管理職が辞める会社の問題点・共通の特徴、対策を組織のプロ解説

管理職が辞める会社の問題点・共通の特徴、対策を組織のプロ解説
    • 経営ノウハウ
  • 2026年9月22日

多くの経営者は、管理職が退職する理由を「本人の不満」「条件面でのミスマッチ」といった個人的な問題として捉えがちです。

しかし、組織コンサルタントとして現場に入り込んでいる筆者の感覚では、管理職が退職する根本的な原因は、会社全体に漂う「見えない空気」や「構造的な欠陥」によって引き起こされるものだと確信しています。特に、経営層が無意識のうちに作り出している「管理職への過度な依存」や「コミュニケーションの歪み」は、彼らを確実に追い詰めていることが多いのです。

管理職が辞める会社を経営している方は、以下のようなお悩み・疑問をお持ちではないでしょうか?

  • 最近、管理職が辞めることが増えている…ウチの会社の何が問題なんだろう?
  • 管理職が辞めると会社にどんな影響があるの?ちょうど退職の申し出を受けたので、今後が不安…
  • 管理職の退職を防ぐためには、会社として何をしたら良いのかな?これ以上人が減るのは避けたい

近年、企業の中核を担うエース級の管理職から突然退職を申し出られ、「後任もいないため、このままでは現場が回らなくなる」と、経営者や人事担当者からご相談をいただくケースが急増しています。

そのような企業をご支援する中で、筆者が感じた「管理職が辞める会社に共通する特徴」は、以下の7つです。

◆管理職が辞める会社に共通する7つの特徴

  • 特徴1. 管理職の責任ばかり重く、労働時間も長い
  • 特徴2. 仕事の成果に見合った評価・報酬を得られない
  • 特徴3. 管理職に十分な裁量権が与えられていない
  • 特徴4. 経営層とのコミュニケーション不足と「飛び越え現象」の発生
  • 特徴5. 管理職へのサポート・育成体制が整っていない
  • 特徴6. 経営層の「無意識のNG行動」が管理職を追い詰める
  • 特徴7. 管理職としての将来的なキャリアを描けない

これらの要素が原因で管理職が会社を辞めると、その影響は会社全体に及ぶ可能性があります。残された社員の業務負担が増えるだけでなく、顧客や取引先からの信用が低下し、売上や利益も大幅に下がるかもしれません。

そのため、今後も安定した経営を続けるには、手遅れになる前に「管理職がやりがいを持って働ける環境」を整えることが大切です。管理職が会社を辞める根本原因を明らかにし、その背景にある組織の課題を一つずつ改善していきましょう。

筆者は、株式会社Pro-D-useというコンサルティング会社を経営しており、これまで数多くの中小・中堅企業の組織課題に向き合ってきました。

本記事の執筆者、株式会社Pro-D-use岡島光太郎のプロフィール

本記事では、経営コンサルティングのプロである筆者が、「管理職が辞める会社の特徴」「退職を防ぐための対策」等、以下の内容を丁寧に解説します。

▼本記事を読むとわかること

  • 管理職が辞める会社に共通する特徴と根本原因
  • 管理職が会社を辞めることで生じる影響
  • 管理職の退職を防ぐために会社が取り組むべき対策
  • 管理職から退職の申し出を受けたときの適切な対応方法

「貴重な人材をこれ以上失いたくない」「管理職が満足感を持って働ける会社にしたい」とお考えの方は、ぜひ本記事を参考にしてください。

経営コンサルタント選びは「なんとなく」で進めると必ず失敗します。あなたの会社に貢献するコンサルタントを選ぶなら、多角的な視点で選定しましょう。

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目次

【危険信号】管理職が辞める会社に共通する7つの特徴と根本原因

管理職が辞める会社には、共通して以下のような特徴が見られます。

◆管理職が辞める会社に共通する7つの特徴

これらの特徴が管理職の退職につながる原因も詳しく解説しているため、ぜひ一つずつチェックしてみてください。

特徴1. 管理職の責任ばかり重く、労働時間も長い

管理職が辞める会社には「管理職にかかる責任が重く、労働時間も長い」という特徴があります。

管理職は、部下のマネジメントや目標管理だけでなく、経営層との調整や他部署との連携、トラブル対応など、幅広い業務を担っています。プレイングマネージャーとして自身の営業目標などを追っていることも多く、あらゆる業務と責任が一人に集中しがちです。

また、管理監督者扱いとなることで残業代が支給されなくなり、繁忙期には一般社員よりも実質的な給与水準が低くなる「給与の逆転現象」が起きるケースもあります。

本来であれば、経営層が業務量を適切に調整すべきですが、管理職に責任が集中している会社では、管理職が多くの業務を抱え込まなければなりません。その結果、残業や休日対応が増え、本来取り組むべき「部下の育成」「業務改善」などに十分な時間を割けなくなる可能性があります。

これだけ負担が大きいにも関わらず、経営層から「管理職だから我慢するのは当然」といった態度を取られると、管理職の不満はさらに大きくなるでしょう。

こうした状態が続けば、管理職自身が「業務量や責任の重さに対して割に合わない」と感じるだけでなく、若手社員からも「あんな働き方はしたくない」と敬遠されるようになります。

特徴2. 仕事の成果に見合った評価・報酬を得られない

管理職が辞める会社には、「仕事の成果に見合った評価・報酬を得られない」という特徴もあります。

管理職には、「部下の育成」「チーム全体の生産性向上」といった、中長期的な組織の成長に貢献する重要な役割が求められています。

しかし、管理職が辞める会社では、こうしたマネジメント面での成果が評価基準に十分反映されていません。短期的な売上や個人の成果だけで評価されるため、「マネジメントに時間を割くほど自分の評価が下がる」というジレンマに陥ってしまいます。

また、経営層が「自分にできることは部下にもできて当然」と考え、高い基準を一方的に押し付けている会社も注意が必要です。十分な支援や育成を行わないまま、目標を達成できない管理職に対して「やる気がない」「努力が足りない」と切り捨ててしまえば、管理職は正当に評価されていないと不満を感じるでしょう。

