アパレル業界の市場規模とその動向とは?

アパレル業界の市場規模とその動向とは?
    • 新規事業
  • 2019年2月8日
ポイント

アパレル業界の市場規模や今後の展開について詳しく知りたい。

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アパレル業界に参入したいと考えている。アパレル業界には、新たに参入する余地はあるのか?

アパレル業界に参入を考えている方にとって、このような疑問を持っていう方は多いのではないでしょうか。

時代と共にライフスタイルが変化しているためアパレル業界も転機を迎えています。

大きな要因としては、下記の2点が挙げられます。

  • 少子高齢化による人口減少
  • 景気低迷による可処分所得の減少

そこで、本記事では、アパレル業界に関する3つのポイントを詳しく解説していきます。

  1. アパレル業界の市場規模の推移
  2. アパレル業界に関連する流通構造
  3. アパレル業界の将来性

この記事を読めば、こんなことが実現できます。

  • アパレル業界の現在の全体像から将来までを把握できるため、アパレル業界のリサーチにかける時間が短縮されます。
  • アパレル業界に起きている動きが把握でき、今後のビジネスチャンスの手助けになります。

それでは早速、読み進めていきましょう。

アパレル業界の市場規模の推移

アパレル業界の市場規模の推移

国内では少子高齢化を背景に人口減少に伴って需要の落ち込みが見られるため、オーバーストア(過剰店舗)の状態が続いています。

そのため、業界再編の動きも加速しており、インターネット通販などで新たな顧客を得ようという動向も見られます。

大量生産・大量消費の時代にはメーカーが中心となった業界構造となっていました。

しかし顧客ニーズの多様化の流れから専門店と素材メーカーとの業務提携が進んでいます。

また運輸業界と業務提携をして衣料品のレンタルビジネスなどの動きもあります。従来の店舗販売だけではなく、顧客への多角的なアプローチに多くの企業が取り組んでいるのです。

市場規模推移については経済産業省が2016年に取りまとめた「アパレル・サプライチェーン研究会報告書」から市場規模の流れが分かります。

1990年の国内衣料品市場規模は約15兆円であったものの、2010年には約10兆円と約3分の2にまで縮小している状態です。

また国内生産と海外からの輸入を合わせた供給量は20億~40億点と倍増しており、単純な計算だと単価は約3分の1にまで下落していることになります。

また同時期の総務省「家計調査」によると、1990~2010年までの家計の衣料品購入単価は60%弱に低下しており、市場に供給されたものの消費されていない衣料品が相当数あると見られています。

品目別市場動向分析では2015年の国内の衣料品市場規模は前年比99.8%の9兆3,609億円でした。

品目別市場動向分析では、婦人服・洋品市場が前年比99.6%の5兆8,844億円、紳士服・洋品市場が同100.4%の2兆5,585億円、ベビー・子供服・洋品市場が同99.5%の9,180億円となっています。

アパレル関連業界の流通構造

アパレル関連業界の流通構造

アパレル業界の流通構造を紐解くキーワードとして「川上・川中・川下」といったものがあげられます。これは、繊維や衣料品の生産を川の流れにたとえたものです。

これまでは川上が「糸」を指し、川中が「アパレル」で川下が「小売り」を意味していました。現代は物流を正確に把握するため川上が「糸」で川中が「産地」、川下が「アパレル・小売り」といった分け方になっています。

つまり川上に位置するのが紡績・加工業、化学繊維製造業や染色加工業です。衣料品を企画生産するアパレル企業や消費者へ販売する小売業を川下ということになります。

小売業の流通構造としては主なものとして「買い取り」「委託」「消化」の3種類に分けられます。

買い取りは小売店が仕入れ先から商品を買い取る方式であり、仕入れた商品は小売店のものです。小売店は仕入れ価格(下代)に利益を上乗せして販売価格(上代)を決めています。

委託方式は百貨店とアパレルメーカーが独自に形作ったもので「返品条件付き買い取り」ともいわれています。

納品された商品は小売店のものとなりますが、売れなかった商品については仕入れ先に返品することが可能です。

買い取り方式と違って販売価格の決定権は仕入れ先にあるのが特徴です。消化方式は「売上仕入」とも呼ばれています。

小売店は商品が売れた分だけ仕入れに計上する仕組みであり、商品の所有権や販売価格の決定権は仕入れ先にあります。

この3種類の仕入れ方式は売れ残った商品の視点から見ると2つに分けられます。

買い取り方式の場合は商品が売れ残ったときには、小売店側の負担となります。

その一方で、委託・消化方式では商品が売れ残っても、その負担は仕入れ先が担うことになるのです。

つまり、売れ残った商品の負担先に販売価格の決定権があるといえるでしょう。

商品を販売するにあたっての経費は買い取り方式が一番高く、委託と消化が低い傾向にあります。

また買い取り方式の場合は商品の宣伝を自前で行う必要がありますが、委託・消化方式の場合は仕入れ先が宣伝をしてくれます。

さらに方式の違いは店舗の品ぞろえにも影響を与えます。買い取り方式の場合だと小売店が自由に選択できますが、委託・消化方式の場合には仕入れ先が品ぞろえの主導権を握ることになるのです。

