DX(デジタルトランスフォーメーション)の3つの心構えと6つの方針

DX(デジタルトランスフォーメーション)の3つの心構えと6つの方針
    • DX
  • 2024年8月2日

自社のデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めたいが、具体的に何から始めればいいか悩んでいませんか?

ポイント

「DXで業務はどう変わるの?ITとの違いが知りたい」

ポイント

「DXの導入にあたり意識すべき具体的なポイントは?」

ポイント

「DXの目的をどう明確に設定すればいいのかわからない」

ポイント

「DXを導入後、社内に定着させるための注意点はある?」

実は、DXを進める場合、技術的な課題に注目しがちですが、重要なのは組織全体での心構えと確実なアプローチです。

なぜなら、DXは単なる技術導入以上に、組織文化の変革とビジネスプロセスの根本的な見直しを要するからです。

筆者は「株式会社Pro-D-use」という経営コンサル会社で、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)に対して「戦略的な計画立案と実行支援」を支援しており、数多くの企業のDX導入の成功や失敗を見てきました。

執筆者:株式会社Pro-D-use岡島光太郎

本記事では、デジタルトランスフォーメーション(DX)の基本的な概念、DXを進める際の心構え、および具体的な実行方針について解説します。

DX化を進める上で、経営者が押さえるべきポイントは以下です。

  1. DXとITとの違いをふまえた、DX導入の目的の明確化
  2. DX化に反対する人を説得し、DXを定着させるために必要なコミュニケーション
  3. 意味のない業務の削ることや基本ツールの絞り込みなど、DX化における方針の徹底

この記事を読めば、以下のことが実現できます。

  • DX化における適切なアプローチと計画立案の方針がわかる
  • DX導入の壁となる社員意識の変革ポイントが把握できる
  • DXの定着に向けた注意点が理解できる

ぜひこの記事を参考に、DX化を効果的に進めるための方法について理解を深めてみてください。

また当社では、「中小企業におけるDX化の進め方」についても解説していますので、詳しく知りたい方はぜひ読んでみてください。

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DX化とは?

DXとは、デジタルトランスフォーメーションの略です。

分かりやすく言えば、デジタルの技術や力を使って、人の考えや行動をより良くし、変革を起こすという意味になります。

よく勘違いされているのが「IT導入」と同義に使われているケースです。

代表的なものとして「ペーパーレス」がありますが、ペーパーレスを実施するのはIT導入をして生産性を高めているに過ぎません。

IT導入とDXの目的の違い

IT導入とDXの大きな違いは、「より良く変わる」考えを持つかどうかにあります。IT導入のように、ただ生産性を高めるだけでは、DX化と言えません。

ここで注意しなければいけないのが「より良く変わる」のゴールを明確にする点です。

ゴールを明確にしておかなければ、自分も関わる人もDX化への意欲を持てなくなってしまうからです。「何のためによりよく変わるのか?」の定義をチームで設定しなければ、DX化はできません。

DX化の目的を明確にする

DX化の目的を難しく考える必要はありません。

たとえば「時間や売り上げを気にせず、今いるお客様の解決のために、お客様に役立つ活動の時間を生み出したい」といった内容も、DX化に重要な目的のひとつです。

お客様の困りごとを解決するだけの余力がないのであれば、今のビジネスモデルのままではいけません。

「DX化をして時間を作り、お客様の困りごとを解決するために時間を注ぐ」といったようなシンプルな目的が、DX化につながっていきます。

DX化を行うための心構え

DX化を実施するなかで、必ずぶつかる壁があります。

そのときに理解しておきたい心構えが、以下の3つです。

  • 抵抗勢力は必ず現れる
  • 100%にして初めて効果を発揮
  • 言い続ける

それぞれの心構えについて、以下で解説します。

1.抵抗勢力は必ず現れる

DX化を行う上で、抵抗勢力は必ず現れます。

今まで慣れていた業務を大きく変化させるとなれば、抵抗勢力が現れないということはありません。

しかし、抵抗勢力が現れたときに、焦ったり嫌な気持ちになったり、身構える必要はありません。

2.100%にして初めて効果を発揮

DX化は、100%にしなければ効果を発揮しません。

たとえば、1人〜2人は対面ミーティング、そのほか98%はWebミーティングといったように、誰かのための特例をつけてしまうと、生産性が落ちてしまいます。

特例はつけずに、常に100%の状態でDX化に取り組みましょう。

3.言い続ける

言い続けて徹底させることも、DX化には非常に重要です。

DX化を推進しようとしている人が言い続けて徹底しなければ、DX化は浸透しません。

どれだけ新しいツールを導入してマニュアルを作ったとしても、言わなければ従業員は使ってくれないのです。

このとき「新しいツールを使ってくれないのは従業員のせい」と考えてはいけません。言い続けなかったその人自身に責任があると考えましょう。

続ける中で「あれはどうするのか?」「これはどうするのか?」と、さまざまな意見も出ますが、成果が出れば意見は変わります。

そのため、成果が出るまではさまざまな意見を我慢しながら、言い続けるしかないのです。

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DXをする上での6つの方針

DXをする上で重要な6つの方針について解説します。

  • 業務そのものを減らす
  • 基本ツールを絞りそれ以外は諦めることも大事
  • 資料の共有はクラウドベースにする
  • 既存業務を4つの象限で仕分けをする
  • ワンストップでの解決
  • 地道な定着化

