新規事業に必要な「届出の種類」と「書き方」のポイント

新規事業分野へ進出したい場合、その事業が個人事業あるいは会社をスタートさせたときの「事業目的の範囲内であるかどうか」確認が必要です。

新規事業の届出について、個人事業主と法人のケースを紹介します。

 

【個人事業主】新規事業に必要な届出

今までの業務とは異なる事業を始める際に気になるのが、必要となる届出です。まずは、個人事業主として事業を営んでいたケースを見ていきましょう。

 

1. 個人事業主の「業種変更・追加」の届出は不要

結論から述べると、個人事業主が新規事業を始めてもとくに届出は必要ありません。

個人事業主として起業・独立している場合、「個人事業の開業・廃業等届出書」、いわゆる「開業届」を出した人が多いでしょう。多くの人は、この開業届の内容を変更しなければと考えます。

しかし、開業届と違う新規事業を始めても、特別な手続きは不要です。

また、事業内容が変われば税の届出も気がかりかもしれません。個人事業主の場合、事業内容が変わっても税率は同じです。税金は「所得」を元に算出さるため、新規事業が何であれ税額は変わりません。

税に関する処理を求められることはなく、それによってとくに困ることもないでしょう。

もしも新規事業の内容を記入するならば、確定申告のときでOKです。申告書の「事業内容」「業種」欄に、新しい事業の内容や業種を記載して提出しましょう。

 

2. 新規事業で事務所を移転・増設した場合は開業届の再提出が必要

新規事業にともなって以下のような事由が発生する場合は、「個人事業の開業・廃業等届出書」の再提出がおすすめです。

  • 事務所を新設した
  • 事務所を増設した
  • 事務所を移転した
  • 事務所を廃止した

届出書に「届出の区分」という欄があるので、該当する項目に〇を付けましょう。

本来、個人事業主でも「青色専従者がいない」「完全に1人」という場合は、新規事業によって事務所を移転したり新設したりしても、変更申請する必要はありません。

なお、「個人事業の開業・廃業等届出書」は、公的書類としての効力を持つものです。たとえば銀行口座の開設時や信用保証協会の審査などで、住所を証明するものとして提出を求められるケースも少なくありません。

たとえ不要であったとしても、個人事業の開業・廃業等届出書は実情に正確かつ適切に登録しておきましょう。

 

【法人】新規事業に必要な届出

法人の新規事業に必要な届出法人の場合は、新規事業の内容によっては諸手続きが必要となるケースがあります。

新たに事業を始める場合の届出について、法人の場合を見ていきましょう。

 

1. 新規事業で「事業目的」を変更するなら必要

法人なら、設立時に作成した「定款」に「事業目的」が登録されているはずです。これからスタートしようとしている新規事業が定款の内容と異なる場合は、「事業目的の変更」を行わねばなりません。

本来の事業を続ける場合も、事業内容が増える場合は「追記」が必要となります。

一般に、事業運営中に定款と異なる事由が発生した場合、次のいずれかの措置を取る必要があります。

  1. 定款変更をした後法務局での登記も必要
  2. 定款変更をした後法務局での登記は不要
  3. 定款を変える必要はないが法務局での登記は必要

定款で事業目的を変更する場合は、1に該当します。

定款変更後、法務局で登記まで行わなければなりません。

 

2. 事業目的の変更は許認可申請で必須

新規事業を許認可が必要な分野で行う場合は、許認可申請をすることになります。しかし新規事業の内容が定款にない場合、許認可が下りません。

以下は許認可が必要となる事業と、記載されるべき事業目的の一例です。

事業内容事業目的(例)
旅行業旅行業法に基づく旅行業及び旅行業者代理業
職業紹介事業有料職業紹介事業
介護事業介護保険法に基づく居宅サービス事業など

新規事業を始めるときは、まず必要な許認可について調べ、事業目的をどのように変更または追加すべきか慎重に決めねばなりません。

これを怠ると、そもそも新規事業をスタートすることが不可能となります。

 

3. 目的変更の手続きの流れ

新規事業で定款の事業目的を追加したり変更したりする際の流れは、以下のようになります。

  1. 目的を決定する
  2. 株主総会で承認を受ける
  3. 議事録を作成する
  4. 登記を変更する

まずは定款にどのような事業目的を記載するか決定しなければなりません。事業目的が決定したら株主総会を開き、株主に定款の事業目的を変更する旨を伝え、決議を取るのです。

ただし、決議は議決要件の厳しい「特別決議」によるものでなければなりません。「会社法309条2項」に定められているとおり、発行済議決権株式の総数の3分の2以上の賛成が必要です。

ここで議決されれば、次は登記の変更を行います。株主総会の議事録を作成し、本店所在地を管轄する法務局に行きましょう。

目的変更の登記は、「定款変更の効力が発生した日から2週間以内」と定められています。大幅に過ぎると100万円以下の過料に処せられる可能性があるため、注意してください。

 

新規事業で定款を変更するときの2つのポイント

新規事業で定款変更事業目的は「絶対的記載事項」です。事業目的が定款に含まれていなければ、定款そのものが無効になってしまいます。新規事業で事業目的を変更したり追加したりする際は、定款そのものを変更し、登記しなければなりません。

実際に新規事業で定款を変更する際の流れや、記載に関する注意点を紹介します。

 

1. 定款変更で必要な書類をそろえる

新規事業で事業目的を変更する際、以下の書類などが必要となります。

  • 登記申請書
  • 議事録
  • 収入印紙貼付台紙
  • 印鑑届書
  • 登記費用:3万円

また、登記申請書の「登記すべき事項」については、磁気ディスク(CD-RやDVD-R)の添付が必要です。登記・供託オンライン申請システムを利用して送信し、提出する方法もあります。

参照:操作手引書【簡易版】のダウンロード | 登記・供託オンライン申請システム 登記ねっと 供託ねっと

 

2. 事業目的の書き方に注意する

事業目的を変更するとき注意したいのが、変更部分だけを書くのではなく、「変更後の登記謄本に載せておきたい事業目的を全て記載する」ことです。

登記謄本の変更は、追加ではなく「上書き」と考えましょう。

新しい事業に関する事業目的だけを書くと、元々記載していた事業目的が全て消えてしまいます。元に戻すためにはまた定款変更の手続きを踏まねばならないので、必ず「元々記載していた事業目的+追加したい事業目的」を記載してください。

 

【まとめ】新規事業で事業目的を変更する際はプロに相談しよう

悩んだら、中小企業の新規事業のプロ(コンサル)へ相談
新規事業が本来の事業目的と異なる場合、事業目的変更の手続きが必要になるケースがあります。状況は個人事業主・法人でそれぞれ異なるため、「自身・自社の場合はどうか」ということを適切に判断してください。

新規事業のスタートに不安を覚えたら、やはりプロの力を借りたほうが安心です。

プロなら準備すべき書類を教えてくれるのはもちろん、提出しておいたほうがよい書類、さらには提出のタイミングまで適切に周知してくれます。

新規事業の立ち上げから躓きたくはないものです。なるべく早い段階でプロに相談してみてはいかがでしょうか。

新規事業でお困りの際は、ぜひ一度、私たち株式会社Pro-d-useにご相談ください。

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