「事業承継計画」の基本と成功のポイントを事業承継のプロ解説

-
- 事業承継
- 2025年6月13日
多くの中小企業経営者にとって、事業承継は避けて通れない重要な課題です。事業承継の準備や進め方に、悩む方も多いのが現状です。この記事では、事業承継計画の基礎知識から具体的な策定方法、法律や税金の知識まで幅広く解説します。
筆者は「株式会社Pro-D-use」という現場型の事業承継コンサルティング会社を経営する中で、これまで多くの中小・中堅企業の事業承継をご支援してきました。

本記事を読めば、事業承継計画の重要性を理解し、自社に合った計画を立てるためのヒントが得られます。
事業承継を成功させるには、早期からの「事業承継計画の準備」と「関係者とのコミュニケーション」がポイントです。計画的に取り組んでスムーズに事業承継し、企業の持続的な成長につなげましょう。
事業承継は「なんとなく」で進めると必ず失敗します。あなたの会社には、頼りになる事業承継に現場型の強いコンサルタントを選びましょう。
(株)Pro-D-use(プロディーユース)は「伴走・現場型で利益を押し上げる」コンサルティング支援が特徴の経営コンサルティング会社です。これまでたくさんの経営相談で「2代目・3代目の経営者支援」「コンサルタントの乗り換え」「事業拡大 / 事業再生」で数多くの実績をあげてきました。
そんな(株)Pro-D-use(プロディーユース)に、事業承継について相談してみませんか?詳しくは経営コンサルティングサービスページをご覧ください。
(株)Pro-D-useの「事業承継コンサルサービス」詳細を見る >>
\ “現場で一緒に” 事業承継を進めるなら!! /
目次
事業承継計画に関する基礎知識
事業承継計画の基礎知識として、以下の2点を解説します。
- 事業承継の概要
- 事業承継の重要性
事業承継の概要
事業承継とは、現経営者から後継者へ事業を引き継ぐプロセスのことです。経営権や財産、ノウハウ、取引先などの移転を行います。事業承継には親族内承継や従業員承継、M&Aの3つがあります。事業承継を成功させるためには、中長期的な視点で計画的に進めることが必要です。
財務や税務、法務など、事業承継には多岐にわたる専門知識が必要なため、専門家のサポートを受けましょう。後継者の育成や従業員の理解を得ることも、スムーズな事業承継を実現するうえで重要な要素です。
» 中小企業庁「事業承継を知る」(外部サイト)
事業承継の重要性
現経営者の高齢化や後継者不足が進んでいる現代で、事業承継の重要性はますます高まっています。適切な事業承継により、企業の持続的な成長と存続が可能です。スムーズな引き継ぎは、企業価値の維持・向上にもつながります。
事業が継続できれば、雇用の維持や技術やノウハウの承継、信頼関係の維持ができるメリットがあります。相続税や贈与税の負担軽減としても事業承継は有効です。突然の現経営者の体調不良や不在にも備えられるため、承継は事業の継続性と安定性を確保できます。
» 中小企業庁「事業承継」(外部サイト)
事業承継計画が必要な理由

事業承継計画が必要な理由は、以下のとおりです。
- スムーズな業務の引き継ぎを実現するため
- 関係者間で認識をすり合わせるため
- 社内・社外の関係者に安心感を与えるため
- 親族や従業員間でのトラブルを防ぐため
- 承継後の方向性を明確にするため
スムーズな業務の引き継ぎを実現するため
事業承継では、業務内容や手順の文書化、取引先や顧客との関係の引き継ぎなどをする必要があります。適切な取り組みにより、新経営者は短期間で業務を把握し、スムーズに事業を運営することが可能です。
» 独立行政法人中小企業基盤整備機構「事業承継計画の作り方」(外部サイト)
長年積み重ねてきた専門知識や技術、ノウハウ、経験を確実に引き継ぐことで、事業の質を維持できます。一貫した経営を実現するためには、事業承継時に現経営者の判断基準や考え方を共有することが求められます。
関係者間で認識をすり合わせるため
事業継承計画では、経営理念や事業方針、経営課題、将来の事業展望、承継後の役割分担などの認識を、関係者間で合わせる必要があります。後継者と現経営者の方向性が一致していないと、承継後の経営に影響するため、事業承継計画での意思統一は最も重要です。