その他、管理職が「仕事の成果に見合った評価・報酬を得られない」と感じる具体的な状況は、以下のとおりです。

▼管理職が「仕事の成果に見合った評価・報酬を得られない」と感じる具体的な状況

  • 責任や業務量が増えたにもかかわらず給与がほとんど上がっていない
  • チームで目標を達成しても管理職としての成果が評価に十分反映されない
  • 評価基準が曖昧で、上司の主観によって評価が大きく変わる
  • 同程度の成果を上げている管理職の間で、給与や昇進に大きな差がある
  • 自社の報酬水準が、同業他社や同程度の役職と比べて明らかに低い

このような状況が続くと、管理職には「これだけ組織のために働いているのに報われない」という徒労感が積み重なっていきます。

その結果「今の会社にとどまるよりも、自分の経験や能力を正当に評価してくれる会社で働きたい」と考えるようになり、最終的には転職・退職につながるかもしれません。

特徴3. 管理職に十分な裁量権が与えられていない

管理職に十分な裁量権が与えられていないことも、管理職が辞める会社の大きな特徴として挙げられます。

管理職は、部署やチームの成果に責任を負う立場です。そのため、現場の状況に合わせて主体的に判断しながら業務を進めたいと考えている人も多いでしょう。

しかし、管理職が辞める会社では、人員配置や少額の予算決裁など、本来であれば管理職が判断できるような事項まで、すべて経営層の承認を得なければならない傾向があります。経営層が「現場のことは現場で回してほしい」と求める一方で、管理職から上がってきた意見や提案には一切耳を貸さないケースも多いです。

その他、管理職が「十分な裁量権を与えられていない」と感じる具体的な状況について、以下にまとめました。

▼管理職が「十分な裁量権を与えられていない」と感じる具体的な状況

  • 部下から新しい施策を提案されても管理職の判断だけで実行できない
  • 少額の予算を使う場合でも経営層や複数部署の承認が必要になる
  • トラブルが発生しても対応方針を決められず、上司の判断を待つ必要がある
  • 日常的な意思決定についても経営層から細かく指示を受ける

現場を理解している管理職の意見よりも、経営層の判断ばかりが優先される状態が続くと、管理職は次第に「自分がこの役職にいる意味がない」と感じるようになります。

その結果、ただの「御用聞き」や「伝書鳩」のように扱われてしまえば、仕事へのモチベーションも大きく失うでしょう。

特徴4. 経営層とのコミュニケーション不足と「飛び越え現象」の発生

経営層と管理職の間で十分なコミュニケーションを取れていない会社も、管理職が相次いで辞める可能性が高いです。

情報共有が不足している会社では、重要な経営方針が管理職に伝わっていなかったり、経営層が現場の実態を正しく把握していなかったりする傾向があります。そのため、管理職は「重要な立場を任されているのに必要な情報を共有してもらえない」「現場の声を伝えても経営に反映されない」などの不満を抱きがちです。

また、カリスマ性の高い経営者がいる会社では、「何かあったらいつでも自分に相談してほしい」と一般社員に直接声をかけてしまうケースもあります。一見すると風通しの良い組織に思えますが、社員が直属の管理職を「飛び越えて」社長に直接相談・報告するようになると、指揮命令系統が崩れてしまうでしょう。

管理職からすると、自分の知らないところで社長と部下の話がついてしまうため、「自分がこの立場にいる意味がない」と存在意義を見失いかねません。社員側も、直属の管理職ではなく社長の意向ばかりを気にするようになり、管理職との間に十分な信頼関係を築けなくなる可能性があります。

さらに問題なのは、経営層がこうした構造上の問題に気付かず「部下とのコミュニケーションが足りない」「管理職としてのケアが足りない」と、逆に管理職を責めてしまうことです。実際に筆者も、このような状況で精神的に追い詰められた管理職が次々と会社を離れていくケースを何度も見てきました。

このように、経営層とのコミュニケーション不足や「飛び越え現象」が続くと、管理職の疎外感・不満が強まり、会社への帰属意識や仕事への意欲が低下していきます。

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特徴5. 管理職へのサポート・育成体制が整っていない

管理職が辞める会社には、「管理職へのサポート・育成体制が整っていない」という特徴もあります。

管理職は、部下の育成やトラブル対応など幅広い業務を担っており、それらを円滑に進めるためには、マネジメントに関する知識や経験が必要です。

しかし、現場のプレイヤーとして優秀だった社員を管理職に引き上げた後、新任管理職向けのマネジメント育成や支援をまったく行わない会社は意外と少なくありません。プレイヤーとして高い成果を出せる人材が、必ずしもマネージャーとして優秀とは限らないにも関わらず、「上司の背中を見て学べ」といった形で任せきりにしてしまうのです。

十分な研修やサポートを受けないまま管理職に登用されると、適切なマネジメント方法や業務の進め方が分からず、不安を抱えながら手探りで対応しなければなりません。

さらに、経営層からは高い成果を求められる一方で、現場の部下からは不満や要望を受けるため、双方の「板挟み」になり、精神的な負担も大きくなってしまいます。

その他、管理職が「サポート・育成体制が整っていない」と感じる具体的な状況としては、以下のとおりです。

▼管理職が「サポート・育成体制が整っていない」と感じる具体的な状況

  • 管理職に登用されたものの、マネジメントに関する研修を受ける機会がない
  • 部下の指導や育成について相談できる上司や先輩管理職がいない
  • 部下とのトラブルが発生しても、経営層や人事が対応を管理職に丸投げする
  • ハラスメントなど重大な問題を相談しても、会社が適切に対処してくれない
  • 管理職同士で悩みや対応方法を共有できる場が設けられていない
  • 管理職になった後のフォロー面談や定期的な研修が実施されていない

