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新規事業を立ち上げる時の基本的なポイント

新規事業を立ち上げる時の基本的なポイント

Pro-D-useの岡島です。企業経営に携わるものとしては「新規事業の立ち上げ」は関心のあるテーマのひとつでしょう。事業の継続性を担保するためには、既存事業を拡張する必要があります。また、マーケットシェアを維持するためには、新しい商品やサービスの投入も不可欠です。ここでは新規事業を立ち上げる時の基本的なポイントを一緒に確認していきましょう。

社内のリソースを把握して方向性を探る

新規事業の可能性を検討する場合、一般的には「ヒト・モノ・カネ」など既存のリソースから優秀かつ将来性のある部分を抽出し、集中的に投資を行うことになります。

立ち上げの前段階として、全社的な規模ですべての関係者(アルバイト・パートも含む)に対して、社内リソースのインベントリー(棚卸し)を行います。それに合わせ、自分たちの会社がこれまでやってきたことは何か再検討していきます。

まず自社の社員とアルバイト、パートタイマーの強みや技術的独自性について確認します。さらに余剰資金の投資先や方法や企業風土としての特徴、また企業としての社会貢献の履歴について詳細に分析することも必要になってきます。

このような質問を投げかけてブレイン・ストーミングを行って行くのですが、この作業は「関係者全員」を巻き込む点がポイントになるます。なぜならば、その企業に対してさまざまなレベルで関係を持つ多様な視点からの意見が重要だからです。

マネージャレベル以上の従業員は、既存事業の最適化に意識が向きがちで、新規事業に必要な斬新なアイディアを期待できない傾向があります。必要なのは新しい何かを生み出す思考法と実行力です。このような観点から事業の方向性を見出し自社のリソースの可能性を検討していきましょう。

利益率とマーケティングの重要性

新規事業には未知なる可能性がありますが、同じだけ失敗のリスクがあることも知っておく必要があります。その意味でも事業戦略については、既存事業より厳しく精査する必要があります。

特に重要なポイントは「撤退基準」を明確にする点です。

貴重な経営資源の損失を最小化するためには、どの時点で事業の継続を断念するかについて具体的に決めておきます。

次に重要なのはマーケティングです。

効果的なマーケティングは顧客を創造し、継続的に高い売り上げの確保に貢献します。事業戦略策定では、まず「目標」を設定して具体的な「数値目標」に落とし込み、その達成のための「行動計画」を策定します。マーケティングの観点からの分析はこの行動計画策定に影響します。

より具体的な戦略策定作業プロセスとしては、損益収支について数値が明確な利益計画書を作成して損益分岐点を算定します。そこから必要売上高を導きます。次に必要売上高が達成できる具体的な可能性を検討します。

もし、達成が困難であるとなれば、「利益率を向上させること」と、「経費の削減策」について検討することになります。新規事業において利益を出すには単価が抑えられた利益率の高い商品を提供するのが得策でしょう。利益の指標の「利益率」とは利益を価格で割ったものです。つまり、同じ利益が出ていても商品価格が安いほうが利益率は高くなります。

売上高を上げるためには単価は安いほうが有利です。もちろん利益率が少し悪くても売り上げを上げれば経営的には問題はありませんが、高額商品などではブランドロイヤリティーが購買判断で重要な役割を果たします。新規事業ではそのあたりが厳しくなるため、単価を押さえるほうが無難です。

むやみに他社の真似をしてはいけない理由

経営学の分野でも模倣戦略について多くの研究があり、模倣のメリットとデメリットが報告されています。

まず、新規事業の立ち上げと継続性を確保するには、既存事業とのシナジー効果を押さえる必要があります。言い換えれば、既存のリソースとの相乗効果が得られるような方向で展開できるかどうかが新規事業成功の秘訣。

自社が保有する技術との関連や社員のスキルの活用、顧客という資産の有効活用などが十分に検討され、しっかり組み込まれた事業計画が不可欠です。

むやみに他社の真似をするということは、そのシナジーが効かない方向に向かうというデメリットになります。

そうなると、なぜ自社がその新規事業を行うのかという意義や目的が不明確になってしまい、社員の士気も事業の社会的意義も低下していきます。

次に、マーケティング的な面からの模倣のデメリットですが、容易に真似ができる段階での新規参入は遅すぎる可能性があります。たとえば、マーケットや商品の市場規模の変化をプロダクト・ライフサイクル(PLC)で考えてみます。

PLCでは、商品の寿命を「導入期」「成長期」「成熟期」「衰退期」に分類します。他社の製品やサービスが模倣可能となるのは、「成熟期」の後半から「衰退期」にかけての段階と考えられます。市場が拡大し売り上げも上がる「成長期」をすでに過ぎており、模倣による新規参入者が増加し競争が激化し、厳しい戦いを強いられる可能性が大きくなります。「成熟期」に入ると、製品やサービスについて多くの人が知ることになります。そうなると、自分たちに真似ができるなら、他社にも真似ができてしまうからです。結果として、優位性は消失し、横並びの状態での競争開始となります。容易に値引き競争になることが予想され、収益性という点からは疑問符がつきます。

新規事業を立ち上げる時の注意点

新規事業を検討する時に自社のリソースの可能性やその活用法から発想することはシナジー効果を考えると合理的な態度です。しかしながら、それは「内向きの視点」です。

たとえば新規事業担当スタッフの再配置やファイナンスを継続的に支える資金計画、既存のノウハウと技術力を結集した製造計画などが主に検討されます。しかし、もっとも重要なことは、その商品やサービスを顧客が受け入れるかどうかという点です。つまり「外からの視点」が事業計画に反映されていることを継続的に確認する必要があるのです。

たとえば、技術に自信のある企業が新規事業を立ち上げる場合に、自分たちの技術力への過信から、顧客の視点を見落としてしまう例は枚挙に暇がありません。その結果、日本の携帯電話機(ガラパゴス・ケータイ)市場のように、技術は優秀でも商品の売り上げが立たず、撤退を余儀なくされるという事態が発生します。

新規事業計画では、内部的な合理性とともに、外部からの合理性もバランス良く考慮する必要があります。

情熱を持って「一番になれる事業」を見出す

企業が新規事業を立ち上げることで得られるものは何でしょうか。多くの業界にリーディングカンパニーと呼ばれる、いわゆる「ダントツ」の企業が存在します。

追従する競合他社との違いをみるとわかることがあります。それは「市場への適応力の差」です。リーディングカンパニーは変化を恐れず新規事業にスピード感を持って取り組んでいます。

組織というものは成長し拡大すればするほど硬直化してゆくものです。社員数や事業所が増加して指揮命令系統が複雑になると、組織を維持するコストが飛躍的に増大していきます。

それに反して、既存事業がそのまま現在の収益を維持し、さらに発展する可能性は未知数です。そうなると短期的には既存事業での売り上げ拡大を図りつつも、組織の存続のために将来を見据えた施策が必要となります。新しい事業に取り組む意義はここにあります。

新規事業の立ち上げによって、市場への適応力を向上させ将来的な発展の可能性が得られるのです。さらに社内の活性化や、社外からの社会的評判の向上という、副次的効果も得られます。このようにさまざまな観点からみた時に、「常に一番でいる」ために有効な戦略が新規事業への取り組みなのです。