» 独立行政法人中小企業基盤整備機構「事業承継計画の作り方」(外部サイト)
事業承継において、株主や取締役会との合意形成も欠かせません。会社の重要な意思決定に関わる人々の理解と協力を得ることで、スムーズな承継ができます。従業員の不安を解消して理解と支持を得れば、従業員の承継後の事業運営がスムーズになります。
» 中小企業庁「事業承継ガイドライン第3版」(外部サイト)
社内・社外の関係者に安心感を与えるため
事業承継で適切な計画を立てれば、多くの関係者に企業の将来に対する確信を持ってもらえるため、以下の効果が期待できます。
- 取引先や顧客の信頼維持
- 従業員の雇用安定性確保
- 金融機関や投資家への経営安定性アピール
- 株主や債権者への将来展望提示
- 地域社会や行政機関への社会的責任遂行姿勢表明
単に事業承継計画を立てるだけでなく、内容を適切に伝えることも大切です。後継者の能力や経営方針を明確に示せば、関係者の不安を和らげられます。
» 中小企業庁「事業承継ガイドライン第3版」(外部サイト)
親族や従業員間でのトラブルを防ぐため
明確なルールと公平な手続きを設けることで、事業承継計画における多くの問題を回避できます。後継者の選定基準を明確にし、権限移譲のプロセスや株式や資産の分配方法を明確にしておくことが大切です。
» 独立行政法人中小企業基盤整備機構「事業承継計画の作り方」(外部サイト)
現経営者や関係者が第三者の専門家を交えて、公平な判断を仰ぐ必要もあります。事業承継計画では遺言書や株主間契約書などの法的文書を作成し、争議が発生した場合の調停手順を事前に決めておきましょう。後継者の育成計画を立て、段階的に責任を移行することで、スムーズな承継を実現できます。
» 中小企業庁「事業承継ガイドライン第3版」(外部サイト)
事業承継計画では従業員の処遇や待遇についても、明確な方針を示すことが重要です。オープンなコミュニケーションを心がけ、事業承継計画におけるトラブルのリスクを大きく減らしましょう。
承継後の方向性を明確にするため
承継後の方向性を明確にすることは、事業の継続的な成長と発展のために重要です。将来のビジョンや経営方針、事業の継続性、成長戦略、新規事業、市場拡大の計画などを考慮して承継後の方向性を決めましょう。承継後の事業方針を明確にすることで、スムーズな事業運営につながります。
» 中小企業庁「事業承継ガイドライン第3版」(外部サイト)
事業承継計画は、従業員やステークホルダーに対しても会社の将来像を示せるので、安心感を与えられます。承継後の方向性を決めるときには、現状の分析や市場動向の調査なども行い、実現可能性の高い計画を立てることが大切です。
「失敗しない事業承継」を実現させるなら、事業承継に詳しい専門家に並走してもらうことがオススメです。
「株式会社Pro-D-use」では、中小・中堅企業に特化した事業承継コンサルティングを提供しています。初回相談は無料なので、ご興味があれば、以下より無料相談にお申し込みください。
事業承継は「なんとなく」で進めると必ず失敗します。あなたの会社には、頼りになる事業承継に現場型の強いコンサルタントを選びましょう。
(株)Pro-D-use(プロディーユース)は「伴走・現場型で利益を押し上げる」コンサルティング支援が特徴の経営コンサルティング会社です。これまでたくさんの経営相談で「2代目・3代目の経営者支援」「コンサルタントの乗り換え」「事業拡大 / 事業再生」で数多くの実績をあげてきました。
そんな(株)Pro-D-use(プロディーユース)に、事業承継について相談してみませんか?詳しくは経営コンサルティングサービスページをご覧ください。
(株)Pro-D-useの「事業承継コンサルサービス」詳細を見る >>
\ “現場で一緒に” 事業承継を進めるなら!! /
事業承継計画を策定する流れ

事業承継計画の策定をする流れは、以下のとおりです。
- 現状分析
- 事業評価
- 目標設定
- 戦略の策定
- 実行計画の作成
現状分析
事業承継計画を策定するうえで、現状分析は重要な最初のステップです。以下の項目について詳細な調査と分析を行います。
- 企業の経営資源と財務状況
- 企業の経営リスク
- 現経営者の役割
- 後継者候補の評価
- 取引先との関係性
- 相続時に予想される問題点
- 株主と親族関係概要
- 個人財産の概要