6つの方針を意識しておけば「DX化として、とりあえずこれをやってみよう、あれもやってみよう」と、迷ってしまうケースを防げるでしょう。

DX化を活用して時間を生み出すために、6つの方針を意識して実行してみてください。

1.業務そのものを減らすこと

DX化を行う上で、まずは今ある業務を精査してみましょう。

業務をすべて書き出していくと、意味がなかった業務が必ず見つかります。

意味のない業務に対してITツールを導入すると、反対に手間が増えてしまう可能性があるので、まずは意味のない業務を削る作業が必要なのです。

とくに古くから続く企業は、なんとなく昔からやっている業務などを中心に、本当にやるべき価値があるかを見直してみてください。

2.基本ツールを絞りそれ以外は諦めることも大事

DX化を行うにあたって、基本的なツールはできるだけ絞り込みましょう。

様々なツールを使ってしまうと、結果的に従業員が使いこなせなくなる可能性が高くなるからです。

たとえば、Googleworkspace、LINE、Gmailとものによって使い分ける方法もありますが、それぞれのツールを使おうとすると、それだけツールを使うために覚える内容も増えます。

1つのツールで完結するのであれば、1つのツールだけを使った方がDX化の浸透は早いです。

自分一人だけであれば複数のツールを使えるかもしれませんが、従業員のなかにはツールを使いこなすのに時間がかかる人もいると忘れないようにしてください。

3.資料の共有はクラウドベースにする

資料の共有は、クラウドベースであることが必須条件です。

ある資料を確認するために、誰かのパソコンでなければ確認できないという状況だと、スムーズに情報共有できません。

どこからでも必要なときに情報を得られる状態が、DX化として好ましい形です。

4.既存業務を4つの象限で仕分けをする

DX化を効率よく行うためには、既存の業務を4象限で仕分けるのがおすすめです。

4象限は、以下のように分けます。

  • 横軸右に「代替できる」
  • 横軸左に「代替できない」
  • 縦軸上に「生産性が上がる」
  • 縦軸下に「生産性が上がらない」

それぞれを4つに分けていくと、以下のようになります。

  • A.代替できる・生産性が上がる…ITで代替ができて明らかに生産性があがるもの
  • B.代替できる・生産性が上がらない…ITで代替できるが生産性はあがらないもの
  • C.代替できない・生産性が上がる…ITで代替はできないが生産性はあがるもの
  • D.代替できない・生産性が上がらない…ITで代替できない上に生産性も上がらないもの

それぞれに当てはまる部分について、詳しく解説します。

A.代替できる・生産性が上がる

ITで代替できる上に生産性が上がるものについては、すぐにDX導入を進めていきましょう。

このボックスに当てはまる業務として「営業マンの実績報告」などがあります。

紙で提出して集計して報告するという業務内容を、フォームで入力してデータ連携する形にすれば、大きく業務が効率化します。

このような、明らかにITツールで生産性が向上するものは、Aの象限に仕分けしましょう。

B.代替できる・生産性が上がらない

ITで代替できるが効率が上がらないものもあります。

たとえば、運送業の配達リストなどです。

配達リストなどをデータ化してタブレットにするという方法もありますが、雨にぬれたりデータが重くなってしまったりして使えない場合には、生産性はむしろ下がる可能性があるでしょう。

このように、デジタル化によって生産性を下げるものに関しては、Bの象限に仕分けします。

C.代替できない・生産性が上がる/D.代替できない・生産性が上がらない

C「代替できない・生産性が上がる」とD「代替できない・生産性が上がらない」については、思い込みでできないと判断しているかどうかで仕分けをしましょう。

たとえば「スマートフォンでのミーティングを実行したいが、高齢者の従業員がいるから代替できないであろう」というケースは、思い込みのよくある例です。

しかし、導入により確実に生産性向上が間違いないのであれば、改革するべき業務といえます。

このような、代替できないが生産性が向上すると思われる業務についてはCの象限に入れましょう。

一方で、Dの「代替できない・効率が上がらない」ものには、法令や規制が当てはまります。

どうしても市区町村に届けなければいけない資料などは、印刷したりCD-Rに焼いて提出したりするなどのルールが決まっているため、改革の対象外と考えてください。

5.ワンストップでの解決

ワンストップでの解決というのは、入り口を一つにまとめてあげることです。

情報を得るための入り口がいくつもあると「結局どこにアクセスすれば良いのか?」という混乱を招きます。

「ここのクラウドで共有しています」や「チャットで送っています」と伝えても、いくつもツールを使っている場合は「どこのクラウドなのか?」「どのチャットなのか?」と迷いが生じてしまうのです。