この3つの仕入れ方式とは別に百貨店とアパレルの取引では独自の方式のものがあります。

日本百貨店協会と日本アパレル産業協会が共同で策定した「消化率契約」と呼ばれるものです。

百貨店が消化率を決め、アパレル会社が納品率を約束する方式であり、それぞれが決めた水準に満たなかったときにはペナルティを支払う仕組みとなっています。

こういった流通の仕組みがある中で、百貨店では従来は委託方式中心でしたが消化方式の比率が高まっています。

その一方で、専門店では買い取り方式が増えています。大手量販店は自社で工場を持ち、独自の生産・販売方式をとっているのです。

EC販売では既存の流通システムに頼らずに、オリジナルの商品開発を進めるケースも増えてきています。

産業別の市場動向

産業別の市場動向

2016年に経済産業省が取りまとめた「商業動態統計調査」から業態ごとの市場の流れが見えてきます。

百貨店の衣料品の売り上げは紳士服・洋品が4,587億円、婦人・子供服・洋品が1兆6,013億円、その他の衣料品が1,595億円となっています。

またスーパーでの衣料品の販売額は紳士服・洋品が3,046億円、婦人・子供服・洋品が6,509億円、その他の衣料品1,105億円です。

量販店については前年比6.3%減で9,249億円となっています。

百貨店やスーパー、量販店などでは全体的に低調な推移が続いている状況です。

セレクトショップではオリジナルの商品企画が好調であり、2014年には市場規模が3,400億円となり堅調に推移しています。

百貨店と専門店の中間に位置する中高価格帯で展開していることが特徴的です。

その一方で、専門店の売り上げは2015年で前年比1.2%増4兆9,616億円と堅調な流れが見られます。

またEC販売は前年比3.4%増の1兆4,144億円で専門店と通信販売の伸びが、業界を下支えしています。

カタログ系通販会社は業績に陰りが見られるものの、インターネット系通販会社は好調に業績を上げているのが特徴的です。

各社がインターネットを通じた販路を見出すことが、業界の規模を拡大させる要因となるでしょう。

注目される市場動向

注目される市場動向

アパレル業界にとって消費者のライフスタイルの変化は売り上げに一番の影響を与えます。

かつては高品質・高級感の衣料品が好まれましたが、現代では自分に合った物や必要な物しか購入されない傾向にあります。

アパレルメーカーも顧客ニーズをよくくみとった商品開発を行っていく必要があります。

さらに業界が抱える問題としてファストファッションブランドと既存のアパレルメーカーとの2極化です。

ファストファッションブランドは消費者のニーズにいち早く応え増収増益を続けています。

その一方で既存のブランドメーカーは企業ブランドを全面に押し出して消費者を獲得しています。

ただ、どういった服を求めるかは人それぞれでもあるため、特定のブランドを好む人は今後も増えにくいことが見込まれています。

またファストファッションブランドと既存のアパレルメーカー共に国内だけに消費者を求めるのではなく、海外に店舗展開を行っている企業も多くあります。

現地に店舗を構えるだけではなく海外に工場を持ち、独自の生産・販売体制を組んでいる企業もあるのです。

アパレル業界が向かう未来

アパレル業界が向かう未来

国内では少子高齢化に伴う人口減少の影響や消費者の趣向の変化から、今後も大幅な消費の増加は見込みにくいといえます。

その一方で人口が増加し、購買意欲が旺盛な海外諸国にいかに舵を切るかが多くの企業の課題となっています。

ファストファッションブランドであれば海外に生産拠点を置いている企業も多いため、安定的に商品を確保するための体制を維持する必要があるでしょう。

また国内ではブランド力の強い既存のアパレルメーカーであれば、いかに現地の消費者にブランドの魅力を伝えるかが課題となっています。

いずれにしても、高品質のものを大量生産すれば良いという時代ではないため、商品開発の段階から顧客のニーズをしっかりと把握する能力がアパレル業界には必要不可欠となっているのです。

もし、アパレル業界への参入も含めて、非常に煩雑で難しい新規事業の企画・立ち上げ、推進や収益化でお困りの際は、ぜひ一度、私たち株式会社Pro-d-useにご相談(無料)ください。

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<参考>
http://www.ma-cp.com/gyou_c/8.html
http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/seizou/apparel_supply/pdf/report01_01_00.pdf
https://www.yano.co.jp/press/press.php/001603
http://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikeizai/pdf/h2amini045j.pdf
https://www.yano.co.jp/press/pdf/1603.pdf

コラム著者プロフィール

岡島光太郎

岡島 光太郎

取締役副社長 兼 経営コンサルタント(Co-founder)

2009年:(株)リクルートに新卒で入社。営業・企画の両面で責任者を務める。
※リクルートではMVPやマネジメント賞など、個人・マネージャー賞を多数受賞。
2013年:(株)データX(旧:フロムスクラッチ)の創業期に転職。営業や新卒・中途採用の責任者を務める。
2014年:アソビュー(株)に転職。その後、営業責任者、新規事業責任者を歴任。
2015年:(株)Pro-D-useを創業。取締役副社長(現任)に就任。

【得意領域】
新規事業の立上げ~収益化、成果を上げる営業の仕組み作り、BtoBのWebマーケティングを主軸とした売れる仕組み作り、DXまで見通したIT・SaaS・業務システムの導入や運用、融資を中心とした資金調達~財務のコンサルティングを得意としている。

【担当業種】
「システム受託開発」「Webサービス」「Tech系全般」「製造」「建築」「販売・サービス」「スクール業」など多岐。

【資格・認定】
中小企業庁認定:中小企業デジタル化応援隊事業認定IT専門家 / I00087391
経済産業省認定:情報処理支援機関 / 第39号‐24060007(21)