» 日本政策金融公庫中小企業事業本部「事業承継計画策定のポイント」(外部サイト)
すべての項目を丁寧に分析して企業の現状と課題を明らかにし、事業承継に向けた課題を明確にします。現状分析は一度で終わるものではないため、定期的に事業の見直しを行って最新の情報を反映させることが大切です。
企業評価
企業評価によって企業の現在の価値や将来性を正確に把握することで、適切な承継方法を選択できます。企業の総合的な価値を明らかにすることが、企業評価の主な目的です。企業価値の算定や財務状況の分析、事業の強みと弱み、市場における競争力、将来の成長性予測などの項目を評価します。
» 中小企業庁「事業承継ガイドライン第3版」(外部サイト)
評価を通じて、企業の現状と将来の可能性を客観的に把握することが可能です。企業評価は単に数字を見るだけではなく、知的資産や無形資産の価値、取引先との関係性なども重要な評価対象となります。
目標設定
事業承継計画における目標設定は、スムーズな承継と事業の継続的な発展のために欠かせません。具体的な数値目標を設定し、後継者の経営ビジョンを明確にすることが重要です。目標設定では、以下の要素を総合的に考慮します。
- 財務目標
- 事業の維持・拡大
- 市場シェア
- 顧客数
- 新規事業
- 組織体制の在り方
» 中小企業庁「経営者のための事業承継マニュアル」(外部サイト)
目標を設定すれば、承継後の事業の方向性を明確にすることが可能です。
戦略の策定
事業承継計画の戦略を策定することは、スムーズな事業の引き継ぎを実現するために重要です。適切な戦略を立てることで、後継者へのスムーズな移行と事業の継続的な成長が可能になります。戦略の策定では、親族内承継や従業員承継、M&Aなどから状況に応じて最適な承継方法を選択しましょう。
将来の経営者を適切に準備するために、事業承継計画では後継者の選定と育成方針の策定が重要です。現経営者は事業承継に向けて、後継者への株式や財産の移転計画も立てる必要があります。必要な資金調達計画を整え、経営権の移行スケジュールを作成することで、権限の円滑な移譲を図ります。
» 独立行政法人中小企業基盤整備機構「事業承継計画の作り方」(外部サイト)
事業承継税制の活用など、税務上の最適な対策も検討しましょう。事業承継では会社法や民法(相続法)にもとづいた、適切な法的手続きの整理も必要です。
» 中小企業庁「経営者のための事業承継マニュアル」(外部サイト)
実行計画の作成
実行計画の作成は、スムーズに事業承継を成功させるために重要なステップです。実行計画に以下の内容を盛り込むことで、事業承継の道筋が明確になります。
- 具体的なスケジュール
- 実行手順
- 必要な資金の調達計画
- 人材育成・教育プログラム
- 組織体制の見直しや再構築
- 業務プロセスの改善と効率化
事業承継計画を実行する際は、現経営者を含む関係者にリスク管理体制の構築や適切な対話が求められます。計画の進捗を確認するために、モニタリングと評価の仕組みも作りましょう。
事業承継の方法
事業承継にはさまざまな方法がありますが、主な承継方法は以下の3つです。
- 親族内承継
- 従業員への承継
- M&Aによる承継
親族内承継
親族内承継は、後継者が創業者の家族や親族から選ばれます。親族内承継の最大のメリットは、創業者の意思や企業文化を受け継ぎやすいことです。親族内で事業を引き継ぐので、経営理念や価値観を共有しやすくなります。
親族内承継は経営権の移転がスムーズに行えて、従業員や取引先からの信頼を得やすいメリットがあります。会社の方針に大きな変更がないため、親族内承継は比較的安定した経営が可能です。ただし、親族内承継には、相続税や贈与税への対策が必要になる課題もあります。
親族内承継は親族間での利害対立が起こったり、株式を分散したりする可能性もあるため、適切な対策が必要になります。
» 独立行政法人中小企業基盤整備機構「親族内承継の方法と注意点」(外部サイト)
従業員への承継
従業員への承継は、現経営者の親族以外の社内の人材に事業を引き継ぐ方法です。社内の理解を得やすく、経営の連続性を保ちやすいメリットがあります。従業員承継を成功させるためには、後継者となる従業員の選定基準や育成計画を立てることが必要です。