そのために、「ここにアクセスすれば必要な情報を見つけられる」という入り口を一つにまとめてあげる必要があります。

6.地道な定着化

DX化において、最も大変なのが、地道な定着化です。多くの人は、地道な定着化に苦戦して、DX化を諦めてしまいます。

しかし、DX化を実現するためには、地道で泥臭い努力をしなければいけません。

その上で、必要な方法や注意点について、以下で解説します。

1on1コミュニケーション

DX化を推進する上で、1on1ミーティングなどのコミュニケーションはとても重要です。

従業員全員を集めて「明日からこのツールを皆さんで使いましょう」と伝えたところで、誰も使ってくれないのが現実です。

また、実際に少し触れてみて「使いこなせなかったので諦めてしまった」という従業員もいるでしょう。

このようなケースを回避するために、1on1によるコミュニケーションが必要なのです。

一人ひとりと時間を作って「新しいツールは使えていますか?何かわからないことはありますか?」とサポートする、従業員が使い方に困っていたら必ず1on1をするといったコミュニケーションが、DX化を浸透させるうえで重要になります。

例外は絶対に出さない

新しいツールを導入した際に、必ず数名は「前の方が使いやすかったから前のツールを使っている」という人が出てきます。

このような例外は、絶対に認めてはいけません。

例外を一度でも作ってしまうと、周りの人も影響されて新しいツールを使わなくなってしまいます。

その結果、DX化が進まなくなってしまうので、絶対に例外は認めないでください。

都度注意しながらDX化へ導く

DX化に伴って新しいツールを導入しても、使いこなせない人がほとんどです。

そのため「あの資料ってどこにありますか?」というような質問も増えるでしょう。

このようなケースでは、必ず「新しいポータルサイトにあるので、そこから見つけてください」と伝えてください。

自分自身が常にルール規則に則って、注意しながらサポートしてあげる取り組みが、DX化浸透には大事です。

繰り返し教える

どれだけ説明しても、使い方を覚えられない人は必ずいます。

しかし、「なんでできないんですか?」と責めるような言い方をしてはいけません。

ITリテラシーというのは人によって大きく異なります。

ITリテラシーが低いからといって見切りをつけてしまったら、その時点でDX化浸透に失敗していることになります。

どれだけITリテラシーの低い相手だとしても、何度も何度も繰り返し教えながら次に進めていきましょう。

会社の方針として示す

地道な定着化のなかで最も重要なのは、会社が方針として示すことです。

「この目的のために、この取り組みが必要だから、DX化を浸透させていきます」と、会社の方針としてしっかりと説明しましょう。

言い方の違いではありますが「DX化を検討していますが、協力してくれますか?」というような曖昧な伝え方では、必ず反対意見が出てきてしまいます。

「やってもやらなくてもどちらでもいい」ではなく、会社の方針として「やらなければならない」と従業員に感じてもらうことが重要です。

DX化の推進は泥臭く確実に行う

今回は、社内のDX化を進めたい方に向けて、心構えや方針、定着化に向けたポイントなどを紹介しました。

DX化の重要なポイントについては、主に以下が挙げられます。

  • DX化を必要とする業務を4象限で仕分けする
  • DXに反対する人、不慣れな人がいても粘り強く指導しつづける
  • 「例外」を許さず、会社の基本方針としてDX化を徹底的に推進する

今回の記事を参考に、業務のDX化を成功させてみてください。

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コラム著者プロフィール

岡島光太郎

岡島 光太郎

取締役副社長 兼 経営コンサルタント(Co-founder)

2009年:(株)リクルートに新卒で入社。営業・企画の両面で責任者を務める。
※リクルートではMVPやマネジメント賞など、個人・マネージャー賞を多数受賞。
2013年:(株)データX(旧:フロムスクラッチ)の創業期に転職。営業や新卒・中途採用の責任者を務める。
2014年:アソビュー(株)に転職。その後、営業責任者、新規事業責任者を歴任。
2015年:(株)Pro-D-useを創業。取締役副社長(現任)に就任。

【得意領域】
新規事業の立上げ~収益化、成果を上げる営業の仕組み作り、BtoBのWebマーケティングを主軸とした売れる仕組み作り、DXまで見通したIT・SaaS・業務システムの導入や運用、融資を中心とした資金調達~財務のコンサルティングを得意としている。

【担当業種】
「システム受託開発」「Webサービス」「Tech系全般」「製造」「建築」「販売・サービス」「スクール業」など多岐。

【資格・認定】
中小企業庁認定:中小企業デジタル化応援隊事業認定IT専門家 / I00087391
経済産業省認定:情報処理支援機関 / 第39号‐24060007(21)