が15%以上になると、一見優れているように思えるかもしれませんが、注意が必要です。
過度な利益追求で従業員に負担がかかっていたり、顧客サポートが不十分だったりする可能性もあるため、経営や組織体制の見直しの検討をおすすめします。
なお、下記状況においては利益率が15%超えていても全く問題はありません。
◆ 利益率15%超えていても問題がないケース
- 競合のいない唯一プロダクトを保有している
- 利益率の高い顧客と独占的契約をしている
それでは次に、日本国内の製造業企業で、利益率が非常に優れている会社のランキングを見ていきましょう。
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製造業企業の利益率ランキング
2019年11月時点で、東京商工リサーチの「財務データベース」に登録されている約80万社の中から、特に高い利益率を出している企業をランキング形式にしてまとめました。
順位 | 社名 | 5期平均の営業収益率 | 社員数 | 事業概要 | 売上高 |
---|---|---|---|---|---|
1位 | ペプチドリーム | 52.50% | 104名 | 医薬品候補物質の開発 | 72億1662万円 |
2位 | 成和インターナショナル | 45.20% | 18名 | 化粧品製造・販売 | 33億3646万円 |
3位 | アルファ | 40.80% | 50名 | ヒートシンクの製造 | 23億3545万円 |
4位 | 山本漢方製薬 | 29.70% | 37名 | 健康食品製造 | 66億4818万円 |
5位 | 念治錦江 | 29.60% | 55名 | ステンレス部品製造 | 50億1805万円 |
6位 | エーワン精密 | 28.50% | 95名 | コレットチャック製造 | 20億8420万円 |
7位 | 帝王チャック | 25.50% | 163名 | チャック製造 | 48億5916万円 |
8位 | ワシノ機器 | 24.60% | 92名 | 産業用配管機器製造 | 22億732万円 |
9位 | 三貴工業 | 24.50% | 100名 | 産業機械の製造 | 25億6598万円 |
10位 | アタゴ | 25.00% | 190名 | 精密測定器製造 | 32億7956万円 |
人口の減少や海外移転など、厳しい経営環境に直面している中でも、これらの企業は20%以上の営業利益率を維持し続けていることがわかります。
製造業で利益率を向上させるためのポイント
製造業で利益率を向上させるには、以下4つのポイントを意識することが大切です。
◆ 製造業が利益率を上げる4つのポイント
- 売上を向上させる
- コストを抑える
- DX化による業務効率アップ
- 経営コンサルティングへの相談
それぞれのポイントについて、以下で詳しく見ていきましょう。
ポイント1:売上を向上させる
まずは、売上を向上させることが利益率の向上につながります。売上原価はそのままで、売上を向上させることで、企業の利益率アップが見込めるでしょう。
近年、多くの商品で物価高による仕入れコストの上昇に伴い、価格の調整が進んでいます。しかし、だからといって何の工夫もなく単純に価格を引き上げると、顧客が離れていってしまう可能性が高くなります。
そこで重要なのが、価格の引き上げに伴い、これまでにない付加価値を商品やサービスに加えることです。たとえば、製品の品質向上やアフターサービスの充実など、顧客が価格に見合ったと感じられるような価値を提供する必要があります。
これにより、顧客の購買意欲を保ちつつ、売上の向上が期待できるでしょう。
ポイント2:コストを抑える
コストを抑えるのも、利益率を向上させるポイントの一つです。
コストを削減することで売上原価が減り、利益率の向上が見込めるでしょう。たとえば、製造コストや原材料費、エネルギー費などを効率化することで、同じ売上でもより多くの利益を得られます。
また、コスト削減には、製品やサービスの価格設定が柔軟になり、競争力を向上させるメリットもあります。競合他社よりも低コストで製品やサービスを提供できると、価格面での競争力が高まり、価格競争が激しい市場でも生き残りやすくなるでしょう。
これにより、安定した売上を維持しやすくなり、結果的に利益率の向上が期待できます。
ポイント3:DX化による業務効率アップ
DX(デジタルトランスフォーメーション)を導入し、業務効率をアップさせるのも、利益率を上げるポイントの一つです。
製造業のDX化には、主に以下のような例があります。
- 生産工程にソフトを導入して生産管理を自動化する
- データ分析によって受注の予測や新商品の開発に活用する
- loTツールを用いて製品のデータ収集を行う
このように、デジタルツールやシステムを活用することによって業務のスピードが向上するため、同じ時間でより多くの作業をこなせるようになるでしょう。
また、DX化でリアルタイムのデータを収集・分析することが可能になるため、無駄の少ない効率的な運営の実現にもつながると考えられます。
製造業におけるDX化やAIの活用事例については、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
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実は、製造業におけるDX化は思うように進んでいないのが現状です。時代の流れに合わせて大手企業ではDX化が進んでいますが、中小企業ではDX化のメリットを理解しつつも導入に踏み込めない企業が多いのです。 なぜなら、DX化は中長期的にはメリットの…
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ポイント4:経営コンサルティングへの相談
「利益率を向上させたいけれど、何から始めればいいかわからない…」そんな方は、経営コンサルタントへ相談するのも一つです。製造業コンサルの(株)Pro-D-useでは、製造業の経営者が抱える現場での悩みに寄り添い、業務改善や利益率向上をはじめとした事業構築をサポートします。
(株)Pro-D-useでは、これまでに以下のような製造業の課題をコンサルティングしています。
◆ (株)Pro-D-useが製造企業に支援すること
- IT/DX化