従業員承継には資金面での課題や、経営能力の不足などのデメリットもあります。課題を克服するためには、資金調達方法を検討したり、後継者の育成に力を入れたりする必要があります。承継後の現経営者の処遇や役割についても、事前に十分に話し合いましょう。
» 中小企業庁「事業承継ガイドライン第3版」(外部サイト)
M&Aによる承継
M&Aによる承継は、第三者企業に事業を売却する方法です。外部から広く候補者を募るため、M&Aは売却益を得られる特徴があります。従業員の雇用継続や取引先との関係維持も可能ですが、M&Aによる承継では買収側との条件交渉が重要となります。
税務や法務面では、専門的なアドバイスを受けることをおすすめします。M&Aを成功させるには、従業員や取引先への説明だけでなく、企業文化や経営理念の承継にも注意が必要です。M&A支援機関を活用すると、適切な買い手を見つけやすくなります。クロージングまでの期間や手続きは、理解しておきましょう。
» 中小企業庁「事業承継ガイドライン第3版」(外部サイト)
「事業承継計画を一人で進めるのが不安…」そんな方は、事業承継に詳しい専門家に並走してもらうことがオススメです。
「株式会社Pro-D-use」では、中小・中堅企業に特化した事業承継コンサルティングを提供しています。初回相談は無料なので、ご興味があれば、以下より無料相談にお申し込みください。
事業承継は「なんとなく」で進めると必ず失敗します。あなたの会社には、頼りになる事業承継に現場型の強いコンサルタントを選びましょう。
(株)Pro-D-use(プロディーユース)は「伴走・現場型で利益を押し上げる」コンサルティング支援が特徴の経営コンサルティング会社です。これまでたくさんの経営相談で「2代目・3代目の経営者支援」「コンサルタントの乗り換え」「事業拡大 / 事業再生」で数多くの実績をあげてきました。
そんな(株)Pro-D-use(プロディーユース)に、事業承継について相談してみませんか?詳しくは経営コンサルティングサービスページをご覧ください。
(株)Pro-D-useの「事業承継コンサルサービス」詳細を見る >>
\ “現場で一緒に” 事業承継を進めるなら!! /
事業承継計画書の書き方

事業承継計画書の作成には、以下の内容を盛り込む必要があります。
- 事業承継の概要と目的
- 事業資産や財務状況
- 経営権・株式の承継計画
- 後継者の選定方法と育成計画
- 事業承継の必要資金
事業承継の概要と目的
事業承継とは、会社の経営権や事業を次の世代に引き継ぐことを指します。事業承継の主な目的は、スムーズな事業の継続と発展です。事業承継計画は、企業の長期的な存続と発展を確保するために欠かせません。企業価値を維持し、従業員の雇用を守り、取引先との関係を保つことがポイントです。
計画を立てるときには、後継者の選定や経営理念、企業文化の承継、財務状況の把握と改善を含める必要があります。事業承継を計画的に進め、突然の事態にも対応できる体制を整えましょう。
» 独立行政法人中小企業基盤整備機構「事業承継計画の作り方」(外部サイト)
事業資産や財務状況
事業資産や財務状況を客観的に評価すれば、適切な承継方法を選択できます。事業承継計画書には以下の内容を詳細に分析し、整理することが大切です。
- 資産や負債
- 財務諸表
- 収益性指標
- 知的財産権
- 契約状況
- 従業員情報 など
さまざまな情報を総合的に判断すれば、事業価値を適切に評価できます。
» 独立行政法人中小企業基盤整備機構「事業承継計画の作り方」(外部サイト)
DCF法や類似企業比較法などの手法を用いて、客観的な事業価値を算出することが大切です。事業継続に必要な許認可や資格の有無も確認してください。
経営権・株式の承継計画
経営権・株式の承継計画では、会社の所有権と経営権をどのように引き継ぐかを具体的に定めます。経営権・株式の承継に関する項目は、以下のとおりです。
- 株式の譲渡方法
- 経営権の移転
- 議決権の配分
- 株主間契約
経営権・株式の承継計画では、種類株式の活用や株式の評価方法、買取資金の調達計画なども検討しましょう。相続税・贈与税への対策や、株式の分散防止策も重要です。経営権・株式の承継計画において、経営権移転後の現経営者の処遇や、株主総会・取締役会の運営方針も定める必要があります。
法的手続きの整理やリスクへの対策、具体的なスケジュールの設定も行いましょう。