管理職が気軽に相談できる「メンター」のような存在がいれば、精神的な負担も大幅に軽減されるでしょう。しかし、多くの会社にはこうした相談相手がいないため、管理職はたった一人で問題を抱え込んでしまいます。

また、会社側が管理職の精神的な負担に無頓着であり、成長やキャリア形成にも関心を持っていない場合も注意が必要です。優秀な人材ほど「この会社にいても成長できない」「長く働き続けるメリットがない」と感じるようになり、最終的に見切りをつけて退職を選ぶ可能性が高まります。

特徴6. 経営層の「無意識のNG行動」が管理職を追い詰める

管理職が辞める会社では、経営層の何気ない言動が、知らないうちに管理職を追い詰めているケースもあります。

たとえば、経営者自身が会議の開始時間や書類の提出期限にルーズだと、組織全体の基準も次第に緩くなり、真面目に業務へ取り組む管理職ほど「自分は損をしている」と感じてしまいます。

また、職場内で問題行動を繰り返す社員がいても、経営者が本人に嫌われることを恐れて適切な注意・指導を行わない会社は、職場の空気が悪化しやすく、問題解決に奔走してきた管理職ほど愛想を尽かしてしまうでしょう。

その他、管理職を追い詰める「無意識のNG行動」は、以下のとおりです。

▼管理職を追い詰める経営層の「無意識のNG行動」

  • 部下が提案した意見を即座に否定する
  • 「意見がほしい」と言っておきながら、実際に伝えると否定する
  • 経営者自身があからさまに不機嫌な態度を周囲に見せる
  • 業績悪化の原因を外部環境や社員のせいにする
  • 「働かせてやっている」という意識が言動から伝わる

このような経営層の無意識なNG行動が積み重なることで、管理職は会社への信頼や帰属意識を失い、最終的に退職を選ぶ可能性が高まります。

特徴7. 管理職としての将来的なキャリアを描けない

管理職としての将来的なキャリアを描けないことも、多くの管理職が会社を辞めるきっかけとなります。

管理職として働いていても、数年後〜数十年後の将来像を明確にイメージできなければ、「自分は今後どうなっていくのか」と不安を感じるのは自然なことです。特に、昇進の基準が曖昧だったり、上位の役職者が長期間固定されていたりする会社では、多くの管理職が仕事に対するモチベーションを失ってしまいます。

将来的なキャリアを描けない状態が続くと、「自分の成長に向けて新たなスキルを身につける」「より高い目標を設定する」などの行動も起こせなくなるでしょう。

その他、管理職が「将来的なキャリアを描けない」と感じる具体的な状況は、以下のとおりです。

▼管理職が「将来的なキャリアを描けない」と感じる具体的な状況

  • 管理職に昇進した後、次に目指せる役職やキャリアが示されていない
  • 上位の役職が長年にわたり固定されており、昇進できる見込みがない
  • 昇進や役職登用の基準が曖昧で、どうすれば次のステップに進めるのか分からない

管理職に限らず、将来的な成長や昇進を期待できない環境で働き続けることは、多くの社員にとって不満や仕事への意欲低下につながる原因となります。

特に向上心の高い管理職ほどその傾向は強く、自分の能力・経験を活かして成長できる環境を求め、他社への転職を検討するかもしれません。

経営コンサルタント選びは「なんとなく」で進めると必ず失敗します。あなたの会社に貢献するコンサルタントを選ぶなら、多角的な視点で選定しましょう。

「(株)Pro-D-use(プロディーユース)」は伴走・現場型で利益を押し上げる」コンサルティング支援が特徴の経営コンサルティング会社です。これまでたくさんの経営相談で「はじめての経営コンサルタント」「コンサルタントの乗り換え」事業拡大 / 事業再生」で数多くの実績をあげてきました。

「(株)Pro-D-use(プロディーユース)」に経営相談をしてみませんか?詳しくは以下のサービスページをご覧ください。

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管理職が会社を辞めることで生じる6つの深刻な影響

管理職が会社を辞めると、以下6つの影響が生じる可能性があります。

◆管理職が会社を辞めることで生じる6つの深刻な影響

「人手が足りなくなる」以外にもさまざまな影響があるため、決して軽く捉えないようにしましょう。

影響1. 業務やプロジェクトの進行が停滞する

会社にとって重要な役割を担う管理職が辞めると、業務やプロジェクトの進行が停滞する可能性があります。

管理職は、現場の状況を把握しながら業務の優先順位を決めたり、必要に応じて経営層や他部署と調整したりする役割を担っています。そのため、現場の意思決定の要となっていた人材が抜けると、誰が判断を下すのかが不明確になり、現場に大きな混乱が生じてしまうのです。

また、退職した管理職が他部署との調整役を担っていた場合、部門間の連携が上手く機能しなくなり、プロジェクト全体の進行が遅れるでしょう。

業務やプロジェクトの停滞が長引けば、「納期の遅延」「商品・サービスの品質低下」「社員の業務負担増加」といった問題にもつながってしまいます。顧客や取引先への対応が遅れると「以前よりも対応が悪くなった」「取引を続けるのが不安」と判断され、会社への信頼を失うかもしれません。

このように、管理職の退職は、最終的に売上や利益の減少など、会社の業績悪化に直接つながるリスクを抱えているのです。

影響2. 残された社員の業務負担が増える

経験豊富な管理職が会社を辞めると、残された社員の業務負担が大幅に増える可能性がある点にも注意が必要です。

管理職が担当していた業務は、退職したからといってすぐになくなるわけではありません。管理職が抱えていた膨大なプレイング業務やマネジメント業務は、そのまま残されたメンバーが引き継ぐことになります。

具体的には、後任が決まるまでの間、他の管理職やリーダー層、チームメンバーが業務を分担して対応しなければなりません。部下のマネジメントや顧客対応、他部署との調整など幅広い業務を担っていた管理職が抜けると、一人ひとりに追加される業務も多くなってしまいます。

