少子高齢化によって、食品業界は今後どのような動向をしていくのだろうか。
食品業界に参入したいと考えている。食品業界には新たに参入する余地はあるのか?
食品業界に参入を考えている方にとって、このような疑問を持っていう方は多いのではないでしょうか。
食品業界の市場規模は、現在拡大している傾向にあります。
特に、お弁当や惣菜の「中食」の売上は大きく伸びており、理由としては下記の2点が挙げられます。
- スーパーやコンビニエンスストアの利便性増加
- 食品宅配サービスの需要増加
上記の2点に関しては、皆さんも共感できるのではないでしょうか。
本記事では、食品業界の市場規模を的確に把握するため下記の2点を詳しく解説していきます。
- 食品業界の現状と課題、市場規模
- 国内の人口減少における食品業界が受ける大きく影響
この記事を読めば、こんなことが実現できます。
- 食品業界の現在の全体像から将来までを把握できるため、食品業界のリサーチにかける時間が短縮されます。
- 食品業界に起きている動きが把握でき、今後のビジネスチャンスの手助けになります。
それでは早速、読み進めていきましょう。
食品産業界の市場規模の推移
少子高齢化に伴う国内の人口減少の流れから、食品業界では業界再編の流れが起こっています。
また原材料価格の高騰なども影響し、大手企業を中心に海外企業とのM&Aが加速しているのです。
また国内市場の縮小を見越して、同業他社との業務提携の流れも見られます。
物流や商品開発を一体化して生産効率を高め、コスト削減に動き出している企業も増えているのです。
市場規模の推移を見ていくと農林水産省が発表した2011年「食品産業動態調査」によると、食品業界の市場規模は78兆3,000億円でした。前年比で3.3%の伸びがあり、東日本大震災の影響が大きかった2011年以降は徐々に回復基調にあります。
品目別市場動向分析については2013年の加工食品の市場規模は21兆5,991億円でした。
健康効果が期待されチョコレートが好調で前年比1.4%増の1兆5,070億円となっています。
生鮮3品(野菜・魚・肉)の市場規模は約15兆円です。
米飯の市場規模は2014年で前年比2.2%増の2兆3,295億円となっており、高齢者によるコンビニエンスストアの利用増加が業績を伸ばしています。
徐々に市場規模を拡大してはいるものの、全体としては食品業界にとって順風満帆とはいえません。
円安基調が常態化することで、原材料を輸入に頼っているメーカーは大きな逆風の中に立たされています。耐え切れずに値上げをする企業も増えています。
価格の上昇ではなく、内容量を減らすなどの実質的値下げに踏み切る企業まで現れている状態です。
また、長期的には少子化の影響は無視できません。
人口が減少すれば、食事数そのものが減りますから国内市場の縮小は避けられないでしょう。
加えて、近年の健康志向も影響し「食の安全」に対する意識はこれまで以上に高まっています。
製造過程の管理などにも、これまで以上にコストがかかるでしょう。
しかし日本の食品に対する国際的な信用度は高いのも事実です。
そのため海外での事業展開に突破口を見出すメーカーも増加している流れとなっています。
食品関連業界の流通構造
食品業界の流通構造は川の流れにたとえて、それぞれの役割を担う業種を当てはめることができます。
川上に位置するのがメーカーであり、川中が卸売業、そして川下が小売店や飲食店です。
最終的には消費者に食品を提供し、収益を上げるというのが基本的な仕組みとなっています。
中でもメーカーと小売店などを橋渡しする卸売り企業の役割は重要です。
卸売り企業が果たす役割としては「商流」と「物流」に分けられます。
商流とは商品の所有権がどんどん移転していくことによって生まれる流れのことであり、つまり商売そのものを指します。
その一方で物流とは、商品の保管・加工・輸送など生産者から消費者の手に渡るまでの流れのことを指しているのです。
メーカーから仕入れた商品を管理し、市場の動向を見極めながら必要な商品を届ける役割を持っています。
卸売り企業が間に入ることによって物流の効率化が行われ、消費者にとって安全で安価な食品を届けることができるのです。
仮に卸売り企業がない場合には、メーカーにとっては物流コストがかかりますし、小売店にとっては業務の負担が大きくなって人件費がかさむといったデメリットが発生します。
商品を店舗ごとに仕分けして配送するといった仕組みを作ることで、ローコストな物流を実現しているといえるでしょう。
産業別の市場動向
2016年の外食産業の市場規模は前年と比べて0.1%増加し、25兆4,169億円となっています。
前年並みとなってはいるものの、企業の交際費の増加や訪日外国人の利用などが下支えをしています。
そのうち飲食店・宿泊施設・社員食堂・病院給食などを含む「給食主体部門」の市場規模は、市場規模全体の80.1%を占めており、20兆3,519億円となっていて前年より0.7%増加しました。