» 中小企業庁「事業承継ガイドライン第3版」(外部サイト)
後継者の選定方法と育成計画
後継者の選定と育成は、適切な後継者を見つけて十分な準備を行う最も重要な要素です。候補者の選定基準を明確にすれば、公平で透明性の高い選考ができます。社内外から幅広く後継者の候補者を探すことで、最適な人材を見つけられます。
育成計画では、段階的な権限委譲プランの作成や、後継者育成プログラムの導入が効果的です。経営幹部との交流機会を増やし、実務経験を積ませるためのジョブローテーションを実施することも求められます。外部研修や教育プログラムへ参加すれば、後継者に必要なスキルと経験を段階的に身に付けられます。
定期的な評価とフィードバックを行い、育成の進捗を確認し、必要に応じて計画を調整することも大切です。承継までのタイムラインを設定して、引継ぎ期間中の役割分担を明確にし、スムーズに移行しましょう。
事業承継の必要資金
事業承継には以下の資金が必要になります。
- 株式や事業用資産の買取資金
- 借入金の返済資金
- 相続税・贈与税の納税資金
- 退職金や功労金の支払い資金
- 事業承継に伴う設備投資資金
必要な資金を事前に準備することで、スムーズな事業承継が可能になります。必要な資金の額は事業規模や承継方法によって大きく異なるため、専門家に相談して正確な見積もりを取りましょう。事業承継の過程で一時的に業績が落ち込む可能性があるので、十分な運転資金を確保しておく必要があります。
» 中小企業庁「事業承継ガイドライン第3版」(外部サイト)
M&Aによる承継を選択した場合は、買収資金の調達も重要な課題です。
事業承継計画に必要な法律と税金の知識

事業承継計画を成功させるには、以下の法律や税金の知識が重要です。
- 株式や経営権の承継に関する会社法
- 親族内承継に重要な民法(相続法)
- 相続税・贈与税の基本
- 事業承継税制の活用
株式や経営権の承継に関する会社法
株式や経営権の承継に関する会社法では、株式の譲渡制限や種類株式の活用など、さまざまな手法が定められています。株式譲渡制限の設定と解除や種類株式の活用、株主総会の特別決議事項、取締役会の設置と権限などの方法があります。適切な手法を活用することで、経営権の安定化や後継者へのスムーズな承継が可能です。
» 中小企業庁「事業承継ガイドライン第3版」(外部サイト)
会社法の規定は複雑なので、専門家のアドバイスを受けながら法的手続きを正しく行いましょう。
親族内承継に重要な民法(相続法)
親族内承継に関する民法(相続法)を理解することで、家族間のトラブルを防ぎ公平な財産分配ができます。具体的には、以下の法律の知識が必要です。
- 相続人の範囲と順位
- 遺留分制度
- 遺言の種類と効力
- 相続分の計算方法
- 特別受益と寄与分の考慮
親族内承継において、相続税や贈与税についても理解を深めることが大切です。税金対策を適切に行えば、事業承継にかかる費用を抑えられます。
相続税・贈与税の基本
相続税と贈与税は、財産の移転に関連する重要な税金です。相続税は亡くなった人の財産に対して課税され、贈与税は生きている人から財産をもらった場合に課税されます。相続税の基礎控除額は、3,000万円に600万円×法定相続人の数を加えた金額です。贈与税の基礎控除額は、年間110万円です。
» 国税庁「相続税の計算」(外部サイト)
» 国税庁「贈与税がかかる場合」(外部サイト)
相続税と贈与税は10〜55%の累進課税方式を採用しており、財産の価値が高くなるほど、税率も上がります。相続時精算課税制度を利用すると、生前贈与と相続を一体化して課税できます。2,500万円までの特別控除があり、超過部分には一律20%の税率が適用されるため、計画的な資産移転が可能です。
» 国税庁「相続税の税率」(外部サイト)
事業を引き継ぐ場合は、事業承継税制を活用することで、非上場株式などの贈与や相続にかかる税負担を軽減できます。自宅や事業用地については、小規模宅地等の特例により評価額を減額できる場合もあります。配偶者が財産を相続するときには、配偶者の税額軽減制度により税負担を軽減することが可能です。
» 国税庁「法人版事業承継税制」(外部サイト)
事業承継税制の活用