また、新しい管理職を確保できた場合でも、業務内容を把握するまでには一定の時間がかかるため、その間は周囲の社員がフォローしなければなりません。特に、仕事を多く抱えがちな優秀な社員ほど、退職者の穴埋めを任されやすく、さらなる過重労働を強いられる可能性があります。

こうした状態が長期化すると、残された社員の「残業」「休日対応」が増えて疲労やストレスが蓄積し、仕事に対するモチベーションも低下するでしょう。

管理職が相次いで辞めている会社であれば、「管理職が辞めるたびに自分たちの仕事が増える」と感じる社員も多くなり、会社への不満はさらに高まります。

このような形で業務負担の押し付けが続けば、残された社員も「次は自分が倒れる番だ」と危機感を抱くようになるかもしれません。

影響3. 士気が低下し連鎖的な退職につながる

管理職が会社を辞めると、職場全体の士気が低下し、社員の連鎖的な退職につながる可能性もあります。

管理職は、部下への指示・サポートだけでなく、「チームの雰囲気づくり」や「社員のモチベーション維持」にも関わる重要な存在です。そのため、影響力のある優秀な管理職が辞めると、「この会社に見切りをつけた方が良いのではないか」という空気が職場全体に広がる可能性があります。

また、管理職が抜けたことで業務分担や指示系統が変わったり、残された社員の負担が増えたりすれば、職場に対する不満も高まるでしょう。もともと会社の待遇や将来性に不安を抱えていた社員にとっては、身近な管理職の退職が、今後のキャリアを見直すきっかけになるかもしれません。

連鎖的な退職が続けば、人手不足が深刻化するのはもちろん、「事業の継続が難しくなる」「経営そのものが立ち行かなくなる」といった問題にも発展する可能性があります。

特に、筆者が感じる大きなデメリットは、「会社が好きだったはずの人」や「組織の精神的支柱となっていた人」が辞めてしまうことです。こうした人材の退職が、残された社員に与えるダメージは計り知れません。

この連鎖的な退職に対して、会社側が「あの人は使えなかった」などと個人の責任に転嫁する姿勢を見せると、社員の不信感はさらに決定的なものになります。

社員が退職するたびに新しい人材を補充するだけで、組織全体の人員配置や仕組みを見直さない会社は、確実にドミノ倒し的な崩壊を迎えるでしょう。

影響4. 会社の重要な情報・ノウハウが失われる

管理職が会社を辞めると、会社にとって重要な情報やノウハウが失われるリスクもあります。

管理職は、長年の業務を通じて「仕事の進め方」「トラブルへの対処法」「顧客の特徴」など、さまざまな知識や経験を暗黙知として蓄積しています。こうした情報の中には、マニュアルや社内資料に残されておらず、その管理職だけが独自に把握しているものも少なくありません。

その結果、マニュアル化されていない「顧客の細かな好み」や「業務のカン所」が失われてしまい、現場のオペレーションレベルが格段に落ちるでしょう。

また、管理職が競合他社に転職した場合には、自社の重要な戦略や顧客リストなどが社外に流出するリスクにも注意しなければなりません。

さらに、こうしたノウハウが失われると、後任者は再びゼロから試行錯誤を繰り返さなければならず、これまで組織として蓄積してきた知識・経験がリセットされてしまいます。

特に、特定の管理職に情報が集中している組織ほど、このような「知の流出」によるダメージは大きいです。一人の管理職が辞めただけでも、業務効率やサービス品質に大きな影響を及ぼす可能性があるため注意しましょう。

影響5. 顧客や取引先からの信用が低下する

管理職が会社を辞めると、顧客や取引先からの信用が低下する可能性もあります。

管理職は、社内のマネジメントだけでなく、「顧客・取引先との商談」「トラブル対応」「重要な意思決定」などを担っているケースも多いです。長年にわたって特定の顧客や取引先と関わってきた管理職であれば、その人自身が会社の窓口となり、強い信頼関係を築いていることもあります。

そのため、信頼されていた管理職が突然退職すると「あの人がいるから取引を続けていた」という属人的な信頼関係で結ばれていた顧客からの信用が、一気に揺らぐかもしれません。

管理職の退職をきっかけに信用が低下すれば、新規案件を任せてもらえなくなったり、既存取引の発注量が減ったりするおそれもあります。「この会社は経営や人員体制に問題があるのではないか」と懸念を抱かれると、契約終了や売上・利益の減少にもつながりかねません。

また、管理職自身の個人的なネットワークを通じて開拓していた取引先が、退職と同時に離れていく可能性もあります。一度失った企業の信用を回復するには、想像以上に多くの時間と労力がかかるでしょう。

影響6. 後任の採用・育成に膨大なコストと時間がかかる

管理職が会社をやめると、後任の採用・育成にコストと時間がかかる点にも注意が必要です。

管理職には、業務に関する知識・経験はもちろん、部下のマネジメントや他部署との調整、意思決定に関する幅広い能力も求められます。そのため、一般社員を採用する場合と比べて、自社が求める人材を短期間で確保するのは簡単ではありません。

特に、マネジメント能力と実務能力を兼ね備えた人材を外部から採用する場合は、エージェント費用など莫大なコストがかかる可能性があります。また、管理職に適した人材か慎重に見極める必要があるため、候補者の選定や面接にも時間がかかるでしょう。

さらに、高いコストをかけて外部から採用したとしても、その人が自社の文化に馴染み、期待通りに活躍してくれる保証はまったくありません。後任を確保した後も、社内のルールや業務フロー、部下の特性、顧客との関係などを把握するまでには、少なくとも年単位の時間がかかる可能性があります。

一方、社内の人材を管理職に登用する場合でも、マネジメント経験が不足していれば、研修・サポートを行いながら育成しなければなりません。

このように、管理職が退職すると、採用費・研修費などのコストだけでなく、採用担当者や上司が後任の採用・育成に充てる時間も増えてしまいます。後任が十分に育つまでの間は、他の管理職や社員が退職者の業務をカバーする必要があるため、現場の負担も大きくなりやすいです。

