
新規事業を始める前に、マーケティング調査をしたいが、方法がわからない。

STP分析が大切とはいうけど…、重要性がよくわからない。具体例を元に勉強したい
STP分析とは、マーケティング手法の1つです。
市場を細分化し、下記の領域を発見するために利用します。
- 自社の強みが活かせるセグメントを発見する
- 優位性を保ちながら競合他社との競争を避ける
多くの企業で用いられている手法で、日本国内では「ユニクロ」がSTP分析を活用した成功事例といえるでしょう。
この記事では、
- そもそもSTP分析とはなにか
- 使う目的
- 実際の活用方法・注意点
を解説します。
この記事を読み終えると、こんなことが実現できます
- 市場を多角的に分析し、未開拓市場が発見できる。
- 自社の強みが活かせる、ターゲット層が見つかる。
- 競合他社との衝突を避け、利益を確保できる。
STP分析で、利益を確保しながら、競合との争いを避けられる市場を発掘しましょう。
それでは早速、読み進めていきましょう。
▼目次
新規事業で重要なSTP分析とは?

STP分析とは、市場を細分化し、自社の優位性できるセグメントを発見するためのマーケティング手法です。
「近代マーケティングの父」とも称される経営学者、フィリップ・コトラー(Philip Kotler)が提唱した方法で、下記の頭文字を取りSTP分析と呼ばれています。
Segmentation(セグメンテーション) | 市場細分化 |
Targeting(ターゲティング) | ターゲット層を抽出する |
Positioning(ポジショニング) | 自社の競争優位性を確立する |
新規事業では、誰にどのような商品を売るか、また、競合他社に対して優位性を獲得できるか、見極めが重要です。
そのため、STP分析は、市場調査や、経営戦略の立案時に活用します。
新規事業におけるSTP分析の目的

新規事業でSTP分析を行う目的は、以下の2つです。
- 適切な市場に最適な商品・サービスを提供すること
- 競合他社との争いをできるだけ避け、自社の優位性を確立すること
新規事業に限らず、経営資源は有限です。また、マーケティングにおいて、全ての顧客に受け入れられる商品の開発は不可能です。
これらの前提を克服するためにも、自社のサービスに合ったセグメントを発見し、ターゲット層を絞り込む必要があります。
また、新規事業では利益の獲得も大切な課題です。大抵の市場には、既に大勢の競合他社が存在します。
自社のポジションと、優位性の確立により、ライバルとの正面衝突を避けながら、利益を上げに行くことが可能となります。
新規事業立ち上げ時のSTP分析のやり方

STP分析は、セグメンテーション→ターゲティング→ポジショニングの順に行うのが一般的です。それぞれの方法を具体的に解説します。
1.セグメンテーション:市場細分化
セグメンテーション(市場細分化)では、対象の市場や顧客を細かく分けて、属性ごとにグループを作ります。
代表的な方法は、市場を家庭での利用を前提とした「消費財市場」と、商品生産のため企業が利用する「生産財市場」の2つに分類するものです。
上記市場をさらに4つの変数で分類すると、下記のとおりとなります。
【消費財市場】
人口動態変数 | 年齢、性別、家族構成 など |
地理的変数 | 国、人口密度、住まい、文化 など |
心理的変数 | ライフスタイル、価値観、社会階層 など |
行動変数 | 購買経験の有無、使用頻度、ベネフィット など |
【生産財市場】
オペレーティング変数 | 使用頻度、利用滋養協、顧客の能力 など |
購買アプローチ変数 | 購買方針、購買意欲 など |
状況要因変数 | 緊急性、受注量 など |
消費者の特性 | 決裁権の有無 など |
以上はあくまでも一般例であり、自社独自の変数を利用する場合もあります。
2.ターゲティング:ターゲット層を抽出する
細分化したセグメントを元に、どこで勝負するかを決定するのがターゲティングです。
市場規模は適切か、成長の可能性が高いかなど、新規事業を十分に発展させらるセグメントか見極めます。
見極めの際は、「6R」のフレームワークを利用するとよいでしょう。
【6R】
Realistic Scale | 利益が得られる適切な市場規模か |
Rate of Growth | 今後も成長が見込めるか |
Rank/Ripple Effect | SNSでの拡散など、顧客の波及効果は高いか |
Reach | 顧客に商品は届くか |
Rival | 競合他社の多さ、自社に優位性はあるか |
Response | 顧客からの反応は数値により測定できるか |
さらに標準となる市場規模を絞り込む「市場ガバレッジ戦略」や、セグメントの標準顧客を具現化する「ペルソナ分析」などと合わせることで、より精度の高いターゲットが見つかるでしょう。
3.ポジショニング:自社の競争優位性を確立する
ポジショニングでは、ターゲットに定めたセグメントで、自社がどのような立ち位置を取るか決定します。
競合他社と自社の立ち位置を視覚的に理解するためにも、「ポジショニングマップ」を活用しましょう。
ポジショニングマップとは、自社の強みやターゲット層が重視する価値などを縦軸と横軸で表し、自社と競合他社の製品・サービスをマッピングしていく方法です。
ポジショニングマップの作成により、競合他社との衝突を避けながら、自社の独自性や強み活かせる領域が発見できます。
STP分析の活用事例