事業承継税制を活用することで、相続税や贈与税の負担を軽減できる可能性があります。相続税・贈与税の納税猶予制度や非上場株式等に係る制度、金融支援などの制度が用意されています。事業承継税制を適切に活用すれば、事業承継にかかる税負担を大幅に軽減することが可能です。
制度を利用するには、申請書や報告書の提出といったいくつかの要件を満たす必要があります。事業承継税制には、納税猶予額の計算方法や猶予税額の免除条件などのメリットがあります。雇用確保要件や経営承継期間など、いくつかの制約もあるので注意しましょう。
» 国税庁「法人版事業承継税制」(外部サイト)
事業承継計画に伴うリスクと対策

事業承継計画には、以下のリスクが伴います。
- 後継者の選定ミスによる事業悪化
- 事業方針の変更による従業員の退職
- 取引先との契約解除
後継者の選定ミスによる事業悪化
後継者の選定ミスは、事業の悪化につながる大きなリスクです。適切な後継者を選ぶことは、企業の存続と発展に欠かせません。経営能力や経験、対応力が不足している後継者を選定すると、企業の業績低下や競争力の低下を招きます。後継者選定のミスを防ぐには、候補者の資質や能力を慎重に見極めることが重要です。
選定後も後継者の十分な育成期間を設け、経営のノウハウや企業文化を確実に引き継ぐ必要があります。後継者が経営をスムーズに引き継げるよう、社内外の関係者との信頼関係構築をサポートすることも大切です。
事業方針の変更による従業員の退職
事業方針の変更による従業員の退職は、企業にとって大きな課題です。経営方針や事業内容が大幅に変更されると、従業員が不安を感じ、退職を考える人が多くなります。新経営陣と従業員の価値観の不一致や、組織再編や人員削減に伴う不安によって、退職が増加する傾向があります。
待遇や処遇の変更への不満、新しい企業文化への適応が難しいことも、退職を決意する要因の一つです。長年勤務してきた功労者や重要な技術を持つ従業員が退職すると、企業にとって大きな損失となります。従業員の大量退職は事業継続の危機につながります。
対策としては、従業員とのコミュニケーションを密に取り、不安や不信感を解消することが重要です。
取引先との契約解除
取引先との契約解除は、事業承継計画に伴う重大なリスクの一つです。新しい経営者への交代により、長年築いてきた信頼関係が揺らぐ可能性があります。取引条件の見直し要求や契約解除の申し入れや主要取引先の離脱による売上減少などの問題が発生する恐れがあります。
事業承継の成功には取引先との関係維持が不可欠なので、慎重かつ戦略的なアプローチが必要です。事前の丁寧な説明とコミュニケーションや契約内容の見直しなど、適切な対策を講じることでリスクを軽減しましょう。
「事業承継のリスクは回避したい…」そんな方は、事業承継に詳しい専門家に並走してもらうことがオススメです。
「株式会社Pro-D-use」では、中小・中堅企業に特化した事業承継コンサルティングを提供しています。初回相談は無料なので、ご興味があれば、以下より無料相談にお申し込みください。
事業承継は「なんとなく」で進めると必ず失敗します。あなたの会社には、頼りになる事業承継に現場型の強いコンサルタントを選びましょう。
(株)Pro-D-use(プロディーユース)は「伴走・現場型で利益を押し上げる」コンサルティング支援が特徴の経営コンサルティング会社です。これまでたくさんの経営相談で「2代目・3代目の経営者支援」「コンサルタントの乗り換え」「事業拡大 / 事業再生」で数多くの実績をあげてきました。
そんな(株)Pro-D-use(プロディーユース)に、事業承継について相談してみませんか?詳しくは経営コンサルティングサービスページをご覧ください。
(株)Pro-D-useの「事業承継コンサルサービス」詳細を見る >>
\ “現場で一緒に” 事業承継を進めるなら!! /
事業承継計画を成功させるためのポイント

事業承継計画を成功させるには、以下のポイントが重要です。
- 準備を早期から始める
- コミュニケーションを密にとる
準備を早期から始める
事業承継の成功には、早期からの準備が欠かせません。5〜10年前から事業承継の計画を始めることが理想的です。後継者の選定と育成に十分な時間を確保するためには、早期からの準備が重要です。早めに対応すれば、経営状況や財務状況を把握し、改善する余裕もできます。
» 独立行政法人中小企業基盤整備機構「事業承継のための準備」(外部サイト)