だからといって、後任の確保を急ぐあまり採用・育成の失敗を繰り返すと、経営コストを圧迫し続け、企業経営そのものに支障をきたす可能性があるため注意しましょう。

手遅れになる前に!管理職の退職を防ぐために会社が取り組むべき5つの対策

管理職の退職を防ぐためには、以下5つの方法で業務の進め方や組織体制を見直しましょう。

◆管理職の退職を防ぐために会社が取り組むべき5つの対策

管理職がやりがいを持って働ける環境を整えることで、現場の士気向上や業務効率化にもつながります。

なお、「社員のモチベーションを一気に上げる方法」を詳しく知りたい方は、以下記事も併せてチェックしてみてください。

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対策1. 役割の再定義と、管理職に集中している業務・労働時間を見直す

管理職の退職を防ぐためには、管理職に集中している業務や労働時間を見直すことが大切です。

業務内容や労働時間を定期的に確認すると、「誰に業務が偏っているのか」「部下の仕事まで余計に抱えていないか」などを把握しやすくなります。その結果、定型的な事務作業や細かな確認作業を減らすことができれば、人材育成・業務改善といった本来の業務に時間を使えるようになるでしょう。

管理職に集中している業務や労働時間を見直す際に意識すべきポイントは、以下のとおりです。

▼管理職に集中している業務や労働時間を見直す際のポイント

  • 管理職ごとの業務内容と労働時間を把握する
  • 管理職でなくても対応できる業務を洗い出す
  • 部下や他の社員に任せられる業務は分担する
  • 会議や報告業務など、時間がかかっている業務を見直す
  • ITツールを活用して定型業務を効率化する
  • 定期的に管理職本人から業務負担について聞き取る

まずは管理職の業務を棚卸しし、「管理職でなくてもできる業務」を徹底的に洗い出した上で、部下に分担することが重要です。また、無駄な会議や形骸化した報告書など、必要以上に時間を奪っている業務については、ITツールの活用も含めて廃止・効率化を検討しましょう。

業務量や労働時間を定期的に確認する仕組みを設けておけば、負担の偏りや長時間労働の兆候にも早い段階で気付きやすくなります。管理職が限界を迎えてから対応するのではなく、会社側が先回りして業務負担を軽減させることが、退職防止にもつながるはずです。

筆者が現場で見た事例
あるIT企業では、よかれと思って外部研修を導入したものの、研修後に管理職へ大量のレポート提出や新規プロジェクトを割り当てたことで、業務負担を増やしてしまったケースがありました。

その結果、管理職が一斉にメンタルを崩し離脱しかけたため、株式会社Pro-D-useが介入して「管理職の役割の再定義」と「自分たちで業務整理を行うワークショップ」を実施し、負担を適正化しました。

このように、業務を振り分ける際は、管理職個人の能力に依存するのではなく、一般社員のスキルを底上げする仕組みを作り、組織全体で管理職の負担を減らしていくことを意識しましょう。

対策2. 管理職が納得できる評価・報酬制度を整える

管理職の退職を防ぐためには、本人が納得できる評価・報酬制度を整えることも大切です。

評価基準や報酬の決まり方が明確になっていると、管理職は「どのような行動や成果が評価されるのか」を理解した上で仕事に取り組めます。また、自分の頑張りが適切に評価されれば、仕事への納得感やモチベーションも高まり、「この会社で引き続き成果を出したい」と思えるでしょう。

管理職が納得できる評価・報酬制度を整える際のポイントは、以下のとおりです。

▼管理職が納得できる評価・報酬制度を整える際のポイント

  • 管理職の評価基準・評価プロセスを明確にする
  • 数値で把握しにくい「業務改善」などの成果も評価する
  • 評価者によって結果が大きく変わらない仕組みを整える
  • 評価結果だけでなく、その理由も本人へ丁寧に伝える
  • 評価結果を昇給・賞与・役職手当などへ適切に反映する
  • 同業他社や同程度の役職と比べて報酬水準が低すぎないか確認する

管理職は「人材育成」「チーム全体の生産性向上」「他部署との調整」など、数字では表しにくい成果につながる業務も幅広く担っています。そのため、管理職の評価制度は短期的な数字だけでなく、中長期的な「チームの成長」や「組織への貢献」も可視化できる仕組みへアップデートしましょう。

評価基準は会社によって異なるケースも多いですが、重要なのは「なぜこの評価になったのか」を丁寧にフィードバックし、評価の透明性を高めることです。優秀な管理職であっても、評価制度の仕組みや意図を十分に理解していなければ、「自分は正当に評価されていない」と勘違いするかもしれません。

また、新しい制度を作ろうとすると、最初から100点の仕組みを目指しがちですが、まずは60点でも良いので運用してみることが大切です。「やらないよりはやった方が良い」という意識を持ち、実際に運用しながら少しずつ完成度を高めていく柔軟な制度設計を心がけましょう。

対策3. 管理職の責任・役割に応じた裁量権を付与する

管理職の退職を防ぐためには、それぞれの責任や役割に応じた裁量権を付与しましょう。

一定の裁量権を与えることで、管理職は現場の状況に応じて主体的に判断し、必要な対応をスピーディに進めやすくなります。自分の判断で業務を進められる範囲が広がれば、管理職自身も「自分がチームを動かしている」とやりがいを持てるはずです。

管理職の責任・役割に応じた裁量権を付与する際は、以下のポイントを意識しましょう。

▼管理職の責任・役割に応じた裁量権を付与する際のポイント

  • 管理職が自ら判断できる業務や金額の範囲を明確にする
  • 責任の大きさに見合った権限が与えられているか確認する
  • 経営層の承認が必要な事項と、管理職に任せる事項を区別する
  • すべての権限を一度に与えず、経験に応じて段階的に広げる
  • 判断に迷った際は経営層に相談できる体制を整える
  • 管理職の判断による失敗を一方的に責めず、改善につなげる