さらに飲食店・宿泊施設などのいわゆる「営業給食」の市場規模は全体の66.7%を占め、16兆9,622億円で前年より0.8%増加しています。
「中食」と呼ばれる弁当や総菜の2015年の売り上げは前年比4%増で9兆5,881億円となっています。
内訳としては専門店とコンビニエンスストアがそれぞれ約30%、スーパーが20%強です。
スーパーでは夜にもできたての弁当や総菜を出す取り組みも行われており、堅調な成長が見込める中食産業に対して各社競争が激しくなっています。
また原材料の多くを輸入に頼っている状況では「円安」の影響はメーカーの業績を圧迫する要因となっています。
原材料の占める割合が高い製油・ソーセージ・ハム・冷凍食品などは値上げが起こっています。
また価格に敏感な消費者に配慮して、内容量を減らして実質的な値上げを行うメーカーも出てきました。
その一方で、米離れが進んでいる流れでパン業界は好調に業績を伸ばしています。
2011年に総務省が行った「家計調査」によれば、パンの消費額がコメを上回るという結果も出ているのです。
注目される市場動向
食品宅配サービスはインターネットや電話で食材を注文すると、定期的に家庭まで配達してくれるサービスのことを指します。
生の食材だけではなく、すぐに調理が可能な「半調理」したものを届けてくれるサービスもあり、料理が苦手な人に好まれるサービスとなっています。
また、そのまま食べられる「宅食」や電子レンジで温めればすぐに食べられる食品の配達まで多岐にわたっているのです。
ひとり暮らしの高齢者や仕事が忙しい世代に多く利用されています。少子高齢化の影響によって、今後も国内の高齢者数は当面増加が見込まれています。
そのため、食事や食品といった部分でも高齢者のニーズに合わせた商品が開発されているのです。
栄養のバランスや内容量を考えられた弁当や総菜などが数多く作られています。
塩分を控えめにして高齢者にとって不足しがちな栄養素を補えるものが開発されています。
また健康ブームは食品業界にも影響を与えています。塩分・糖分・脂質といったものを低く抑えたり、またはゼロにしたりして健康志向をうたった食品も多く作られています。
味や内容量だけではなく、成分表示にも消費者が敏感になっているため、それらを意識した商品開発を各社共に進めているのです。
健康的価値を高めることによって、安易に価格競争の波にさらされずに済むため、企業としても業績を伸ばすきっかけとなっています。
市場規模から見る食品業界の今後
国内における食事数の減少は根底に人口減少という避けられない問題があります。
景気が上向いたとしても、食品が大量に消費される時代の訪れを望むのは難しいでしょう。
市場縮小の中で、各企業がいかに独自性を発揮するかで苦心しているのが現状です。それに加えて、食の安全性を担保するのに大きなコストがかかっている状況もあります。
人件費の安い海外工場を頼ろうとしても、食品衛生管理などにかかる費用まで削るわけにはいきません。
仮にそこで問題が起こればブランドの信頼に大きな傷をつけてしまい、経営危機を招く可能性もあります。
そこで、コストに見合うだけの売り上げを確保するため、海外進出に力を注ぐ企業が増えているのです。
世界的には人口の増加が続いていますし、地域によっては著しい人口増が起こっている場所もあります。
国際的な視野を持てば食事数も増えているわけですから、そこに活路を見出すこともできるでしょう。材料の確保から生産、消費までを現地で行うなら為替リスクも緩和できます。
また、ブランドとしての「日本食」が海外に認められつつある現状は食品業界にとって追い風となるかもしれません。
現地のニーズに合った食品をいかに提供できるかが、海外進出を行う企業にとっての課題となっています。
国内の厳しい目と舌で育った日本の食品業界が今後、海外展開によって大きく業績を伸ばす可能性は十分にあります。
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<参考URL>
http://www.ma-cp.com/gyou_c/5.html
https://www.fuji-keizai.co.jp/market/15052.html
http://www.maff.go.jp/j/council/seisaku/kikaku/bukai/H26/pdf/140225_03_04.pdf
https://mayonez.jp/topic/520
http://www.jfnet.or.jp/data/data_c.html
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO14083170U7A310C1TI1000/
http://www.stat.go.jp/data/kakei/2013np/gaikyo/index.htm