税制優遇措置の活用を検討することで、株式や資産の計画的な移転も可能です。承継時には、取引先や金融機関との関係を構築することも重要です。従業員への説明を行い、事業承継の理解を得ていくことも忘れてはいけません。事業承継の成功には、経営ノウハウや業界知識の伝承も必要です。
早期から準備を始めることで、多くの課題に対して十分に対応でき、スムーズに事業承継できます。
コミュニケーションを密にとる
コミュニケーションを密にとることで、後継者と現経営者、従業員、取引先、顧客などの関係者とスムーズな意思疎通ができます。後継者と現経営者間で定期的なミーティングを実施し、従業員との対話の機会を増やして意見や懸念を聞く取り組みが効果的です。
取引先や顧客に事業承継の進捗状況を適切に説明することで、関係者間の認識のずれを防ぎ、スムーズな事業承継ができます。社内報や会議を通じて承継計画の進捗を全社的に共有すれば、従業員の不安を軽減しモチベーションの維持も可能です。
後継者と現経営者で経営方針や将来ビジョンについて議論を重ねると、承継後の事業の方向性を明確にできます。承継に関する質問や、提案を受け付ける窓口を設置するのも有効です。定期的に承継計画の進捗状況を確認し、必要に応じて修正しましょう。
» 中小企業庁「事業承継ガイドライン第3版」(外部サイト)
事業承継後の経営管理と戦略
事業承継後の会社の将来を左右する重要な要素には、以下の2つがあります。
- 新たな経営体制を構築する方法
- 長期的な事業成功のための戦略
新たな経営体制を構築する方法
新たな経営体制を構築することは、事業承継後の成功に不可欠です。会社の方向性を明確にするために、経営理念や事業方針を再確認し、全従業員と共有しましょう。新たな体制を構築するために、新しい組織図と役割分担を作り、意思決定の流れを明確にします。権限を適切に委譲し、責任を明確にすることも重要です。
» 中小企業庁「事業承継ガイドライン第3版」(外部サイト)
コミュニケーション体制を整えることで、情報の共有がスムーズになります。新しい経営陣で、チームワークを築くことも大切です。従業員との信頼関係を構築し、経営管理の仕組みを見直すことで、より効果的な体制が整います。
社内研修やスキルアップ支援を行えば、従業員の能力向上にもつながります。外部のアドバイザーを活用したり、定期的に経営会議を開いたりすることも、経営体制を構築するのに効果的です。中長期的な経営計画を立て、目標達成度を測る指標(KPI)を設定し、進捗を管理する体制を作りましょう。
長期的な事業成功のための戦略
長期的な事業成功を実現するためには、戦略的な計画が必要です。事業の継続と成長を見据えた経営方針の策定が求められます。市場動向や顧客ニーズの変化に柔軟に対応できるよう、事業モデルを定期的に見直す必要があります。事業成功のために、新技術の導入や革新的なサービスの開発にも、積極的に取り組みましょう。
» 中小企業庁「事業承継ガイドライン第3版」(外部サイト)
事業成功には、人材育成や組織体制の強化、財務基盤の安定化、戦略的なパートナーシップの構築などに注力することが重要です。持続可能な経営手法を導入し、ESG投資を検討することで、長期的な企業価値の向上が期待できます。
グローバル展開や新規市場への進出も、事業の成長と多角化を図るうえで有効な戦略です。
事業承継計画に関するよくある質問
事業承継計画に関するよくある質問は、以下のとおりです。
- 事業承継計画のタイミングはいつが理想的?
- 事業承継における最大の障壁は?
- 事業承継後の経営で注意すべき点は?
事業承継計画のタイミングはいつが理想的?
事業承継には5~10年程度を要する場合もあるため、早めに事業承継計画を始めましょう。早めに着手すれば、後継者の育成に十分な時間を確保できます。業績が安定している時期に事業承継計画を立てれば、スムーズな引き継ぎが可能です。
現経営者の健康状態が良好なうちに準備を進めれば、突然の事態にも対応できます。相続税対策の観点からも、適切な事業承継計画の時期を見極めることが大切です。事業の将来性が見込める時期に計画を立てておけば、後継者にとっても魅力的な承継となります。
» 独立行政法人中小企業基盤整備機構「事業承継のための準備」(外部サイト)
事業承継における最大の障壁は?