管理職に裁量権を付与する上で重要なのは、どこまで管理職自身の判断に任せるのかを明確にしておくことです。

「自由に判断して良い」と伝えるだけでは、管理職側もどこまで自分で決めて良いのか分からず、かえって判断しにくくなる可能性があります。そのため、「○万円までの支出は管理職が決裁する」「部署内の人員配置は管理職に任せる」など、具体的な基準を定めておきましょう。

また、管理職が現場のリアルな状況を吸い上げ、それを経営層にフィードバックしながら戦略をアップデートできる環境を整えることも大切です。単に現場を任せるだけでなく、管理職の意見を経営に活かす仕組みを作ることも、重要な裁量権の付与といえます。

対策4. 経営層が自ら対話の場を作り、相互支援コミュニティを築く

管理職の退職を防ぐためには、定期面談やヒアリングを通じて、管理職が抱えている悩みを把握することも重要です。

管理職が抱える不満や悩みは、日々の業務を見ているだけでは分かりません。表面上は問題なく働いているように見えても、実際には人間関係や今後のキャリアなどに不安を感じている可能性があります。

こうした不安を和らげるためにも、本人が退職の意思を固める前に話を聞き、抱えている問題を早めに把握しましょう。

定期面談やヒアリングを実施する際に意識すべきポイントは、以下のとおりです。

▼定期面談やヒアリングを実施する際のポイント

  • 業務の進捗だけでなく、仕事への不満やストレスについても確認する
  • 上司側が一方的に話すのではなく、管理職本人の話を聞く時間を十分に設ける
  • 必要に応じて人事担当者や外部相談窓口など、第三者と話せる機会も設ける
  • 面談で出た悩みや要望を放置せず、対応状況を本人に共有する

定期面談やヒアリングを実施する際は「悩みによっては直属の上司だからこそ話せない場合もある」という点を押さえておきましょう。

たとえば「上司との人間関係」「評価への不満」「経営層への不信感」などは、本人が率直に伝えることをためらう可能性があります。そのため、状況に応じて人事担当者や外部の相談窓口など、利害関係の少ない第三者と話せる機会を設けることも検討してみてください。

プロの視点から見たおすすめのコミュニケーション方法
また、月に1回程度、管理職同士が集まり、ランチなどをしながら対話できる「相互支援コミュニティ」の場を意図的に設けるのもおすすめです。

日々の業務における成功事例や失敗事例を共有することで、部署を超えた横のつながりが強まり、管理職自身の視野も広げられます。

さらに、社外の管理職コミュニティにも参加してもらえば、閉鎖的な環境から抜け出し、新しい視点や考え方を取り入れやすくなるでしょう。

管理職の悩みを把握する上で重要なのは、経営者自身が「管理職のメンタルケアを意識する文化」を作り、彼らの様子を日頃から気にかける姿勢を行動で示すことです。

対策5. 管理職向けの研修・キャリア支援を充実させる

人手不足が深刻化する時代において、「人材定着」「離職防止」は人事部だけの問題ではなく、組織全体で取り組むべき重要な課題です。「人が辞めたから求人を出しておけば良い」で終わらせず、なぜ退職に至ったのかを振り返り、職場環境や制度に問題がなかったか、経営者自身が誠実に向き合う必要があります。

その上で、管理職の退職を防ぐためには、管理職向けの研修やキャリア支援を充実させましょう。管理職向け研修やキャリア支援を実施する際に意識すべきポイントは、以下のとおりです。

▼管理職向け研修・キャリア支援を実施する際のポイント

管理職向け研修・管理職に必要なスキルを体系的・実践的に学べる内容にする
・新任管理職には、就任直後に基礎的なマネジメント研修を実施する
・ハラスメントや労務管理など管理職として知っておくべき知識も習得させる
・一度の研修で終わらず、役職や経験に応じて継続的に学べる機会を設ける
・先輩管理職によるメンター制度や外部コンサルティングも活用する
キャリア支援・管理職本人が今後どのような仕事や役割を希望しているのか確認する
・会社として将来的に期待している役割やポジションを具体的に伝える
・新規事業や他部署への異動など、複数のキャリアの選択肢を用意する
・必要なスキルや経験を明確にし、次のステップに向けた成長を支援する
・キャリアを実現するための学びの機会(スキル開発プログラム)を用意する

管理職向けの研修を実施する際は、知識を一方的に教えるだけでなく、実際に多くの管理職が直面している悩みや課題に沿ったテーマを扱いましょう。たとえば、「問題が多い社員への対応」に悩んでいる場合は、具体的なケースを用いた研修を行うことで、学んだ内容を実務に活かしやすくなります。

また、管理職が日々の業務で抱える孤立感やプレッシャーを和らげるため、気軽に相談できる「外部メンター」などの制度を導入するのもおすすめです。「この会社にずっといたい」と思えるような空気感や企業文化を作るためには、経営理念と現場のマニュアル・行動方針を一貫して連動させることも意識しましょう。

キャリア支援についても、本人の希望を確認した上で、キャリア実現のために必要な経験・スキルや、会社が提供できる機会を検討することが大切です。

ただし、課長から部長、役員へとただ上を目指すだけの「はしご型」のキャリアパスでは、将来の選択肢が限られ、モチベーションを維持できない可能性があります。そのため、専門スキルを極める「スペシャリスト(プロフェッショナル職)」に転換したり、マネジメント職を離れて新規事業に挑戦したりするなど、横や斜めにも移動できる複数のキャリアパスを用意しておきましょう。

株式会社Pro-D-useは、貴社の現場に深く入り込み、現場メンバーの一員として一緒に手足を動かしながら事業を推進する「併走型支援」を得意としています。また、社員の声を丁寧に拾い上げながら課題を抽出するため、現場の実態に即したプランニング・戦略設計が可能です。