- 財務不振
- 新規事業不振
- 事業/業務改善・改革
- 事業継承
- リソース不足
- マーケティング不足
- 営業・販売不振
株式会社Pro-D-useのご支援実績・事例について気になる方は、(株)Pro-D-useの製造業顧客の事例一覧からチェックしてみてください。
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利益率の種類と計算方法
会社の利益率には、主に次の5種類があります。
◆ 5つの利益率の種類
- 売上高総利益率
- 売上高営業利益率
- 売上高経常利益率
- 自己資本経常利益率
- 総資産利益率
それぞれの概要と計算方法について、以下で詳しく見ていきましょう。
種類1. 売上高総利益率
売上高総利益率とは、企業の売上高に対する総利益(売上総利益)の割合を示す指標です。最も一般的な利益率とされており、粗利益率とも呼ばれています。
売上高総利益率は、以下の計算式で求められます。
【売上高総利益率=売上総利益÷売上高×100】
売上総利益は売上高から売上原価を差し引いた金額、売上高は商品や販売やサービスの提供によって得られた収入です。
たとえば、ある企業の年間売上高が1億円、売上原価が7,000万円だったとします。その場合、この企業の売上高総利益率は次のとおりです。
売上高総利益率=(1億円-7,000万円)÷1億円×100=30%
売上高総利益率が高いほど、原価に対して多くの利益を得ていることになります。
種類2. 売上高営業利益率
売上高営業利益率とは、企業の売上高に対して営業活動による利益がどれだけの割合を占めているかを示す指標です。つまり、企業の本業での収益性がどれくらいかを判断する一つの指標になります。
売上高営業利益率は、以下の計算式で求められます。
【売上高営業利益率=営業利益÷売上高×100】
営業利益は売上総利益から販売費や一般管理費(人件費・広告費などの経費)を差し引いたものです。
たとえば、ある企業の年間売上高が1億円、販売総利益3,000万円、販売費800万円、一般管理費700万円だったとします。その場合、この企業の売上高営業利益率は次のとおりです。
売上高営業利益率=(3,000万円-800万円-700万円)÷1億円×100=15%
売上高営業利益率が高いほど、本業による収益性が高く、営業効率が良いことがわかります。一方、売上高営業利益率が低い場合は、販売費や一般管理費などのコスト削減や、売上高を増やすための戦略を練る必要があるでしょう。
種類3. 売上高経常利益率
売上高経常利益率とは、企業の売上高に対して経常利益(本業以外も含めた企業全体の活動)がどれだけの割合を占めているかを示す指標です。
製造業を本業としている企業が不動産事業も行っている場合、製造業と不動産事業の利益を合算したものが経常利益となります。
売上高経常利益率は、以下の計算式で求められます。
【売上高経常利益率=経常利益÷売上高×100】
たとえば、ある企業の年間売上高が1億円、経常利益が2,000万円だった時、この企業の売上高経常利益率は次のとおりです。
売上高経常利益率=2,000万円÷1億円×100=20%
売上高経常利益率が高いほど、企業は本業以外の損益も含めて安定的に利益を生み出せていることがわかります。
種類4. 自己資本経常利益率
自己資本経常利益率とは、企業の自己資本に対して経常利益がどれだけの割合を占めているかを示す指標です。ROE(Return On Equity)とも呼ばれており、企業が自己資本をどれだけ効率的に運用できているかがわかります。
自己資本経常利益率は、以下の計算式で求められます。
【自己資本経常利益率=当期純利益÷自己資本×100】
当期純利益は、経常利益から資産売却益や特別損益、法人税などを差し引いたものです。
たとえば、ある企業の自己資本が5億円で、当期純利益が1億円だった場合、自己資本経常利益率は次のように計算されます。
自己資本経常利益率=1億円÷5億円×100=20%
自己資本経常利益率が高いほど、企業は自己資本を効率的に活用して高い利益を生み出しているといえるでしょう。この指標は、経営だけでなく、株主や投資家にも多く用いられています。
種類5. 総資産利益率
総資産利益率とは、企業が保有するすべての資産を用いてどれだけの利益を生み出しているかを示す指標です。ROA(Return On Asset)とも呼ばれ、企業の総合的な収益性を評価するために用いられます。
総資産利益率を求める計算式は、次のとおりです。
【総資産利益率=当期純利益÷総資産(総資本)×100】
たとえば、ある企業の総資産が10億円で、当期純利益が1億円だった場合、総資産利益率は次のように計算されます。
総資産利益率=1億円÷10億円×100=10%
総資産利益率は、借入金や負債なども含めた企業が保有するすべての資産を対象としているのが特徴です。企業の総合的な資産運用効率を評価できるため、規模の異なる同業他社と比較することもできます。
製造業は利益率5~10%を目安に経営努力を積み重ねよう!
本記事では、製造業の平均利益率や大企業の利益率、利益率を向上するための具体的な方法について詳しく解説しました。
製造業全体の営業利益率の平均は4.0%です。そのため、現在赤字の企業の場合は「利益率0〜5%」を、より強固な経営を目指すのであれば「5〜10%」を目安にすると良いでしょう。
しかし、利益率を向上したいと思っていても、下記の悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか?
「利益率向上のために、何から始めれば良いかわからない…」
「そもそも経営改善に取り組む時間がない」
そんな時は、製造業に強い経営コンサルタントに相談するのがおすすめです。
筆者の経営する(株)Pro-D-useでは、製造の現場に入り込み、従業員様のマネジメントまでも巻き取りながら、会社全体を把握し、事業を一緒に飛躍させる伴走・現場型の経営コンサルティングをしています。
企画から戦略設計、製造部・営業部の現場改善まで一貫してサポートするため、製造業の経営改善に少しでも不安がある方は、お気軽に無料経営(新規事業)相談フォームからご相談ください。
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