事業承継における最大の障壁は、後継者の不在や経営能力不足です。多くの中小企業では、適切な後継者を見つけることが難しく、事業の継続ができなくなる状況に追い込まれています。現経営者の子どもが事業を継がなかったり、従業員の中に経営者の資質を持つ人がいなかったりするのが要因として挙げられます。
» 中小企業庁「事業承継」(外部サイト)
後継者不足には、計画的な後継者育成プログラムや外部からの人材登用、M&Aによる事業譲渡といった対策が有効です。適切に対策を実施することで、後継者問題を解決できる可能性が高まります。
事業承継後の経営で注意すべき点は?
事業承継後の経営で注意すべき点は、以下のとおりです。
- 財務状況の把握と改善
- 新しい経営方針の明確化と浸透
- 組織体制の見直し
- 企業価値の向上
事業を継続するために最も重要なのは、新旧経営者間でのスムーズな権限移譲と、従業員や取引先との信頼関係の維持です。事業を成功させるには、後継者のリーダーシップスキルの向上やステークホルダーとのコミュニケーション強化も重要になります。
» 中小企業庁「事業承継ガイドライン第3版」(外部サイト)
新旧の企業文化のバランスを保ちつつ、技術やノウハウの承継と革新を進めることが大切です。
まとめ
事業承継計画は、企業の継続性と発展に欠かせない要素です。事業承継計画を成功させるには、早期準備と関係者とのコミュニケーションが鍵となります。承継後の経営管理や戦略も重要です。適切なタイミングで計画を始めて、障壁を認識し乗り越えれば、スムーズな事業承継が実現できます。
経営者の想いや企業理念を次世代へ引き継ぐことも、長期的な企業成長のために欠かせません。計画には柔軟性を持たせ、変化に対応できる体制を整えることも大切です。事業承継は複雑なプロセスですが、専門家のアドバイスも活用しながら、着実に準備を進めていきましょう。
「事業承継計画を一人で進めるのが不安…」そんな方は、事業承継に詳しい専門家に並走してもらうことがオススメです。
「株式会社Pro-D-use」では、中小・中堅企業に特化した事業承継コンサルティングを提供しています。初回相談は無料なので、ご興味があれば、以下より無料相談にお申し込みください。
事業承継は「なんとなく」で進めると必ず失敗します。あなたの会社には、頼りになる事業承継に現場型の強いコンサルタントを選びましょう。
(株)Pro-D-use(プロディーユース)は「伴走・現場型で利益を押し上げる」コンサルティング支援が特徴の経営コンサルティング会社です。これまでたくさんの経営相談で「2代目・3代目の経営者支援」「コンサルタントの乗り換え」「事業拡大 / 事業再生」で数多くの実績をあげてきました。
そんな(株)Pro-D-use(プロディーユース)に、事業承継について相談してみませんか?詳しくは経営コンサルティングサービスページをご覧ください。
(株)Pro-D-useの「事業承継コンサルサービス」詳細を見る >>
\ “現場で一緒に” 事業承継を進めるなら!! /
コラム著者プロフィール

岡島 光太郎
取締役副社長 兼 経営コンサルタント(Co-founder)
2009年:(株)リクルートに新卒で入社。営業・企画の両面で責任者を務める。
※リクルートではMVPやマネジメント賞など、個人・マネージャー賞を多数受賞。
2013年:(株)データX(旧:フロムスクラッチ)の創業期に転職。営業や新卒・中途採用の責任者を務める。
2014年:アソビュー(株)に転職。その後、営業責任者、新規事業責任者を歴任。
2015年:(株)Pro-D-useを創業。取締役副社長(現任)に就任。
【得意領域】
新規事業の立上げ~収益化、成果を上げる営業の仕組み作り、BtoBのWebマーケティングを主軸とした売れる仕組み作り、DXまで見通したIT・SaaS・業務システムの導入や運用、融資を中心とした資金調達~財務のコンサルティングを得意としている。
【担当業種】
「システム受託開発」「Webサービス」「Tech系全般」「製造」「建築」「販売・サービス」「スクール業」など多岐。
【資格・認定】
中小企業庁認定:中小企業デジタル化応援隊事業認定IT専門家 / I00087391
経済産業省認定:情報処理支援機関 / 第39号‐24060007(21)