自社の課題を深く理解しながら、実践的な経営コンサルティングを受けたいとお考えの方は、お気軽に「無料経営相談フォーム」からご相談ください。

\「管理職が辞めない組織づくりに強い」伴走型コンサル

なお、「管理職に求められる基礎知識やスキル」について詳しく知りたい方は、以下記事も併せてチェックしてみてください。

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管理職から退職の申し出を受けたときの適切な対応方法4つ

本記事をご覧になっている方の中には「今後、管理職に退職を申し出られたらどうしよう」と不安に感じている方もいるかもしれません。

そこで、管理職から退職の申し出を受けたときの適切な対応方法について、以下にまとめました。

◆管理職から退職の申し出を受けたときの適切な対応方法4つ

退職後の影響を最小限に抑えるためにも、どのように対応すべきなのかチェックしておきましょう。

対応1. 無理に引き止めず退職理由を丁寧に聞く(絶対に非難はしない)

管理職から退職の申し出を受けたときは、無理に引き止めるのではなく、まずは退職理由を丁寧に聞きましょう。

管理職に限らず、社員が退職を申し出る段階では、すでに本人の意思が固まっているケースがほとんどです。そこで強く引き止めたり、退職を決めたことを責めたりすると、これまで築いてきた会社との関係まで悪化しかねません。

仮に給与交渉などで引き留められたとしても、退職を考えるきっかけとなった原因が解決されなければ、再び退職を決める可能性もあります。

そのため、まずは本人の意思を尊重した上で、なぜ退職を決めたのか、どのような不満を感じていたのかを聞くことが大切です。退職理由を聞く際は、「退職の意思を否定する」「これまでの行動を感情的に責める」といった行為を徹底的に避けましょう。

退職理由を丁寧に聞けると、本人との良好な関係を保てるのはもちろん、会社が今後改善すべき課題を客観的に把握できます。退職を避けられない場合でも、最後まで本人の意思を尊重し、誠実に対応することが、結果として円満な退職につながるはずです。

対応2. 退職者の業務内容を整理し、後任を選定する(属人化の解消)

管理職から退職の申し出を受けたときは、退職者の業務内容を整理し、早めに後任を選定することも大切です。

管理職は、部下のマネジメントや進捗管理など幅広い業務を担っているため、後任の決定が遅れると十分な引き継ぎ期間を確保できなくなります。後任への引き継ぎが不十分なまま退職すると、チーム全体の業務が滞ったり、残された社員の負担が一気に大きくなったりするかもしれません。

そのため、まずは退職者の「担当業務」「権限」「顧客・取引先との関係」などを整理し、後任に求める役割や能力を明確にしましょう。その上で、これまで培ってきた経験やスキル、部下との関係性などを踏まえて後任を選ぶと、管理職の退職後も業務がスムーズに進みやすくなります。

なお、後任に求めるスキルを明確にしておけば、社内からの抜擢が難しい場合でも、その内容を外部採用の要件定義に活かせるため、あらかじめ整理しておくのがおすすめです。

対応3. 退職日から逆算して計画的に引き継ぎを進める

管理職の退職日が決まったら、そこから逆算して計画的に引き継ぎを進めましょう。

管理職の担当業務は幅広いため、退職直前にまとめて引き継ごうとすると、重要な情報が抜け落ち、後任が業務内容を十分に理解できない可能性があります。そのため、まずは退職日までに引き継ぐ業務を洗い出し、「いつまでに・何を・どのように引き継ぐのか」を明確にしたスケジュールを作成しましょう。

スケジュールの作成後は、退職する管理職と後任者が同じ業務に取り組む「並走期間(OJT)」を設け、実際の対応方法や判断する際のポイント、暗黙知などを共有しておくと安心です。

また、管理職が使用していた「業務マニュアル」「顧客情報」「進行中の案件に関する資料」などは文書に残し、退職後も確認できる状態にしておきましょう。

管理職の退職後も安定した組織体制を維持するためには、引き継ぎの進捗を定期的に確認し、退職日までに漏れなく完了させることが重要です。

対応4. 管理職の退職について社員にきちんと説明する

管理職の退職が決まったら、その事実や今後の経営体制について社員にきちんと説明することも欠かせません。

管理職が辞めるという情報だけが先に広まると、「会社で何か問題があったのでは」「自分たちの仕事はどうなるのか」といった不安や憶測が生まれる可能性があります。こうした状態を放置すると、管理職の退職後に会社全体の士気が低下したり、これまで問題なく働いていた社員まで退職を考え始めたりするかもしれません。

そのため、退職の噂が広まる前に、「退職日」「後任の体制」「今後の会社のサポート方針」などを、経営層から公式かつ前向きにアナウンスすることが大切です。後任がまだ決まっていない場合でも、「当面は誰が業務を担当するのか」を具体的に示せば、社員も見通しを持って業務に取り組みやすくなるでしょう。

なお、社員に説明する際は、退職理由など本人のプライバシーに関わる内容を無理に伝える必要はありません。本人の意向にも配慮しながら必要な情報を整理し、隠し事をしているような態度は避けて誠実に説明しましょう。

「管理職が辞める会社」についてよくある質問

管理職が辞める会社について、よくある質問を以下にまとめました。一人でも多くの社員に働き続けてほしいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

Q 管理職が退職する際、後任者がいない場合はどうするべきですか?
A

退職者の後任が決まっていない場合は、まず退職者の業務を洗い出し、「意思決定」「重要顧客への対応」など、会社への影響度が高い業務を特定しましょう。それから優先順位を付け、会社に残る管理職や社員に業務を割り振ります。

業務手順や判断基準、顧客情報については文書として残し、可能であれば退職者から社員向けにOJT形式で引き継ぎを行いましょう。

また、これらの一時的な対応と並行して、社内からの昇格や外部採用を検討し、早めに動き出しておくことも大切です。管理職の退職を「会社の危機」ではなく、これまで特定の人に属人化していた業務をマニュアル化し、組織全体のオペレーションを見直すチャンスと捉えるようにしましょう。

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Q 管理職が辞める会社はやばい(危険な状態)ですか?
A