以上のように、STP分析を活用すれば、新規事業の成功確率を高め、競合との摩擦を避けることに役立ちます。
ここからは、STP分析の活用事例として、「ユニクロ」のマーケティング戦略を確認していきます。
1.ユニクロ(株式会社ファーストリテイリング)のSTP分析
競合他社の多いアパレル業界で、「ユニクロ」全世界展開を果たした理由には、徹底したマーケティング戦略が上げられます。
では、具体的にSTP分析を確認します。
セグメンテーション | 顧客の“特徴”ではなく“ニーズ”により細分化 |
ターゲティング | 年齢・性別・国籍を限定せず、「高品質なベーシックカジュアルを求める全ての顧客」ターゲット |
ポジショニング | ベーシックカジュアル、LIFE WARE(究極の普段着) |
ユニクロのSTP分析で特徴的なのが、セグメンテーションの方法でしょう。
ファッション業界では、性別(レディース・メンズ)や、年齢(ヤング・アダルト・ミドル・シニア)など顧客の“特徴”で分割するのが一般的です。
そのような中、ユニクロは下記のような顧客の“ニーズ”に合わせて細分化しています。
- どのような服とも合わせやすい
- 高機能・高品質・低価格
細分化の結果、ターゲットとして浮かび上がったのは、「性別や年齢に囚われない、ベーシックカジュアルを求める全ての顧客」です。
2.ユニクロのポジショニングマップ
ユニクロのポジショニングマップは、縦軸と横軸を下記のように設定して分析します。
縦軸 | トレンドかベーシックか |
横軸 | 機能性かデザイン性か |
競合他社は「トレンド×デザイン性」に偏るなか、ユニクロは「ベーシック×機能的」なポジショニングを確立。
「LIFE WARE」をコンセプトに掲げ、世界的な企業に成長しました。
ユニクロがこれだけ広範囲をターゲットにできたのは、商品の企画・製造・販売を自社で一貫して行える製造小売業(SPA)であることも理由としてあげられます。
以上のように、顧客のベネフィットに着目し、自社の生産体制を強みとして活かせるターゲットを発見したことが、ユニクロ成功の理由の1つといえるでしょう。
新規事業立ち上げ時のSTP分析における4つの注意点

最後に、新規事業でSTP分析を活用する際の注意点を4つ解説します。
1. STPを連動させて考える

STP分析では、1つひとつの項目で分析する内容が多岐に渡ります。
そのため、分析途中で各要素に矛盾が生じることのないよう注意しましょう。
例えば、「中性脂肪に悩む男性」をターゲットに緑茶を開発したい。
ポジショニングの結果、「特保飲料」に競合が多いから「通常の緑茶」として販売する。
…これでは、肝心のターゲットに商品が届かない可能性が高くなります。
STP全てが連動するように注意しましょう。
2. 適切なセグメントを考慮する

セグメンテーションは、ただ細分化すればよいのではなく、自社の強みを活かせるセグメントの発見が大切です。
そのため、下記4Rに照らし合わせて、適切なセグメントか否かを判断しましょう。
【4R】
Rank(優先順位) | 経営戦略上、重要か |
Realistic(規模の有効性) | 十分な利益を確保できるか |
Reach(到達可能性) | 商品やサービスを届けられるか |
Response(測定可能性) | 指標により測定可能か |
3. ターゲットのニーズを常に意識する

マーケティングとは、「顧客のニーズに応えて利益をあげること」と定義されます。
自社の得意な分野であっても、それが顧客にとって価値がなければ、商品は売れません。(例:黒電話専用カバーなど。)
そのため、ターゲットを設定する際は、常に顧客目線を意識しましょう。
4. 競合のビジネスモデルも把握しておく

ポジショニングの際は、他社のビジネスモデルもしっかり確認しておきましょう。
現在は空白領域であっても、真似しやすく、規模の優位性が強いポジションなら、一気に大手に立場を奪われる可能性があります。
競合他社のビジネスモデルでは、進出しづらいことがわかれば、優位性を長く保てるでしょう。
自社の強みを活かせる領域を発見しよう

STP分析は、自社の強みが活かせるセグメントの発見と、競合他社との衝突をさける優位性の確保が目的です。
STP分析の活用により、利益につながる未開拓市場の発掘に役立つでしょう。
利益の確保が重要な新規事業では、自社の強みを最大限活かせる領域を発見するためにも、STP分析を活用するとよいでしょう。
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