管理職が1人退職しただけで「やばい」とは限りませんが、短期間に複数の管理職が相次いで辞めている場合は明らかな危険信号と捉えるべきです。

管理職が次々と辞めていく会社には、業務の偏りや評価・報酬への不満、サポート体制の不足など、複数の管理職に共通する問題が隠れている可能性があります。そのため、退職の申し出を受けた場合は、ヒアリングや在職中の管理職との面談を行い、改善点をしっかり洗い出しましょう。

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Q 管理職が会社を辞める前に見られる兆候はありますか?
A

管理職が退職を考えている場合、勤怠や仕事への姿勢、コミュニケーションなどに、以前とは異なる変化が見られることがあります。具体的には、「遅刻・早退や有給休暇の取得が増える」「新しいプロジェクトを引き受けなくなる」「会議での発言が減る」などです。

また、人によっては職場での雑談や交流を避けるようになったり、上司への報告・連絡・相談の頻度が減ったりするケースもあります。

特に注意したいのが、以前は会社への不平不満や愚痴、改善提案などを口にしていた管理職が、急に何も言わなくなるケースです。この状態にある管理職は、すでに「諦めの境地」に入っており、退職の意思を固めている可能性があります。

自分が主導すべき長期的なプロジェクトや、新しい担当業務を持たないように避け始めた場合も、すでに退職を見据えているサインといえるでしょう。

このように、普段とは異なる様子が続いている場合は、面談・ヒアリングを通じて業務上の悩みや不安がないか確認することが大切です。退職の意思を固める前に会社側が問題点を把握し、経営層が積極的に改善すれば、本人も再びやりがいを持って働けるようになります。

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管理職が辞める会社の特徴をもとに自社の課題を一つずつ解消していこう

自社が抱える課題に合わせて適切な対策を行うと、多くの管理職がやりがいを持って働きやすくなり、結果として組織全体の業績向上にもつなげられます。

管理職が辞める会社に共通する特徴は、以下のとおりです。

◆管理職が辞める会社に共通する7つの特徴

  • 特徴1. 管理職の責任ばかり重く、労働時間も長い
  • 特徴2. 仕事の成果に見合った評価・報酬を得られない
  • 特徴3. 管理職に十分な裁量権が与えられていない
  • 特徴4. 経営層とのコミュニケーション不足と「飛び越え現象」の発生
  • 特徴5. 管理職へのサポート・育成体制が整っていない
  • 特徴6. 経営層の「無意識のNG行動」が管理職を追い詰める
  • 特徴7. 管理職としての将来的なキャリアを描けない

管理職の責任が重すぎる会社では、幅広い業務を管理職が一人で抱え込まなければならず、必然的に労働時間も長くなってしまいます。これだけの負担を抱えているにも関わらず、経営層から「管理職だから当然」という態度を取られれば、モチベーションも大きく低下するでしょう。

しかし、管理職に集中している業務を洗い出し、適切に分担できれば、「部下の育成」「チーム運営」などのマネジメント業務に集中して取り組めます。管理職が納得できる評価制度を整えたり、裁量権を付与したりすることも重要なポイントです。

管理職が辞めない会社を作るためには、管理職の退職を「個人の問題」で終わらせるのではなく、「組織全体の課題」として捉えましょう。経営層が原因を正しく把握し、組織体制の改善を積極的に進めれば、管理職の退職を防ぎながら、現場が安定して回る組織づくりを実現できます。

株式会社Pro-D-useは、貴社の現場に深く入り込み、現場メンバーの一員として一緒に手足を動かしながら事業を推進する「併走型支援」を得意としています。また、社員の声を丁寧に拾い上げながら課題を抽出するため、現場の実態に即したプランニング・戦略設計が可能です。

自社の課題を深く理解しながら、実践的な経営コンサルティングを受けたいとお考えの方は、お気軽に「無料経営相談フォーム」からご相談ください。

\「管理職が辞めない組織づくりに強い」伴走型コンサル

本記事で紹介した内容をもとに、管理職にとって働きやすい環境を整え、安定した経営にお役立ていただければ幸いです。

コラム著者プロフィール

岡島 光太郎

岡島 光太郎

取締役副社長 兼 経営コンサルタント(Co-founder)

事業の「急所」を突き、収益構造を再構築する。
実務と経営を知り尽くした、現場主義の戦略家。

経営における課題は、決して単一の要素では生じません。
営業、マーケティング、財務、システム…。すべてが複雑に絡み合う中で、ボトルネックを的確に見極め、最短距離で解決へ導くこと。それが私の使命です。
私はリクルート等の大手企業における組織マネジメントと、急成長ベンチャーの創業期という「カオス」の両極を最前線で経験しきました。机上の空論ではなく、血の通った実務経験に裏打ちされたコンサルティングで貴社の事業成長を力強くご支援します。

■専門性と実績:収益最大化へのアプローチ
私の強みは、部分最適ではなく「全体最適」の視点にあります。株式会社リクルートでは営業・企画の両面で責任者を務め、MVPほか多数の受賞歴が証明する通り「売る力」を極めました。その後、データXやアソビューといった有力企業の創業・拡大期において、組織作りから新規事業の収益化、マーケティング、事業企画までを牽引。

これら現場叩き上げの知見をベースに、現在は以下の領域をワンストップで支援しています。
▼専門・得意領域
|収益エンジンの構築|
新規事業の0→1立ち上げから、Webマーケを連動させた「勝てる組織」の仕組み化。

|DX/業務基盤の刷新|
業務プロセスを可視化し、SaaSやITシステム導入による生産性の抜本的向上。

|財務・資金調達戦略|
事業計画と連動した融資獲得、キャッシュフロー経営の強化。

■仕事の流儀
「コンサルタントが入ってレポートを出して終わり」という関わり方はいたしません。経営者様の隣で、時には現場の最前線で、貴社の社員以上に貴社の利益にコミットします。
戦略を描くだけでなく、現場が自走できる状態になるまで徹底的に伴走いたします。

■資格・認定
中小企業庁認定:中小企業デジタル化応援隊事業認定IT専門家 / I00087391
経済産業省認定:情報処理支援機関 / 第39号‐24060007(21)